シバンムシはどこからわくの? シバンムシの生態・特徴・駆除法を解説

乾燥麺類や乾燥しいたけ、小麦粉の袋などで見かけることの多い小さな虫は「シバンムシ」と呼ばれています。家の中にいつのまにか入りこみ、条件がそろえば大繁殖してしまうこともある害虫です。

シバンムシの被害はどのようなもので、どのような駆除方法が有効なのでしょうか。この記事ではシバンムシの特徴や生態、駆除方法について解説します。

シバンムシとは

まずはシバンムシの特徴や名前の由来、種類など基本的な情報について見ていきましょう。

特徴
シバンムシは雌のカブトムシやコガネムシとよく似た見た目をしていますが、体長は2~3mm前後しかありません。

基本的に冬以外の季節に発生するとされていますが、暖かい室内では年間を通して見かけることもあります。また午前中にはあまり活動せず、午後から夜間にかけて活発になるのも特徴です。

なお、幼虫はイモムシのような風貌で、体長は成虫とほとんど変わりません。卵から孵ると40日ほどでさなぎとなり、羽化して成虫になります。

名前の由来
シバンムシは漢字で「死番虫」と書き、英語名の「Death watch beetle」を和訳したものです。

この恐ろしげな名前は、シバンムシが発する音が由来です。繁殖期になると、シバンムシは木や家の柱などに頭を打ち付けて音を出し、異性を惹き寄せます。その音が「コチコチ」という時計の秒針に似ていたことから、昔のヨーロッパでは“死神が持つ時計の音“と表現されました。

タバコシバンムシとジンサンシバンムシ
世界に2,000種以上いるとされるシバンムシですが、日本に生息するのは137種類といわれています。なかでも日本でよく見かけられるのは、タバコシバンムシとジンサンシバンムシの2種類です。ほとんどのシバンムシが樹木につくのに対し、この2種類は人の食料に発生する「食品害虫(貯穀害虫)」です。

タバコシバンムシ(煙草死番虫)は、タバコの葉を食害する性質が名前の由来です。雑食性で、屋内では畳に使われる「い草」にわくことでも知られています。

また、ジンサンシバンムシ(人参死番虫)は、薬用人参(高麗人参)を食害することから名づけられました。なおジンサンシバンムシはタバコシバンムシと違い、畳での発生は確認されていません。

シバンムシの発生源

シバンムシはどのような場所に発生するのでしょうか。ここからは、シバンムシが出やすい場所や好む食べ物について解説します。

シバンムシが出やすい場所

ウールのセーターにわくこともある

シバンムシは、一般的に古くなった乾燥食品全般にわくことで知られています。

また、体が大変小さいため、窓や壁、ドアなどの隙間から家の中に侵入します。薄いビニール袋なら食い破って中に侵入できるので、袋に入れてある食品でも油断はできません。特に、パントリーや食品庫に長く置いてある乾燥食品の管理には気をつけましょう。食品工場・倉庫からの出荷製品やドライフラワーなどについたシバンムシが、外から持ち込まれてしまう場合もあるので注意が必要です。

シバンムシは食品だけでなく、ウールやカシミアなどの動物性繊維にわくこともあるため、クローゼットも発生しやすい場所だとされています。また、煙草の葉や畳のい草も好むため、畳や葉巻の箱で繁殖することもあります。

シバンムシが好む食べ物

保存している乾燥食品は要注意

シバンムシは、基本的に乾燥させた食品類によくわきます。

シバンムシが好む代表的な食品は、小麦粉やホットケーキミックスなどの粉類や、パスタ・そうめん・そばなどの乾燥めん類、ビスケット・クッキー・チョコレートなどの菓子類、米・麦・ナッツなどの貯蔵穀類、香辛料、薬草、干しシイタケやかつお節、ドライフルーツです。また、ペット用のドライフードに発生することもあります。

また種類によっては、古い書物や屏風、絵画などの古紙類も食害にあう可能性があります。

人体への影響

食品や衣服、畳などにつくことが多いシバンムシは、人体への影響も気になるところです。どのような被害があるのか、次から詳しく見ていきましょう。

人体へは無害
シバンムシが人を刺したり咬んだりすることはありません。そのため、蚊やマダニのように感染症を媒介する心配もないとされています。

しかし、食品に寄生して繁殖するため、人に不快感を与えるのは無視できない被害です。また、食品工場やパン屋などの食料品店などで発生すれば、商品が出荷できない状態になる事態も考えられます。

畳や服の繊維をかじられれば、家や持ち物の見た目が損なわれてしまうでしょう。

アリガタバチによる2次被害に注意
シバンムシ自体には、人体への健康被害はないとされていますが、ほかの害虫を呼び込む可能性があります。代表的なのが「アリガタバチ」です。

アリガタバチは寄生バチの一種で、アリと外見がよく似ていることから“アリガタ”と名づけられています。多くのハチと同様に毒針を持ちますが、これは人間や動物を攻撃するためではなく、シバンムシの幼虫に卵を産みつけるときに麻痺させるためのものです。

しかし、アリガタバチは人に触れた際にも反射的に刺してしまいます。アリガタバチに刺されると、痛みや腫れ、アレルギーといった症状が出ることがあるので注意が必要です。

アリガタバチの被害を防ぐためにも、シバンムシは見つけ次第駆除しましょう。

シバンムシの駆除方法

シバンムシの駆除方法にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な駆除方法を紹介します。

粘着テープで取り除く

粘着クリーナーで根気よく取り除く

簡単な方法として挙げられるのが、粘着テープの活用です。

コロコロ(粘着クリーナー)やガムテープなどを使い、畳や服などに発生している成虫を駆除できます。ただし、産みつけられた卵や畳の奥に潜っている幼虫などは取り除けないので、他の駆除方法と併用するのがおすすめです。

殺虫剤・くん煙剤
エアゾール式の殺虫剤やゴキブリ用のくん煙剤は、特定の範囲のシバンムシを駆除したいときに役立ちます。広範囲のシバンムシを一掃したいならくん煙剤、狭い範囲なら殺虫剤を使用しましょう。

また、一般的に有機リン系の殺虫剤がシバンムシ駆除に効果的といわれ、反対に蚊取り線香などに使われるピレスロイド系殺虫剤は、シバンムシには効かないとされています。

まとめ

シバンムシは乾燥食品をはじめ、さまざまなものに発生します。人体に直接有害な虫ではありませんが、不快な印象を与えたり人を刺すアリガタバチを呼びこんだりするため、もし見かけたらすみやかに駆除しましょう。

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