自分の好みやライフスタイルに合わせた、唯一無二のマイホームが手に入る注文住宅。さまざまな魅力がある反面、準備段階では土地探しや建築プランの選択などやるべきことが多くなります。また、お金を支払うタイミングも複数あるため、流れをしっかりと把握しておかなければなりません。
今回は、注文住宅ができるまでの流れや、やるべきこと、支払いのタイミングなどを解説します。
注文住宅建設の流れ
注文住宅ができるまでの基本的な流れについて解説します。
1.予算や建築イメージを決める
まず、自己資金(頭金)や月々の返済額、返済期間を踏まえて借り入れできる住宅ローンの金額を算出します。その際には、金融機関のホームページにあるシミュレーションでおおまかな計算を行ったり、ファイナンシャルプランナーに相談したりするのもおすすめです。
また、注文住宅の建築例などを見て「どんな家を建てたいか」というイメージも固めておきましょう。現段階で希望する内装や間取り、広さに加えて、今後介護が必要となるか、必要な部屋数が増えそうか(減りそうか)など、長期的な視点も大切です。
ただし、注文住宅はあまり理想を追求しすぎると建築費がかさんでしまいます。土地の価格や建築費を考慮して無理のない予算を決め、そこから大きく外れないようにしましょう。
2.ハウスメーカーを探す
予算や建てたい家のイメージが決まったら、注文住宅の依頼先探しに移りましょう。注文住宅の依頼先としては、大きく次の3つが挙げられます。
・ハウスメーカー
一般的に自社ブランドを全国展開する大手住宅会社をハウスメーカーと呼びます。全国各地に拠点があり、安定した品質や工期の短さに定評があります。
・工務店
工務店もハウスメーカーと同じく、新築住宅やリフォームなどを手掛けるところです。両者を明確に区別するような基準はありませんが、地域密着型の建築会社を工務店と呼ぶことが多くあります。その土地の情報に詳しい点が強みです。
・設計事務所
住宅の設計のみを請け負う事務所です。ハイセンスなデザインや、設計の自由度の高さが魅力で、施工は他社に委託するケースがほとんどです。
同じ業態でも、どの会社に依頼するかによって予算や得意分野や品質は異なります。モデルハウスの見学や、施工例、料金などをあらかじめ比較し、希望に沿うところを探しましょう。
3.土地を探す・土地を購入する
土地の価格は注文住宅の予算配分に大きく関わるため、土地探し・土地の購入はハウスメーカー探しと並行して行うことがおすすめです。
通勤・通学のしやすさや日当たり、地盤の強さなどの立地条件、希望するハウスメーカーが対応する土地かどうかなど、さまざまな観点から土地探しを行います。土地探しは不動産会社だけではなくハウスメーカーに依頼できる場合もあるため、ハウスメーカーが決まったら相談してみてもよいでしょう。
4.見積もりを出す
予算や家の完成イメージが固まり、土地探しも一段落したら見積もりを依頼しましょう。候補のハウスメーカー・工務店が複数あるときは、各社の見積もりを比較検討してから注文住宅建設の契約先を絞り込みます。
見積依頼の際には、希望する間取りや予算を明確に伝えることが大切です。土地によっては地盤改良工事などの必要が生じるため、できるだけ早い段階で調査しておきましょう。
また、アフターサービスや保証など、諸経費やオプション費用が後から発生する場合もあります。見積金額だけを見て即断せず、内訳をきちんと確認したうえで現実的な判断をしましょう。
5.間取りや設計プランの決定
依頼するハウスメーカーや工務店が決定したら、細かい間取りや設備について相談します。
プランによっては各社比較検討時の見積もりから金額が変わることもあるため、予算や外せない要望などはしっかりと伝えましょう。また、プラン・概算見積もりを出す段階で仮契約を結び、申込金などの費用が発生する場合もあります。具体的な間取りや設計プランが決定したら、本見積もり・本契約に進みましょう。
6.工事請負契約・建築費の手付金を支払う
