【本当に住みやすい街大賞2023】シニア編第2位 西白井:若い世代にもアクティブシニアにも魅力ある街づくりを~白井市 笠井喜久雄市長に聞く~

2022年12月15日に開催された「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2023」。1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の中で「本当に住みやすい街」TOP10を発表するなか、千葉県白井市の西白井駅(北総鉄道北総線)がシニア編の第2位にランクインしました。そこで、白井市の笠井喜久雄市長に、受賞した思いや西白井の魅力、行政としての取り組みなどについてお話を聞きました。

白井市長 笠井 喜久雄(かさい きくお)さん
1959年生まれ。印旛郡白井村(現・白井市)出身。中央大学商学部を卒業後、1982年に白井町役場入庁。総務部長などを経て、2019年5月より現職。

※撮影時のみマスクを外しています

空港に近い立地と災害リスクの低さ、豊かな自然を兼ね備えた街

笠井市長
「一度足を運んでいただくと分かるのですが、白井市は都心へのアクセスが良く、緑に囲まれていてとても住みやすい場所。それを評価していただきありがたいです」と笠井市長

―まずは、今回の受賞に対する率直な感想をお聞かせください

正直なところ、驚きました。白井市は船橋市や柏市、八千代市といった知名度の高い市に囲まれていますし、隣の印西市は企業誘致が活発です。周辺の市に比べると白井市の認知度はやや低く、市民のみなさんから「もっと白井市の良さをアピールして欲しい」という声が多数届いていました。そうした中で今回選ばれたことをとても嬉しく光栄に思いますし、市民のみなさんもとても喜んでいます。

―白井市で生まれ育った市長から見て、白井市の魅力は?

白井市は、千葉ニュータウン事業で一気に発展しました。千葉ニュータウンは白井市・船橋市・印西市の3市にまたがる大規模なニュータウンですが、西白井駅前のエリアで千葉ニュータウンの入居を開始したのが、北総線の開通と同じ1979年のことです。当時は人口伸び率が日本で一番と言われたほど多くの人が転入し、同時に周辺の整備が進められました。

白井市の魅力はまず、成田空港にも羽田空港にもアクセスしやすく、都心に通勤しやすい「立地」です。次に「災害リスクの低さ」。北総台地にあり地盤が強いため地震や液状化によるリスクが少なく、大きな河川がないため過去に洪水被害もありません。そして、何十年も前からほとんど変わらない「豊かな自然」が残っています。西白井駅の近くには大きな公園が2つあり、裏には梨畑が広がっています。名産の梨は、千葉県で最も広い栽培面積を誇り、周辺には多数の直売所があります。加えて、日本で唯一のJRA競馬学校があり、街のシンボルとなっています。
こうした特徴が、高齢者にとって安心して暮らせる環境であると評価されたのではないかと考えています。

元気な高齢者を増やす取り組みが、街の活力に

笠井市長
「健康と安全、そしてコミュニティの形成が大切」と笠井市長

―今回はシニア編での受賞となりましたが、シニア層の支援に力を入れている理由をお聞かせください

日本の総人口に占める65歳以上の高齢者人口の割合は29.1%(2022年現在)ですが、白井市の高齢者人口の割合は28%(2023年1月末現在)と、現時点では全国平均をやや下回っています。また、2022年10月に、北総線で全体として15.4%の運賃値下げを実施。通学定期に関しては約65%の大幅値下げとなり、再評価のきっかけとなったようで、転入者が増えました。
しかし、これから千葉ニュータウン事業により入って来た団塊世代のみなさんが後期高齢者となります。高齢者の割合が一気に上がることが予測されるため、高齢者にとって安心して暮らせる環境づくりは必要不可欠です。

―具体的に、どのような取り組みを行っていますか?

高齢者ができるだけ元気に過ごせるよう、健康や介護予防に興味・関心を持ってもらうための取り組みを進めています。フレイル予防のための運動プログラムや、健康運動指導士のアドバイスをもとに作ったご当地体操「梨トレ体操」による効果的な体力づくりなどを実施。その結果、白井市の高齢者の要介護認定率は低くなっています。
自力で健康な生活を送り続けるため、運動による体力づくりと同じくらい重要なのが、人と人との関わりです。社会参加をすることが元気の源となります。白井市にはアクティブシニアがたくさんいて、学びたい人、地域活動をしたい人、仕事を続けたい人もいます。そうしたみなさんに合ったサービスを提供することも、行政としての役割だと考えています。また、白井市は元々、地域の繋がりが深いエリアです。地域のイベントなどに関する活動が活発で、地域の問題を「自分たちで解決しよう」と考える積極的な人が多い特徴があります。そうした人々の熱意が、元気に暮らしたい高齢者にとっても、街にとって大きな力となっています。

