敷金と礼金の違いと相場は? よくあるトラブルと対処法も解説!

賃貸物件の契約時には、敷金や礼金など初期費用の支払いが必要です。しかし、この敷金や礼金はそれぞれどのような意味を持つものなのでしょうか。
今回は、部屋探しをしている人、もしくはこれから部屋探しをする予定の人に対し、敷金と礼金の目的や違い、それぞれの相場について紹介します。
また、「ゼロゼロ物件」の概要と契約時の注意点のほか、敷金や礼金に関してよくあるトラブルと対処法についても解説しますので、参考にしてください。

敷金と礼金の違いとは?

まず、敷金と礼金についてそれぞれどのような違いがあるのかについて解説します。
敷金と礼金の違いをきちんと理解しておくことで、契約後に発生するトラブルを防ぐことにもつながりますので、ここでしっかりと理解を深めておきましょう。

敷金とは?
敷金とは、退去時に必要となる原状回復費用や家賃の不払いが発生した際に、そこから補填する、いわば担保としての役割を持っています。そのため、敷金は「預かり金」として処理され、退去時に原状回復費用との差額を返還してもらえます。

また、西日本には「敷引き」や「保証金」といった独特の慣習があります。
敷引きとは、「預けた敷金のうち、一部を返還しない特約」を意味し、性質上礼金と同じと考えてよいでしょう。
保証金とは、敷金と同じ「物件契約時に支払い、退去時に返還される」ものです。

東日本では「敷金・礼金」と記載されているものが、西日本では「敷金・敷引き」「保証金」などと記載されているため混乱するかもしれませんが、保証金と敷金は同じ意味を持つこと、そして敷引きとは敷金の一部が戻らない特約と理解しておきましょう。

礼金とは?
礼金とは、その部屋を貸してくれる大家さんに対してお礼の意味で支払うお金で、敷金のような返還はありません。

礼金は昔からの慣習が残っているもので、お世話になる人に対する心づけという意味では日本の文化がよく表れているといえます。ただ、最近では礼金の役割も薄れてきており、礼金を取らない物件も増えてきています。

ちなみに礼金を取るのは民間の賃貸会社だけです。たとえば住宅供給公社が所有して管理している公社賃貸住宅に入居する場合、礼金を支払う必要はありません。住宅供給公社は自治体によって設立されており、全国に37公社(2020年4月時点)存在します。県営住宅や市営住宅は公営住宅と呼ばれ、入居者の要件などが公社の賃貸住宅とは異なる点も覚えておきましょう。公社賃貸住宅は公営住宅よりも入居者の規準が緩く設定されています。

敷金・礼金の相場は?

敷金や礼金の相場は、地域によって異なります。

一般的に都市部の単身者向け物件の場合は、敷金と礼金が各1ヶ月~2ヶ月(もしくは合計で2ヶ月~3ヶ月)程度といわれています。
ただし、ファミリー向けの物件や人気のある物件、さらにペットを飼育する場合などは、敷金と礼金の合計額が家賃3ヶ月分以上になることもめずらしくありません。

ファミリー向けの物件やペット可の物件などは、退去時に発生する原状回復費用が通常よりも多くなることを見越し、敷金を多めに設定するケースが目立ちます。敷金を多めに取る契約になっているなら、退去時の原状回復費用がどのくらいかかっているのか、目安を聞いておくことをおすすめします。

また、敷金および礼金ともに不要とする「ゼロゼロ物件」も存在します。

敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」とは?

敷金や礼金が不要の「ゼロゼロ物件」にはどのような特徴があるのでしょうか。「ゼロゼロ物件」が募集される背景や、「ゼロゼロ物件」を契約する際の注意点について解説します。

ゼロゼロ物件の特徴とは?
人気のある物件はゼロゼロ物件にはなりにくいことから、ゼロゼロ物件には何らかの理由があり、下記のような特徴を持つ場合が多くあります。

・築年数が古い
・駅からの距離が遠い
・人気の設備がない

さらに、入居者トラブルが絶えない、事故物件であるといった問題が隠れているケースも少なくありません。

敷金・礼金なしで入居者募集される背景とは?
本来なら、大家さんや賃貸会社など貸主側としては返金不能の礼金を受け取りたいものです。しかし、賃貸経営を続けるにあたり、入居者がいなければ家賃収入が得られません。そのため、敷金や礼金なしでも、早く空室を埋めたいと考えるのです。

また、インターネットの普及により、簡単に物件が探せるようになったことも理由の一つといわれています。インターネット上で比較検討ができるため競争が激しくなり、貸主側としても入居者の確保に一層の力を入れている背景が読み取れます。

ゼロゼロ物件を契約する場合の注意点とは?

