ログハウスとは? 工法ごとの価格相場とメリット・デメリットを解説

ログハウスは、自然を感じられるワイルドな雰囲気が魅力的ですが、意外と知られていないメリットもあります。この記事では、ログハウスの概要とともに、メリットやデメリット、価格の相場を解説します。ログハウスの魅力を知るために、ぜひ参考にしてください。

ログハウスとは

ログハウスとは、どのような建物なのでしょうか。ここではまず、ログハウスの概要を説明します。

ログハウスの意味
ログハウスとは、丸太を積み重ねた壁で囲まれている建物です。「ログ(log)」は、英語で「丸太」を意味しています。もともとは、職人が加工した丸太をそのまま建材として使用する方法が一般的でした。ログハウスに使用される木材は針葉樹が主で、日本国内でログハウスを建てる場合は、国産スギや輸入された北欧パインなどが用いられます。

なお、ログハウスという名称は和製英語で、海外では「ログキャビン」や「ログホーム」などと呼ばれます。

ログハウスと他の木造住宅との違い

日本の木造住宅の主流である軸組工法

ログハウスと他の木造住宅の大きな違いは工法です。一般的な日本の木造住宅は、木造軸組工法(在来工法)または木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)で建てられています。木造軸組工法とは、柱と梁を組み合わせて住宅を建てる方法です。一方、木造枠組壁工法はパネルで壁・床・天井の面を作り、それらの組み合わせによってできる6面体をもとにして建設します。

これらに対し、ログハウスは丸太組工法で作られています。

正倉院は日本最古のログハウス

校倉造りは日本古来のログハウス(写真は唐招提寺宝蔵)

ログハウスの工法は、実は日本にも古くからあります。日本で最も古いログハウスは、奈良県にある正倉院です。正倉院は日本の伝統的な建築方法である「校倉(あぜくら)造り」でできており、丸太組工法と同様の構造になっています。

東大寺大仏殿の裏手にある正倉院は、奈良時代に建てられた書巻文書、文房具、調度品などの宝物が収蔵された建物です。国宝に指定され、ユネスコの世界遺産にも登録されました。

ログハウスの価格相場

ログハウスを建てるとして、いったいどのくらいの価格で購入できるのでしょうか。ここでは、ログハウスの価格相場を解説します。

工法・材料・メーカーなどで価格は変わる
一口にログハウスと言っても、工法や材料、メーカーなどによって価格はさまざまです。

細かく見てみると、ハンドカットやマシンカット、ポスト&ビームなどログハウスにはさまざまな工法があります。また、ログハウスの主な材料は、国産材ならスギやヒノキ、輸入材ならパイン(欧州アカマツ)やダグラスファー(米マツ)、ウエスタンレッドシダー(米スギ)などです。メーカーもたくさんの会社が存在します。

以下では、工法別にそれぞれの価格(坪単価)の目安を紹介します。

ハンドカット
ハンドカットは、ログビルダーと呼ばれる職人が丸太を1本ずつチェーンソーで加工して積み上げる工法です。ハンドカットでログハウスを建てれば、木のぬくもりや職人の技をじかに感じられるでしょう。

最もメジャーかつ伝統的な工法ですが、すべてが手作業になるため、ログハウスの工法のなかで価格も最も高くなります。ハンドカットでログハウスを建てる場合の坪単価の相場は、80万~120万円程度となっています。

出典:一般財団法人 日本木材総合情報センター 木材利用相談Q&A100

マシンカット
マシンカットは、丸太を機械で加工して積み上げる工法です。コンピューターを活用するため、ログハウスを建てるための建材を効率的に用意できます。大量生産に向いており、現在では多くのログハウスがマシンカットによって作られています。

マシンカットでログハウスを建てる場合の坪単価の相場は、だいたい40万~65万円です。手間をかけずに木材を加工できるため、ハンドカットと比較すると価格が安めになっています。

出典:一般財団法人 日本木材総合情報センター 木材利用相談Q&A100

ポスト&ビーム
ポスト&ビームは、柱と梁で建物を建てる工法です。ポストは柱、ビームは梁を意味しています。ログハウスのポスト&ビームは、一般的な木造住宅を建てる際の木造軸組工法(在来工法)と同じ仕組みです。間取りや設計を自由に設定でき、リフォームや増築にも対応できます。

ポスト&ビームでログハウスを建てる場合の坪単価の相場は、60万~75万円です。ハンドカットとマシンカットの中間の価格相場となっています。

出典:BE-PAL ログハウスの価格相場は?種類別の目安や維持費、耐久年数も解説

ログハウスのメリット・デメリット

ログハウスは、一般的な住宅とどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、ログハウスのメリット・デメリットについて解説します。

メリット1・他にはない独特な佇まい

家にいながら森林浴をしているような雰囲気

ログハウスは積み上げた丸太により居住空間が作られており、他の住宅の工法にはない独特な佇まいがあります。室内にいながら天然の木の雰囲気を感じられるところが、ログハウスの最大の魅力でしょう。加工により整えられた丸太でも、よく見るとさまざまな模様や質感の違いを見て取れます。

また、天然木がふんだんに使用されているログハウスは、つねに木の香りに包まれています。木材独特の香りのもととなっている揮発性物質は「フィトンチッド」と呼ばれ、リラックス効果や健康増進効果があるとされています。

出典:林野庁 保健・レクリエーション機能

メリット2・地震や火事に強い
ログハウスは地震に強く、安心して過ごせるというメリットもあります。重量のある丸太が重ねられていることから、一般的な住宅よりも重量があり、重心も低い位置にあります。また、地震が発生すると、それぞれの丸太が摩擦しながら建物全体で振動を吸収できるというのもログハウスの特徴です。このような特徴により、地震による被害を小さく抑えられます。

また、ログハウスは火事にも強いことがわかっています。木に火がつくと表面は燃えますが、炭素の層ができるため途中で鎮火します。壁に丸太が敷き詰められているログハウスは、たとえ火災が発生しても全焼にいたるケースはほとんどありません。

日本最古のログハウスである正倉院が1,300年以上も建ち続けているのは、災害に強いという特徴も大きな要因の一つだといえるでしょう。

デメリット・メンテナンスが面倒
快適に暮らし続けるために、定期的なメンテナンスを要する点はログハウスのデメリットです。ログハウスには無垢材が使用されており、時間の経過とともに反り、狂い、ひび割れなどが発生します。そのような現象が起きると、ドアや窓のサッシの開け閉めがしにくくなるため注意が必要です。

特に、ログハウスを建ててからの数年間は、木材に含まれている水分が減っていき、壁が少しずつ下がっていきます。この現象は「セトリング」と呼ばれ、落ち着いた頃にボトルの締め直しをしなければなりません。建物全体に関わるため、専門会社へ対応を依頼する必要があり、その分の費用がかかります。

まとめ

ログハウスは天然の丸太をぜいたくに使用しており、独特な雰囲気が魅力的です。自然を感じながらリラックスして過ごしたい人には、特におすすめです。

一方で、他の工法よりメンテナンスが必要になるというデメリットもあります。ログハウスを建てる際には建築費用とともに、メンテナンス費用も予算に入れて検討しましょう。

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