毎年秋から、全国で一斉に開始される赤い羽根募金。多くの自治会や小学校で、積極的に募金活動が行われています。
小学校に通う子どもを通じて、あるいは町内会からの呼びかけに応じて募金するというケースが多いようですが、気になるのは募金額の相場。「いくら出すのが一般的?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
今回は、赤い羽根募金の基本情報や、平均募金額について解説します。
赤い羽根募金とは
そもそも赤い羽根募金とは、社会福祉法人中央共同募金会が運営する募金運動を指します。正式名称は「共同募金」ですが、赤い羽根をシンボルとしていることから「赤い羽根募金」「赤い羽根共同募金」と呼ばれています。
日本で赤い羽根募金が開始されたのは1947年のこと。戦後間もなくの日本は、被災者や戦災孤児、失業者など、住む場所や食料に困る人々であふれていました。生活に困る人を支援する事業施設も戦争で打撃を受け、多くの人が必要な生活援護を受けられない状況だったのです。
そんななか、市民主体の民間運動として始まったのが、第1回共同募金「国民たすけあい運動」です。全国から約6億円(現在の貨幣価値で約1,200億円)の寄付金が寄せられ、戦災孤児の支援などにあてられました。
その後も赤い羽根募金は、地域福祉におけるさまざまな課題解決に向けて、民間団体の支援に活用されています。人々が住み慣れた地で安心して暮らせる「じぶんの町を良くするしくみ」への取り組みが、赤い羽根募金の要です。
赤い羽根募金の実施時期は
赤い羽根募金は民間の募金活動が制度化されたものであり、社会福祉法によって「毎年1回、厚生労働大臣の定める期間内に限ってあまねく行う寄付金の募集(※)」と定義づけられています。
厚生労働大臣の告示による例年の実施時期は10月1日~3月31日。募金開始時期には各式典や著名人による街頭募金行事が行われます。
※出典:共同募金|厚生労働省
いくら募金をすればよい?
赤い羽根募金への寄付を考える際、気になるのは「どれくらいの金額が妥当なのか」という点です。早速、平均金額を見てみましょう。
平均募金額は
赤い羽根共同募金が発表している統計データによると、2021年度の1世帯あたりの平均募金額は285円。同年度の1人当たりの平均募金額は134円です。
また、過去25年の推移を見ると、戸別募金・街頭募金・法人募金・学校募金などいずれも減少傾向にあります。近年では、コロナ禍や台風の影響などで街頭募金が縮小しており、減少幅がより大きくなっているところも少なくありません。
募金は任意
赤い羽根募金は自治体や小学校など、地域ぐるみで行われるため、募金に義務感や強制力を感じてしまう場合もあるようです。また、赤い羽根募金が、各団体からの支援申請をもとに目標額を定めたり、各町内に目安額を提示したりしているのを義務のように捉えてしまうケースもあります。
しかし、赤い羽根募金に限らず、寄付は個人の道徳的価値観や公平さへの感覚に基づいて、あくまで任意で行われるものです。
寄付をしないことで、罰則が科されたりするようなことはありません。また、募金額の大小で、寄付した人の評価や価値が左右されることがあってはなりません。
それでも金額に迷ったときは、前項で紹介した平均金額をふまえ、300円~500円程度と考えてみてもいいでしょう。
赤い羽根募金の使い道は
赤い羽根共同募金では、公式サイト「赤い羽根データーベースはねっと」で寄付金の使い道を詳細に報告しています。
同サイトでは、各都道府県別の寄付金内訳や、寄付金をもとに行われる活動の詳細などが掲載されており、自分の募金がどのような形で活用されているのかをチェックできます。また、同サイトから寄付先を選んでオンラインで募金することも可能です。
2021年度赤い羽根募金に寄せられた寄付金の振り分け詳細は以下の通りです。
続いて、活動目的別の件数、金額についても見てみましょう。
赤い羽根募金の税制上の優遇措置
赤い羽根募金は、公益性・緊急性の高さから財務大臣によって「指定寄付金」に指定されているため、法人・個人寄付それぞれで税制上の優遇措置が設けられています。
たとえば法人寄付では、寄付金全額を損金算入できます。ただし、「赤い羽根福祉基金」「災害義援金」など、寄付金の種類によって適用される税制優遇措置や、適用条件が変わることがあるので注意しましょう。
また、個人寄付は「特定寄附金」と見なされ、所得控除・税額控除・住民税の税額控除が適用されます。こちらも寄付金の種類によって適用される優遇措置の内容が異なるので、詳しくは赤い羽根募金の公式サイトをチェックしてみましょう。
まとめ
赤い羽根募金は、戦後まもなく開始された歴史ある募金活動です。全国各地から寄せられた寄付金は、各都道府県の社会福祉に活用されます。
自治体や小学校を通じて募金が求められることが多い赤い羽根募金ですが、決して強制ではなく、あくまで自発的な善意の証です。それでも迷ったら、記事内で紹介した平均募金額を参考にしてみてはいかがでしょうか。