家賃補助の平均額は? もらえる企業は減っている!? 家賃補助を徹底解説

家賃補助があると生活費の負担が軽くなるため、従業員にとっては助かるものです。家賃補助は必ず行わなければならないものではなく、家賃補助の有無や補助される金額は企業によって異なります。そのため、自分の企業の制度が一般的かどうか気になる人もいるでしょう。

そこでこの記事では、家賃補助制度を導入している企業の割合や支給の平均額、家賃補助にまつわる疑問について解説します。

家賃補助とは

家賃補助とは、それぞれの企業が行う福利厚生の一環であり、従業員が支払う家賃の一部を企業が負担する制度です。家賃補助は国や自治体から決められたものではなく、家賃補助がない企業でも法令違反をしているわけではありません。

ただし、自治体によっては、その地域に定住してもらうために独自に家賃補助や住宅取得のための補助を行っているところもあります。企業からの家賃補助は会社側からお知らせがくることがほとんどでしょうが、基本的に自治体からの補助は自ら調べ申請しなければなりません。

気になる場合は、自分が住む自治体のホームページなどで調べてみてください。

その他住宅関係の手当
住宅関係の補助は家賃補助だけではありません。企業が提供する住宅関連の福利厚生として、代表的なものを紹介します。

家賃補助を導入している企業の割合

家賃補助などの住宅手当の支給状況を企業規模別にまとめると以下のようになります。

企業規模が大きいほど支給割合はやや増えますが、全体的にみても住宅手当を支給している企業は約半数です。企業が家賃補助などの住宅手当を支給することは一般的とはいえないでしょう。

※参考
人事院|2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査の結果

家賃補助(住宅手当)の平均額

企業規模別の住宅関連の福利厚生費の平均額は以下のとおりです。

持家援助は住宅ローンの利子補給などが該当します。住宅手当も持家援助も企業規模が大きくなるほど平均額は上がる傾向にあります。ただ、全体を通して持家援助の平均額はかなり低い状況です。

※参考
一般社団法人日本経済団体連合会|第 64 回福利厚生費調査結果報告2019年度(2019年4月~2020年3月)

家賃補助にまつわるよくある疑問

家賃補助は法律によって決められているものではなく、企業によって支給状況はさまざまです。ここでは、家賃補助にまつわるよくある疑問についてお答えします。

もらえる条件は?
家賃補助制度は各企業によって自由に決められます。そのため、支給条件も企業によって異なります。よくある条件としては以下のとおりです。

・賃貸物件のみ支給
・家賃補助を受ける従業員が世帯主であること
・オフィスまで◯分の距離以内に住宅があること
・正規雇用で◯ヶ月以上連続勤務していること

このように、それぞれの企業によって条件は自由に決められます。家賃補助を受けられるかどうかは、所属企業の規約などを確認してみてください。

課税所得の対象となる?
家賃補助などの各種手当は課税所得の対象となります。課税所得の対象となる手当は家賃補助だけではなく、残業手当、休日出勤手当、職務手当、資格手当、家族扶養手当なども同様です。

所得税、住民税、社会保険料は課税所得の金額に応じて決められます。家賃補助が多く支払われることは喜ばしいことですが、その分課税所得も上がるため、支払う税金や社会保険料の額も上がることになります。

家賃補助がない企業はブラック企業?
企業規模が大きくなるほど家賃補助を行う割合が増え、平均額も上がります。しかし、家賃補助がない、もしくは少ない企業だからといってブラック企業であるとは限りません。家賃補助の有無は法律で決められておらず、家賃補助を導入していなくても問題はないからです。

また、家賃補助がない代わりにほかの手当が充実している企業や、その分基本給を手厚くする企業もあり、家賃補助だけで企業の良しあしは判断できません。企業がブラック企業かどうかは、家賃補助という観点だけではなく、総合的に判断することが必要です。

家賃補助が減っているのは本当?
日本経済団体連合会の調査によると、住宅関連の福利厚生費は1980年頃から1990年代後半までは徐々に増加していましたが、2000年以降減少に転じ、抑制傾向が続いています。ただ、大幅に減少しているわけではなく、1990年頃の水準にとどまってはいます。

家賃補助ではありませんが、国が地方公務員の持家手当の廃止を求めており、9割の市町村が持家手当を廃止しています。このように、住宅関連の福利厚生費は減少傾向にあることが現状です。

※参考
朝日新聞デジタル|職員の持ち家手当が復活? 佐倉市が議会提案 全国9割で廃止済み

家賃補助が減っている理由とは

家賃補助が減っている理由として、正規雇用者と非正規雇用者に不合理に差をつけることを無くすための同一労働同一賃金の存在があります。同じ仕事、同じ労働時間にもかかわらず、正規雇用者には家賃補助が出て、非正規雇用者には家賃補助がない、といったことは問題になるからです。

働き方改革として同一労働同一賃金が掲げられてから、手当を一律に排除し、賃金に反映させるという企業が増えました。

また、テレワークの普及により、労働時間だけではなく成果に対する評価が必要となっています。家賃補助は成果の有無に関係なく支給するもので成果主義に反することから、家賃補助の廃止や縮小をする、という企業もあります。

まとめ

家賃補助を導入する企業は約半数でした。また、企業規模によっても差はありますが、家賃補助を含む住宅手当の平均額は約1万円です。

また、社会全体として家賃補助は減少傾向にあります。それにはさまざまな背景や企業にとっての事情が絡んでいますが、一般的に同一労働同一賃金や成果主義の導入が理由となっています。

家賃補助は法的に規制があるものではなく、家賃補助がない企業でも問題があるとは限りません。企業の良し悪しを判断するときには、労働時間や給与から総合的に判断しましょう。

~こんな記事も読まれています~