住宅ローン金利速報|前月は大幅上昇、今月はどうなる? 2023年3月の【フラット35】金利

日本銀行の次期総裁が指名され、4月からの新体制が見え始めてきました。2月の【フラット35】金利は長期金利の大幅上昇から1ヶ月遅れで大きく上昇しましたが、2023年3月の【フラット35】金利はどうなったのでしょうか。気になる動向をお伝えします。

2023年3月の【フラット35】金利

今月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下・返済期間21~35年、機構団信加入で1.96%となり前月から0.08ポイント引き上げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.80%と、こちらも0.08ポイント引き上げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は前月の2.42%から0.03ポイント引き下がり、2.39%となりました。

ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧

建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。

物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.84%。

物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.85%。

物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.86%。

物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.86%。

物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.87%。

物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.87%。

物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.95%となっています。

物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.95%となっています。

最新の住宅ローン金利はこちら→【ARUHI フラット35】

まとめ

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

2023年3月の【フラット35】金利は次期日銀総裁への期待から上昇

黒田日銀が金融緩和政策を修正して長期金利の変動許容幅を0.25%から0.5%に拡大し、岸田首相が次期総裁に経済学者の植田氏を指名すると、異次元緩和の正常化への期待が高まり、長期金利は新たな上限である0.5%を一時超える水準となりました。

2023年1月から2月にかけての【フラット35】金利は、長期金利が0.02ポイント下がり、機構債の表面利率が0.01ポイント下がったのに、0.2ポイントもの大幅上昇となっています。これは、黒田日銀が堅持してきた大規模緩和に逆行するものと言ってよいと思います。そして2023年2月から3月にかけての【フラット35】金利は長期金利の上昇幅、機構債の表面利率の上昇幅と概ね近似した0.08ポイントの上昇となっています。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたると考えてみれば理解しやすいと思います。

2023年1月から2月にかけての【フラット35】の金利上昇は、これまで住宅金融支援機構が行ってきた「急激な金利上昇を緩和」する金利の決定方針とは異なります。また、黒田日銀の金融緩和政策にも逆行しています。おそらく政府サイドの意図による上昇と考えられます。つまり、「国債の金利は上げず住宅ローンの金利は引き上げたい」という意図が見て取れます。金利は上昇傾向にあるものの、【フラット35】の金利引き下げ制度は去年の10月から多く新設されており、さらにその併用を行いやすくなっています。

たとえば、これから建設される新築マンションであれば、環境性能でZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の要件を満たしているマンションが多く、さらに維持保全の要件と合わせれば10年にわたり0.5%の引き下げとなります。

つまり、ここ最近の金利上昇を加味しても、金利引き下げ制度の恩恵のほうがまだまだ大きい状態が続いているのです。2023年2月から3月にかけても【フラット35】の金利は上昇してしまいましたが、この金利引き下げ制度を上手に利用することで、低金利で全期間固定金利の住宅ローンを借りられる状況は続いています。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

フラット35の仕組み

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(最終更新日:2023.08.10)
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