一見お得に見えるゼロゼロ物件ですが、契約する場合には以下の点に注意しましょう。

注意点1:初期費用はかかる
ゼロゼロ物件だからといって、初期費用が全くかからないわけではありません。賃貸住宅に住むにあたり、敷金と礼金以外にも前家賃や火災保険料、保証会社への保険料、不動産会社への仲介手数料が必要です。ゼロゼロ物件は敷金と礼金が不要となるだけなので、それ以外の費用は発生することを忘れないようにしましょう。

注意点2:退去時のトラブルが多い
通常の賃貸物件なら、退居する際の解約予告期間は1ヶ月前とされているのが一般的です。しかし、ゼロゼロ物件の場合解約予告期間を2ヶ月としているところもあり、通常の賃貸物件と比べると違約金の設定が厳しくなっていることがあります。
ほかにも退去時のトラブルはたくさんありますが、それについてはまとめて後述します。

注意点3:修理費用が割高のケースがある
鍵の交換代金やクリーニング代金など、入居者が支払う費用が割高になっているケースがあります。

ゼロゼロ物件だからといってお得だと思わず、初期費用の見積もりが相場と乖離していないかよく確認し、契約書にもすみずみまで目を通すようにしましょう。

敷金・礼金に関するよくあるトラブルと対処法とは?

ここからは敷金と礼金に関するよくあるトラブルとその対処法について解説します。トラブル発生時に慌てることのないように、対処法や予防法についてしっかりと理解しておきましょう。

多額の退去費用を請求された!
通常、入居者が退去時に支払うべき原状回復費用は、「通常の住み方、使用方法でも発生するもの」以外の部分です。たとえば、壁に穴を開けてしまった場合や、子どもの落書きやタバコのヤニなどで壁紙の張り替えが必要なケースだと、入居者が原状回復費用を負担しなければなりません。

普通に暮らしている場合の、日焼けによる色あせなどは入居者ではなく大家さん側に原状回復の義務があるとされています。

しかし、退居時に費用をどちらが負担するかでトラブルになったり、いきなり高額の原状回復費用を請求されたりするケースもあります。

このようなトラブルを防ぐためには、まず入居時の契約締結の際に、退去時に請求される費用に関する取り決めを確認しておきましょう。また、入居時の状況を写真で撮影し、自身が壊したり汚したりしたのではないことを証明できるよう、記録しておくことも効果的です。
さらに、退居立ち合いの際に修繕費用の見積もりを提示された場合、内容をきちんと確認し、納得がいかない場合はサインをしないよう心がけましょう。

国土交通省では、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しています。その内容を理解し、原状回復費用がガイドラインに沿った内容になっているか確認したうえで最終的にサインをするようにしてください。

敷金が返金されない!
高額な退居費用を請求されるのと同様に、修繕箇所が多いことなどを理由に敷金を返還しないトラブルも増えています。

このようなトラブルを防ぐためには、入居時の契約締結の際に敷金から差し引かれる費用(清掃費用など)について、契約書の記載内容を確認することが大切です。不明な点があれば、サインをする前に質問して納得のいく内容に修正してもらいましょう。

さらに、ここでも「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が重要なポイントになります。内容を確認し、ガイドラインに沿ったものかどうかを確認するようにしましょう。

まとめ

賃貸物件を契約する際に支払う敷金は「一旦預けておき、退去時に返還されるもの」、礼金は「お礼として渡すもの」で返還されないという違いがあります。

最近では敷金や礼金が不要のゼロゼロ物件も出てきていますが、デメリットなどが隠れている場合が多く、退去時にトラブルになるケースが多いため、契約時には契約書をしっかりと確認するなど対策を講じておきましょう。

また、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の内容についても理解を深めておくことが大切です。

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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