もしかして雨漏り? 原因の見つけ方とチェックポイントを解説

強い雨が降ったり長い間雨が降り続いていたりすると、気になるのが家の雨漏りです。雨漏りが疑われる場合には、まず目視で原因を確認して、適切な対処をしなければなりません。

この記事では、一般の人ができる雨漏りの確認方法について解説します。少しでも兆候が見られるなら、早めに確認・対処して快適な住環境を保ちましょう。

雨漏りを疑うべき予兆

雨漏りが発生したら早めに対処することが肝心です。雨漏りを疑うべき予兆やサインには、どのようなものがあるのか見ていきましょう。

天井からの水滴
天井から水滴が垂れてくるというのは典型的な雨漏りの症状の一つです。屋根や外壁の隙間などから侵入した雨水が屋根裏を通って天井に流れ込み、室内に水滴としてポタポタ落ちてきます。

戸建て住宅において、雨の日の当日や雨が降ってから数日以内に見られるようであれば、かなりの確率で雨漏りと考えられるでしょう。一方、水滴が寒い日にだけ見られる、天井全体に拡がっているというような場合は、結露による水滴の可能性もあります。

また、集合住宅では上階での配管破損などによる漏水の可能性もあるため、管理会社やオーナーに確認するとよいでしょう。

壁や天井のシミ

天井のシミで雨漏りに気づく

天井や壁にうっすらと残っているシミで、雨漏りに気づくケースもよくあります。

シミを見つけたら、天井板や壁紙が濡れていないかチェックしましょう。まだ濡れているようなら、雨漏りが発生してからまだそれほど時間が経過していません。逆に乾いていれば、雨漏りがしばらく放置されていたと考えられます。

天井からの水垂れと同様に結露が原因の場合もあるため、どちらに起因するものなのか見極めが必要です。

壁紙の剥がれ
外部から雨水が侵入して天井や壁が濡れると、壁紙を貼るのに使われている接着剤の力が弱まります。

天井や壁の一部の壁紙が浮いたり、ふくらんだりしていませんか。そういった症状が見られる場合も雨漏りを疑うべきでしょう。さらに症状が進行すると、壁紙が剥がれ、めくれ上がってしまうこともあるので注意が必要です。

カビ
雨漏りが発生してから一定期間が経過すると、水に濡れた箇所にカビが繁殖してしまうケースがあります。雨漏りに気づかず放置してしまったときに起こる現象です。

特に、壁や天井のつなぎ目などに集中してカビが生えている場合は、雨漏りの可能性が高いと考えられます。

雨漏りを目視で確認できなくても、部屋に漂うカビの匂いで発覚することもあります。

天井板のふくらみ
天井板にふくらみが見られるというのも雨漏りのサインです。天井が壁紙仕上げではなく、ボード仕上げの家で起こる現象です。

天井ボードには吸水すると膨張する性質のものがあり、雨漏りによって水分を大量に含むとふくらみます。

目視でわかるほどふくらんでいるのは、吸収しきれなかった水が天井裏に溜まっている可能性が考えられます。進行すれば天井ごと落ちてしまうなど、かなり危険度の高い状況です。

目視による雨漏りの原因調査

雨漏りが疑われる場合、いち早く原因を突き止める必要があります。一般の人でもできるのが目視による原因調査です。

屋根
雨漏りの原因として多くの人がまず考えるのが、屋根ではないでしょうか。

屋根を点検する際には、以下のポイントをチェックします。転落の危険があるため屋根には上がらず、地上から見るようにしましょう。

⚫︎屋根材のひび、破損がないか
⚫︎屋根材のズレ、脱落がないか
⚫︎屋根の留め具が浮いたり外れたりしていないか
⚫︎屋根に雑草やコケが生えていないか

屋根材のひび・破損・ズレ・脱落といった不具合は、台風・地震など外的要因によるものと、設置工事の施工不良によるものが考えられます。現状雨漏りが発生していなくても、将来いつ起きてもおかしくないため、早めに補修したほうがよいでしょう。

なお、雨漏りは必ずしも屋根が原因とは限りません。他の箇所から雨が侵入するケースも多いので気をつけましょう。

外壁

外壁のシーリングの劣化が原因のことも

意外に思うかもしれませんが、外壁は雨漏りの発生源になりやすい箇所です。劣化した外壁を放置した結果、隙間から雨水が侵入して雨漏りにつながります。

どのような建材であっても経年劣化は起こるので、当然外壁も築年数とともに劣化していきます。特に、外壁パネルの目地を埋めるために使われるシーリング(コーキング)の劣化は雨漏りに直結するため、定期的な打ち直しが欠かせません。