若い世代から高齢者まで、人と人とのつながりを大切にした取り組み

笠井市長
高齢者だけでなく、若い世代にも魅力ある街づくりを目指す笠井市長

―若い世代に対する取り組みも教えてください

全国的に少子高齢化が進んでいるのと同様に、白井市でも子どもの数の自然減により若い世代の人口が減少傾向にあります。そのため、白井市から大学卒業などのタイミングで市外に出てしまう若い世代に対し、企業を積極的に誘致して働く場所を確保し、若い世代に定住してもらえるよう尽力しています。現在はデータセンターが多いのですが、今後は地元の人を多く雇用してもらえる企業の誘致や仕組みづくりを進めていきたいですね。
また、子育て世代から「白井市に住みたい」と思ってもらえるように、ICTを活用した教育の推進や高校生までの医療費助成など、生活環境・教育環境・保育環境をトータルで改善し、地域全体で子どもたちの応援をする街づくりを行っています。
白井市に住んでいる親の近くで暮らしたいという、いわゆる近居を検討する子世帯のための政策も実施。「親元同居近居支援補助金制度」により、補助金を交付しています。

―若い世代が増えれば、高齢者と交流する機会も増えそうですね

白井市は千葉ニュータウンとともに多くの人が転入してきた街ですから、住民同士がはじめから顔見知りだったわけではありません。積極的に人とつながりを持たなければ、高齢者になったときに孤立してしまいます。若いうちから地域とつながりを持てるよう、行政がサポートしています。
例えば、若い人から高齢者までつながる仕組みとして、小学校区単位で「まちづくり協議会」を設立しています。これは子どもから高齢者まで幅広い年齢層の市民とさまざまな団体、自治体、PTAなどで構成する組織で、地域ごとの課題を解決する仕組みです。なぜ小学校区かというと、子どもたちがエリア内で遊んでいれば、親も同じ地域内でPTAなどのつながりを持つから。通常の自治会よりもバージョンアップした組織で、今回受賞した西白井エリアにも、大山口小学校区にまちづくり協議会を設立しました。住民同士が交流し、街づくりを進めながら、地域ぐるみのコミュニティを形成していきます。

白井市の魅力を伝えるために、市民が主体となり情報を発信

左から秘書課の今井さん、笠井市長、秘書課の楢原さん、秘書課の齊藤課長
左から秘書課の今井さん、笠井市長、秘書課の楢原さん、秘書課の齊藤課長

―これからの課題とそのための取り組みは?

若い世代の定住促進とともに、昼間人口(常駐人口から通勤・通学による流入と流出を反映した人口)と移動人口をいかに増やすかも課題です。2029年に成田空港が拡張されることで増える人を白井市に呼び込みたい。そのために、白井市にある資源をみんなで掘り起こし、発信する必要があると考えています。その取り組みのひとつとして、フォトプロジェクト事業を発足しました。小さな子どもから高齢者まで幅広い年齢層の「白井写真部員」が、自分の街のいいところを写真でアピール。みんなで白井市の魅力を見つけ、発信しています。

―白井市民に人気のおすすめのスポットを教えてください

一番人気があるのは白井市役所の隣にある「白井市文化センター」ですね。1994年のオープン当時は「文教田園都市」を目指して街づくりをしていて、そのシンボルだった施設です。図書館や文化会館、プラネタリウム館、郷土資料館などの複合施設で、特に人気があるのが図書館です。人口規模に対して蔵書数が56万冊以上と贅沢な蔵書数が自慢です。
また、私の個人的なお気に入りは旧地区の田園風景です。里山に川が流れていて林があり、蛍やたぬきなどさまざまな動物や植物が生息している、何十年も変わらない風景が好きです。都心で生活している人にとっては、心が洗われる風景ではないでしょうか。

―最後に、引っ越し先を探している人や検討中の人に向けてメッセージをお願いします

白井市は、成田空港まで約40分、羽田空港まで約1時間30分。都心に通勤するにも、海外出張をするにも便利な立地です。公園や野球場、陸上競技場、テニスコートなど体を動かせる施設が多く、地域活動をするにも適していますし、自然が豊かで農作業をすることもできます。落ち着いた生活をしたい人、趣味を満喫したい人、豊かな生活をしたい人に最適な街だと自負しています。「子どもを自然の中で自由に教育したい」「地域の人々と一緒に子育てをしたい」という人にもおすすめです。まずは一度、白井市にお越しいただき、街並みと「人のぬくもり」を感じてください。

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