原材料価格や物流費の高騰、世界情勢などの影響により、あらゆるものやサービスの値上げラッシュが続いています。そうした中、社員の生活を支えるべく、物価上昇率を上回る賃上げを実行する企業が増えています。合わせて人材確保や年功序列の給与体系を見直す動きなどにより、新卒の初任給を大幅に引き上げる企業も相次いでいます。2023年の初任給は、平均してどれくらい上昇しているのでしょうか。
大卒の約7割、高卒・短大卒・院卒の約8割が初任給を引き上げ
労務行政研究所が「2023年度 新入社員の初任給調査」を実施。東証プライム上場企業157社を対象として、2023年の初任給について調査をしたところ、70.7%の企業が全学歴で引き上げたと回答。2022年の同調査で全学歴引き上げた企業は41.8%で、28.9ポイントの大幅上昇となりました。
学歴別に一律設定の場合の初任給水準を見ると、高校卒が18万3,388円、短大卒が19万5,227円、大学卒が22万5,686円、大学院卒修士が24万3,953円で、2022年度の初任給と比べてそれぞれ3%以上上昇している結果に。大学卒で見ると、昨年の21万8,861円から6,825円のアップ。上昇率は3.1%でした。
学歴別に決定初任給の改定状況を見ると、高校卒が84.5%、短大卒が79.8%、大学卒が71.7%、大学院卒修士が79.1%の企業が初任給を引き上げていることが分かりました。引き上げた初任給の上昇額については、大学卒の場合で500円~4万7,500円と幅広く、平均上昇額は9,523円、最も多い価格帯は「1万円~1万1,000円未満」で18.6%を占めています。
初任給が大幅にアップした要因は企業によりさまざまですが、賞与や退職金制度の縮小・撤廃や、勤続年数による賃金アップする仕組みの廃止を背景としているケースも少なくありません。初任給の金額にとらわれ過ぎず、どの程度の年収が見込めるのか冷静に判断するとともに、将来に向けた資金計画を立ててみてはいかがでしょうか。