「楽しみながら生活を豊かに」をコンセプトのウェブマガジン『REISM STYLE』より、生活の中のさりげないワンシーンやアイテムを通して自己表現できる、とっておきの楽しみ方をご紹介いたします。
ふるさと納税は、地方自治体へ寄付した金額から2,000円を差し引いた金額がふるさと納税をした年の所得税から寄附金控除として、または翌年の住民税から寄附金控除として還付されるお得な制度だ。
しかし、ふるさと納税をした後で引越しをした場合、状況によっては通常と異なる届出をしなければいけない可能性がある。「引越し後の手続きをしなかったせいで控除が受けられなかった」ということがないよう気をつけたい。今回は、ふるさと納税後に引越しをしたときの対処法について解説する。
ふるさと納税後の引越しで手続きが必要な場合
ふるさと納税をした日の翌年1月1日までに引越しをした人のうち、下記のどちらかに該当する場合は住所変更手続きをしなければならない。
<ふるさと納税後に引越しをしたために手続きが必要となるケース>
・ワンストップ特例制度の申請をしている
・返礼品をまだ受け取っていない
例えば、2023年4月10日にふるさと納税をして、同年10月1日に引越しをした人が、ワンストップ特例制度を申請していた場合、手続きが必要になる。
一方、上記の人の引越しが2024年1月2日以降で、すでに返礼品を受け取っていれば、手続きは必要ない。
なお、このときの「引越し日」とは、住民票の移動日を指す。荷物を新居に移動したのが12月31日や1月1日であっても、住民票の移動日が1月2日以降であれば、ふるさと納税の住所変更手続きはしなくて良い。
ワンストップ特例制度の申請をしている人の住所変更手続き
ワンストップ特例制度の申請をしている人が翌年1月1日までに引越しをした場合、寄付先の自治体に対する届出が必要だ。「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を、ふるさと納税をした年の翌年1月10日までに各自治体に提出しよう。この届出書は各自治体のウェブサイトからダウンロードできる。
なお、寄付先が複数ある人は、すべての自治体に提出しなければならない。
もし、届出書の提出が間に合わなかったり忘れたりしたときは、寄附金控除を受けるために確定申告を行う必要がある。届出書を出さず、確定申告もしないと、ふるさと納税のメリットを得られなくなってしまうため、必ずいずれかの対応をとろう。
寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書と、届出書に記入する箇所は下記のとおりだ。
■寄附金税額控除に係る申告特例変更届出書
<記入方法>
・一番上の「令和 年」に該当の年を記入(2023年の寄付であれば令和5年)
・宛先部分に、記入日と寄付をした自治体名を記入(例:渋谷区長 殿)
・宛先の下の「住所」「フリガナ」「氏名」「性別」「電話番号」「生年月日」欄に現在の情報を記入する
・「申告特例申請書に記載した内容」に、引越し前の情報(申請時の情報)を記入する
・線の下の「令和 年」に該当の年を記入し、太線内「住所」「氏名」を記入する
整理番号や受付日付印、受付団体名などは空欄のまま提出しよう。
返礼品をまだ受け取っていない人の住所変更の手続き
返礼品を受け取っていない状態で引越しをしたときは、すみやかに住所が変わった旨を届け出よう。届け出ていない場合、引越し前の住所に返礼品が送られてしまう。
このような場合は、寄付をした自治体に対して返礼品の発送先を変更してほしい旨を連絡する。寄付先の自治体の連絡先は、ふるさと納税ポータルサイトの該当の地域ページや市役所のサイト等に記載されているため、確認してみよう。
また、併せてやっておきたいのが宅配業者各社への転送依頼だ。返礼品以外の荷物が旧住所に送られるリスクも回避できるため、引越しに関する各種手続きと合わせて行っておこう。
ふるさと納税後に引越しをしても手続きが必要ない人
ふるさと納税をした後で引越しをしていても、手続きをしなくてもいい人もいる。手続きが必要ない人の5つのパターンを紹介しよう。
ふるさと納税をした翌年1月2日以降に引越しをした人
住民税は1月1日時点の住所地を元に計算されるため、前述のとおり、1月2日以降に引越しした人は手続きが必要ない。
例えば、2023年分の所得にかかる住民税は、2024年1月1日時点で住んでいる場所をもとに計算する。
確定申告でふるさと納税の申告をする人
ワンストップ特例ではなく確定申告でふるさと納税の申告をする人は、引越しの手続きは必要ない。確定申告書に1月1日時点の住所を記載すればよい。
なお、この場合、確定申告書に添付する寄付金受領証明書の住所と確定申告書の住所が同一にならないが、基本的に問題はない。新住所を記載した受領証明書を再発行してもらうといった手続きは不要だ。
これからワンストップ特例制度の申請書を提出する人
「ワンストップ特例制度を利用したいが、まだ手続きをしていなかった」という人は、引越し後の住所で申請を行えば良い。そのため、引越しに関する手続きは不要だ。
なお、ワンストップ特例制度の手続きは「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付先の自治体に提出することで行う。なお、ふるさと納税ポータルサイトによっては、ワンストップ特例制度をオンラインで行えるアプリなどを用意しているところもある。このようなサービスを利用すれば、書類の印刷や記入、郵送は必要ない。ただし、手続き自体は必ず行わなければならないため、忘れないようにしよう。
同じ市区町村内で引越しをする人
同じ市区町村内での引越しであれば、住民税の納付先は引越し前も後も変わらない。そのため、ふるさと納税に関する手続きも不要となる。引越し時に「転出届」や「転入届」ではなく「転居届」を提出した人は、同じ自治体内での引越しだ。
海外に引越しをする人
海外に引越しをする人は、時期を問わずふるさと納税の手続きが不要になる。これは、海外に引越しする場合、そもそも住民税の課税対象にならないためだ。
住民税は、1年間の所得に対して、翌年の1月1日時点で住民票がある自治体に納める税金だ。そのため、ふるさと納税をした翌年1月1日の時点で住民票が日本になければ、課税されることはない。ただし、課税されないため、ふるさと納税をしたことによる寄附金控除を受けることもできない点に注意が必要だ。
引越しをするときはふるさと納税の手続きが必要か確認しよう
引越しをする際は、さまざまな手続きが必要になるため、タスクリストを作ってこなしていこう。ふるさと納税についても、手続きが必要かどうか確認して、リストに反映させておく必要がある。
しかし、やらなければならない手続きは少ないほうが良い。あらかじめ引越しが決まっている、あるいは引越しの可能性があるのであれば、引越しをした後でふるさと納税をするのがスムーズだ。
ふるさと納税は、12月31日の23時59分までの申し込みであれば、その年の所得税、および翌年納める住民税で寄附金控除の対象となる。場合によっては住所変更手続きをしなくてはならなくなるため、引越しや転勤の可能性がある場合は、確定してから行うのがおすすめだ。
※この記事はREISM株式会社が運営するREISM Styleの記事を一部編集、転載しています。
(最終更新日:2023.05.18)