クレジットカードの不正利用が急増しているそうです。クレジットカード会社からと偽装する怪しいメールや通販会社を装うSMSなどを受け取った経験のある方も多いのではないでしょうか。キャッシュレス決済やネット通販の拡がりとともに、だれもが被害者となる可能性のあるクレジットカードの不正利用について確認し、その予防策や対応策もチェックしておきましょう。
クレジットカードの不正利用の9割超は「番号盗用」
日本クレジット協会が2023年3月に発表した調査結果によると、クレジットカードの不正利用の被害額は約436億円と過去最高に上ったそうです。これは「偽造カード被害額」「番号盗用被害額」「その他不正利用被害額」の3つを合計した数値ですが、なかでも大きな割合を占めるのが「番号盗用」による被害額。その割合は2014年にも60%近くを占めていましたが、2022年は被害総額の90%超を占める約411億円にも上っています。
クレジットカード番号などの個人情報が盗まれて不正利用されると、カード名義人の知らないところでカード決済され、後日、覚えのない請求を受け取ることになります。
クレジットカードの不正利用の原因は
クレジットカードが不正利用される原因には、「カードの紛失・盗難」「スキミング(カードの偽造)」「通販サイトなどからの個人情報漏洩」「フィッシング詐欺」などが考えられます。
<紛失・盗難>
車上荒らしにあって車に置いていたカードを盗まれたり、荷物を置いたまま席を離れて財布ごと盗まれたり。セルフレジでクレジットカードを使ったあと、カードを置き忘れそうになったことはありませんか?クレジットカードの紛失や盗難は、ちょっとした油断で引き起こされます。
<スキミング>
「スキミング」は、「スキマー」と呼ばれる機器を使って、クレジットカードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取る手口。カードそのものは盗みません。情報をもとにカードが偽造されて不正利用につながります。スキマーをATMのカード挿入口やゴルフ場・ジムのロッカー等に設置してカード情報を読み取るなどの巧妙な手口で、知らないうちに被害に遭っていることもあります。
<ウェブサイトからの情報漏洩>
ネット通販サイトなどが第三者による不正アクセスを受け、第三者にクレジットカード情報などの個人情報がわたり、不正利用されることもあります。
<フィッシング詐欺>
カード会社やネット通販サイト等を装った第三者が、偽サイトのアドレスを掲載したメールやSMSを送り、偽サイトに誘導してクレジットカード番号や暗証番号、住所などの個人情報を入力させ、情報を盗む手口です。手口は巧妙化、多様化しており、大手企業のアドレスやロゴ、ホームページデザインそっくりに装っている場合もあります。
クレジットカードの不正利用を防ぐために
このように、クレジットカード情報を盗む手口は多様化していますが、ちょっと注意するだけで防げる手口もあります。クレジットカード自体やクレジットカード情報の取り扱いを振り返ってみましょう。
クレジットカードの不正利用を防ぐために、また、被害を少しでも抑えるために、次のようなことに気を付けましょう。
・紛失・盗難を防ぐ
置き忘れない、目の届かないところに置きっぱなしにしないだけでも、盗難・紛失を防ぐ可能性は高まります。
・クレジットカードには署名しておく
カードが家に届いたら、署名欄にサインしておきましょう。記名欄があるのに空欄にしたままではカードは使用できませんし、盗んだあるいは拾った第三者が勝手にサインして使われる可能性もあります。
・暗証番号は、第三者が推測されにくい番号に
クレジットカードで買い物するときなどの本人確認に必要な暗証番号は、第三者が推測されにくい番号にしましょう。日本クレジット協会では、「生年月日」「電話番号」「自宅住所の郵便番号や番地」「4桁の同じ数字」は、特に推測されやすい番号としています。
・不審なメール等に慌てない、安易にリンクを開かない
フィッシング詐欺のメールなどは、「セキュリティ上の問題がある」「48時間以内に手続きを」等のあおり文句で、偽サイトへのリンクを押させようとします。利用しているカード会社を装っているものには特に焦りますが、メールのリンクを押すのではなく、あらためてカード会社のホームページを開き、自分自身の会員webページを確認したり、カード会社の窓口に問い合わせたりするとよいでしょう。
カード会社のホームページには、そのカード会社を騙る詐欺メールなどへの注意喚起が掲載されていることもあるので、参考にするとよいでしょう。
利用明細のチェックで、不正利用を発見
不正利用に気づかなければ、対処もできません。不正利用に気づかないまま放置していたら、不正な利用額が膨らんでいく可能性もあります。利用明細書が送られてきたら、使った覚えのない利用履歴(日付、利用先、金額)がないかなどを確認しましょう。なお、家族カードの利用明細は、本会員カードの請求に含まれます。本会員が把握していない、家族の利用履歴がある可能性もあるので、覚えのない請求については家族にも確認してみましょう。
さらに、もっと頻繁に利用履歴がチェックできれば、早く被害に気づくことができます。カード会社の会員webサービスでも確認できますし、カード会社によっては、カード利用ごとに利用したことを知らせるメールサービスが用意されている場合もあります。家計簿アプリとクレジットカードを連携させて、確認することもできますね。
クレジットカードの不正利用の被害にあったら
利用明細書等でクレジットカードの不正利用に気づいた場合や、カードを紛失したり盗難にあったりした場合には、すぐにカード会社に連絡し、警察へ届出、カードの再発行手続きを行います。
クレジットカードには、多くの場合、紛失・盗難による不正利用に対する保険が付帯されています。例えば、紛失等についての連絡日から60日前以降に発生した不正利用の被害額が補償され、不正利用分の支払いが免除されるサービスなどがあります。したがって、クレジットカードを紛失した場合はクレジットカード会社へのすみやかな連絡が必要です。保険適用されるためには、警察への届出も条件になります。
なお、クレジットカードが紛失、盗難にあった際に、他人に推測されやすい暗証番号を設定していた場合、カードを紛失・盗難等により不正使用されたとしても、カードの紛失・盗難の保険による補償対象とならない場合があります。
カードの紛失・盗難については、クレジットカードの会員規約にも書かれているので、一度ご確認ください。
1)クレジットカード会社に連絡し、カード利用を停止する
クレジットカード会社に連絡し、カードの利用を停止してもらいます。クレジットカード裏面には、カード発行会社の連絡先電話番号が記載されています。また、カード会社の会員用WEBサービスページで手続きできる場合もあります。不正利用がされているかどうかをカード会社で調査されます。
カード会社に連絡したときには、その後の届出・手続き方法についても確認しておきましょう。
2)警察へ届ける
クレジットカードを紛失したり盗まれたりした場合には、警察に紛失届もしくは盗難届を出します。
3)クレジットカードの再発行
クレジットカードの利用停止後は、そのクレジットカードは利用できません。届出・手続きをしたうえで再発行を待ちましょう。
キャッシュレス決済やネット通販が拡がる中で、利用頻度も多いクレジットカード。盗難・紛失に気を付けることはもちろん大切です。しかし、カード情報の盗用の手口は巧妙化しており、防ぎきれない場合もあるでしょう。その際、不正利用の被害をできるだけ小さく抑えるには、早く不正利用に気づくことが大切です。クレジットカードの利用明細をまめに確認し、万一不正利用に気づいたら、素早くカード会社に連絡して、被害を最小限に抑えるようにしたいですね。