外壁の点検時には、次のポイントを確認しましょう。

⚫︎シーリングが剥がれたり、ひびや亀裂が入っていたりしないか
⚫︎外壁にクラック(ひび割れ)がないか
⚫︎外壁にカビやコケが生えていないか
⚫︎水切り金具が劣化していないか

経年劣化のほか、自然災害をはじめとした外的要因、施行不良による不具合も考えられます。外壁の不具合や劣化を発見した場合も、早めに専門会社に相談して補修しましょう。

窓・サッシ
窓・サッシから雨漏りすることもあります。窓枠の周辺にシミやカビが発生している場合は要注意です。

窓・サッシからの雨漏りで考えられる原因は2つあります。一つは、窓やサッシの経年劣化により生じた隙間から雨が入り込むケース。もう一つは、サッシと外壁の間のシーリングが劣化して、周囲から雨が入り込むケースです。

窓・サッシにおけるチェックポイントは次のとおりです。

⚫︎窓やサッシを開閉したときに隙間ができないか
⚫︎窓ガラスのパッキンが摩耗していないか
⚫︎窓周辺の外壁にクラックがないか
⚫︎窓を囲むシーリングが剥がれたり、ひびや亀裂が入ったりしていないか

雨樋
屋根や外壁に降り注いだ雨水を地面に排出する役割を果たすのが雨樋です。雨樋が何らかの理由で詰まり、適切に雨水を排出できなくなると、外壁や屋根の一部に雨水が溜まってしまいます。溜まった雨水が室内に侵入して、雨漏りが発生することもあります。

また、雨樋が十分に機能しないと、屋根や外壁の劣化を早めるリスクもあるでしょう。将来、屋根や外壁からの雨漏りにつながるケースもあるため、早期に対処するのが安心です。

雨樋を目視する際は、次の点を中心に確認しましょう。

⚫︎落ち葉やゴミで詰まっていないか
⚫︎接合部に隙間ができていないか
⚫︎接合部の接着剤が劣化したり剥がれたりしていないか
⚫︎途中で歪んだり曲がったりしていないか
⚫︎穴や破損が生じていないか

雨漏りを放置すると二次被害のおそれ

雨漏りを放置すると二次被害につながり、損害が大きくなる危険性もあります。どのような二次被害が考えられるのか見ていきましょう。

木材の腐朽の進行
雨漏りを放置すると、建物構造に使われている木材が雨水に濡れ、やがて腐ってしまいます。

雨漏りを目視で確認できるということは、天井裏、外壁と内壁の間など、目に見えない構造部にも水が侵入しているのは確実です。換気が行き届かない場所はジメジメの状態になり、木材を腐らせる腐朽菌が繁殖します。

特に木造住宅では、柱や梁といった主要構造部が腐ってしまい、住宅全体に深刻なダメージを与える危険もあります。

また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅にとっても雨漏りは大敵です。構造部に使われている金属が水分によって錆び、建物の強度が下がってしまうリスクがあります。

シロアリに狙われる

腐朽した木材をシロアリが狙う

雨漏りで腐った木材はシロアリの大好物です。シロアリが木材を食べることによって、さらに構造が朽ちていくという悪循環に陥ります。

雨漏りでできた隙間を縫って、シロアリは木材を食べながら侵入してきます。一度繁殖するとプロの駆除会社に依頼しない限り、完全に防除するのはほぼ不可能です。

住宅のダメージを深刻化させないためにも、雨漏りを見つけたら迅速な対応が必要といえるでしょう。

カビによる健康被害
上で紹介した2つの被害は、家の存亡にかかわる深刻な問題です。そこまではいかない場合でも、健康被害を生じる二次被害もあります。

雨漏りによって雨水が室内に侵入すると、家の中の湿気が増します。見たところは大きな被害がなくても、空気中の雑菌やダニ、カビなどが発生しやすい状況になります。

特に、小さな子どもやアレルギー体質の人がいる家庭は要注意です。ダニの繁殖がハウスダストアレルギーの要因になるだけでなく、吸引したカビが「過敏性肺炎」を引き起こす可能性があると指摘されています。

家族の健康を守る観点からも、雨漏りを放置してはいけません。

参照元:社会福祉法人 恩賜財団 済生会「過敏性肺炎」

まとめ

梅雨や台風など雨の多い時期に発覚することの多い雨漏り。雨漏りによる影響はシミができる、水が垂れてくる、カビが生えるといった表面上の問題にとどまりません。最悪の場合、家の強度や家族の健康にまで害を及ぼすリスクもあります。

雨漏りが発覚したら決して放置せず、すみやかに専門会社へ連絡し、修理を依頼するようにしましょう。

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