具体的な間取りや設計プランが決定したら、本見積もりを出してもらい、工事請負契約(本契約)を結びます。
このとき、手付金(契約金)として建築費の5~10%程度が発生する場合もあるため、キャンセル時に手付金が戻ってくるかどうか、違約金の発生の有無などはきちんと確認しておきましょう。
また、請負契約の際には、契約内容に自身の希望が反映されているかどうかチェックすることも大切です。契約後に変更を希望しても不可能だったり、追加費用が発生したりすることもあるため注意しましょう。
7.建築の詳細打ち合わせ
一般的に、ハウスメーカーや工務店との本契約後は、さらに詳細な打ち合わせが行われます。
まず測量や地盤調査が行われ、法令を順守した家を建設可能かどうかの建築確認を市区町村に申請します。間取りや壁・床などの色調、照明、コンセントの配置など細かい家の内装や外構などが決定するのもこの段階です。
さらに、建築費を支払ううえで組む住宅ローンの借入先に本審査を申し込みます。この際、「建築確認済証」「工事請負契約書」などの書類が必要です。
8.着工~建築・建築費の中間金を支払う
間取りなどの詳しいプランが決定し、住宅ローンの本審査を通過すればいよいよ着工です。
建設中は大きな音が出たりほこりが舞ったりすることもあるため、事前に近隣住民へのあいさつを済ませておきましょう。また、建築中は工事に関わる人への差し入れを兼ねて、定期的に現場を見学するのもおすすめです。工事の進捗が自分の目で見られ、現場で働く人に直接感謝も伝えられます。
なお、その土地の守護神に向けた地鎮祭や、建物の枠組みができた段階での上棟式が行われる場合もあります。開催の有無や規模などは地域の慣例にならうことも多いため、あらかじめハウスメーカーや工務店、不動産業者などと相談しておくとよいでしょう。
上棟式の前に、「中間金」と呼ばれる建築費の一部支払いが生じるケースもあります。中間金は建材費や人件費に充当されることが多く、金融機関からつなぎ融資や分割融資を受けて支払うのが一般的です。
9.引き渡し・建築費の残金を支払う
注文住宅が完成したら、施主が立ち合い建物に問題がないか確認する「竣工検査(施主検査)」が行われます。
ドアや換気扇など設備の不具合がないかどうか、照明やコンセントが設計通りの位置にあるかなど、細かい部分まで確認してください。この際に気になる点があれば直してもらえる可能性があります。竣工検査で問題がなければ建築費の残金を支払い、引き渡し完了です。
注文住宅建築までにかかる期間
先ほど紹介した注文住宅の建設手順を踏むと、全体で8~15ヶ月ほどかかります。
土地の有無や家の間取り・規模などによっても期間は前後しますが、おおよそ1年はかかると想定して計画を立てたほうがよいでしょう。土地探しやデザイン・設備の選定に時間をかけると、2年前後を要することもあります。
「こんな家に住みたい」という希望を実現できるのが注文住宅のメリットなので、時間に余裕を持ってじっくりと取り組みましょう。
注文住宅はつなぎ融資・分割融資を利用することが一般的
注文住宅では、住宅ローンのほかにつなぎ融資や分割融資を利用するのが一般的です。
通常の住宅ローンの融資は、完成後の引き渡し時に行われます。しかし、注文住宅では土地の購入費用や契約金、着手金、中間金など、支払いのタイミングが複数回あります。この際、2~4回程度に分割して受けられるのが分割融資です。
また、分割融資が間に合わないときは、別途契約してつなぎ融資を利用し、契約金や着手金などを支払います。基本的につなぎ融資は住宅ローンが融資されたときに一括返済します。
まとめ
注文住宅建設は、ハウスメーカー・土地探し、見積依頼、本契約、詳細打ち合わせ、着工、引き渡し、といった流れで行われます。大きな支払いが発生するタイミングも複数回あり、ローンで購入する際には住宅ローンの分割融資や短期融資であるつなぎ融資の利用が必要です。
今回紹介した内容を参考に、しっかりと流れを把握して理想の注文住宅を手に入れましょう。