インターナショナルスクールの学費が高い理由は? 公立や私立と比較すると?

子どもをインターナショナルスクールへ通わせたいと考えているものの、学費がいくらかかるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。インターナショナルスクールの学費は、日本の公立や私立の学校よりも高く、年間200万円を超えるケースも少なくありません。今回は、インターナショナルスクールの学費について詳しく解説します。

インターナショナルスクールとは

インターナショナルスクールは、もともと外国人の子どもを対象とした教育施設で、一般的に幼稚園から18歳までが対象です。さまざまな国籍の児童が通い、たいてい授業は英語で行われます。

日本の学校教育法に定められた学校ではないため、スクールによっては義務教育を履行していないと判断される可能性がある点には注意が必要です。高校を卒業しても、大学検定試験を受けなければ、日本の大学を受験する資格を得られないケースもあります。

しかしそれでも、インターナショナルスクールに通う日本人の子どもは増えています。「英語力を身につけてほしい」「グローバルに活躍できる人間になってほしい」といった希望を抱く保護者が多いからです。

インターナショナルスクールのメリット・デメリット

インターナショナルスクールには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットとデメリットを解説していきます。

インターナショナルスクールのメリット
インターナショナルスクールでは授業がすべて英語で行われるため、日本にいながら英語力を身につけられます。特にネーティブレベルの発音を習得するには、子どものうちから長い時間、英語に触れておくことが大切です。

また、さまざまな国から来た子どもや、外国人の先生と触れ合う機会が得られるため、国際感覚が身につきます。多様なバックグラウンドを持つ子どもや先生と日常的に接することにより、異なる文化への理解が育まれるでしょう。

インターナショナルスクールは、生徒16人につき1人の先生、8人につき1人の先生といったように、主に少人数制で運営されています。そのため、子ども一人一人の性格や状況などを、細かく把握してもらいやすいという点もメリットです。

インターナショナルスクールのデメリット
インターナショナルスクールは日本の学校とはカリキュラムが異なるため、途中で日本の学校に進学すると、子どもが授業や雰囲気についていけなくなる可能性があります。また、学校教育法に準拠していないため、インターナショナルスクールの小学校教育を終えても、日本の公立中学校への進学はできません。インターナショナルスクールから日本の高校に入学する場合は「中学校卒業程度認定試験」、大学へ進学するには「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験、旧大検)」に合格する必要があります。

また、二兎を追った結果、英語も日本語も十分な能力が身につかない可能性もあります。母国語である日本語をしっかり理解できていない状態で、英語を覚えることになるからです。前述したように、高い英語力が身につく反面、日本語も英語も中途半端になるリスクがある点は、考慮する必要があります。

インターナショナルスクールの学費はいくらかかる?

インターナショナルスクールには、いくらくらいの学費がかかるのでしょうか。ここでは、日本国内だけでなく、海外の相場についても紹介します。

日本国内での相場
日本のインターナショナルスクールの学費は、年間150万~200万円くらいが相場といわれています。ただし、スクールによってかなり差があるのが実情です。たとえば、東京にキャンパスがあるTokyo International Schoolの授業料は、年間268万円(Grade6–Grade9)となっています。一方、東京と横浜にキャンパスがあるIndia International School In Japanは、年間の授業料が60万円(Grade1-Grade8)です。

また、受験料や入学時に支払う入学金、設備費、スクールバスの利用料、ランチ代など、授業料以外にも費用がかかる点にも注意が必要です。スクールによっては教科書や課外授業などの費用が授業料に含まれていないケースもあります。授業料以外の費用はスクールや学年によっても変わってくるため、入学を希望するスクールごとに調べる必要があるでしょう。

出典:School Fees 2022-23 School Year | Tokyo International School

出典:2022-23 IISJ Tuition & Fees | https://iisjapan.com/admission/tuition-fees/

海外での相場
海外転勤などにより家族で移住する場合、現地のインターナショナルスクールに子どもを通わせることも可能です。授業料は国やスクールによって大きな差があり、一般にアジア圏のインターナショナルスクールは安い傾向があります。たとえば、タイのインターナショナルスクールは、年間授業料が15万~90万バーツ、日本円で約57万~344万円が相場です。(1バーツ=3.82円で計算)

ヨーロッパでは年間の授業料が100万円以下というスクールが多いものの、国や地域によっては年間300万~400万円かかることもあります。たとえば、フランス・パリのMarymount International School Parisの年間の学費は2万~3万4,000ユーロです。日本円にすると、約281万~478万円かかります。(1ユーロ=140.65円で計算)

また、寄宿学校の場合は1,000万円以上かかるケースもあります。たとえば、スイスのBrillantmont International Schoolの年間の学費は、年間8万7,000~9万6,000スイス・フラン(寄宿生)です。日本円で約1,234万~1,362万円になります。(1スイス・フラン=141.83円で計算)

出典:How much do international schools in Thailand cost? | Rugby School Thailand

出典:Tuition & Fee Schedule | Marymount Paris

出典:School Fees for Boarding Students 2023-2024 | Brillantmont International School

インターナショナルスクールと日本の学校を比較すると?

小学校から高校までインターナショナルスクールに通った場合、年間の学費を200万円と考えると、総額2,400万円程度かかる計算になります。一方、すべて日本の公立であれば、幼稚園を含めても総額で約540万円、すべて私立でも総額で約1,830万円です。インターナショナルスクールの学費がいかに高いかがわかるでしょう。

出典:調査結果の概要|文部科学省

インターナショナルスクールの学費が高い理由

インターナショナルスクールは学校教育法に定められた教育施設ではないため、税制面や助成金などの負担軽減措置が適用されません。保護者がすべての費用を負担することになるため高額になります。

また、少人数制のため、生徒の人数に対してより多くの教員が必要です。さらに、ネーティブレベルの英語力を持つ教員を雇用するには海外からの人材を受け入れる必要があり、給与以外にも居住費や渡航費などの費用がかかります。その分、日本の学校よりも人件費がかかるのです。

そのほか、独自のカリキュラムにより、施設費や備品購入費、課外活動費などが別途必要になります。多国籍な生徒の獲得に力を入れなければならないことも、学費が高い一因です。

まとめ

インターナショナルスクールの学費は年間200万円程度かかり、日本国内の公立や私立の学校に比べて高い傾向にあります。また、日本の学校とはカリキュラムが異なるため、途中で日本の学校へ進学すると、子どもが授業や雰囲気についていけなくなる可能性があります。そのため、インターナショナルスクールを選ぶかどうかは慎重な判断が必要です。

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