ここ数年の住宅ローン金利は低い状態が続いていたものの、一部商品では上昇傾向が見え始めました。国際情勢の変化や新型コロナウイルスの影響など不安定な状況が続く中、住宅ローン金利や住宅価格は今後、どのように推移していくのでしょうか。ARUHIマガジンが住宅購入者と住宅購入検討者を対象に実施した「住宅購入に関する調査2022」の結果から紹介します。
4割弱が「住宅ローン金利は上がる」と予測
今後の住宅ローン金利の予測
住宅購入者と住宅購入検討者に、今後の住宅ローン金利がどのように推移すると思うか聞いたところ、「急激に上昇」が3.3%、「徐々に上昇」と「今とほとんど変わらない」がともに33.3%、「徐々に低下」が4.5%、「急激に低下」が0.3%という結果に。上昇すると考えている人は合計で36.6%、低下すると考えている人は4.8%で、金利の上昇を予測している人が、低下すると考えている人の7倍以上と、圧倒的に多いことが分かりました。
【世帯年収別】今後の住宅ローン金利の予測
世帯年収別で見ると、「急激に上昇」「徐々に上昇」と回答した人は、年収400万円未満の世帯が26.0%、年収400万円~700万円の世帯が37.1%、年収700万円~1,000万円未満の世帯が37.4%、年収1,000万円以上の世帯が40.9%と、世帯年収が高いほどに住宅ローン金利の上昇を予測していることが分かりました。
どのような理由で、住宅ローン金利の今後を予測したのでしょうか。全回答者に自由回答で聞いた理由を一部紹介します。
金利上昇を予測
流石にずっとこの低金利が続くとは思わないから(30代・男性)
金融緩和が終わりを迎えるから(30代・男性)
インフレが加速すると思うから(40代・男性)
コロナがまだまだ収まりそうにないので不安だから(40代・女性)
コロナ禍で国、自治体の財政がひっ迫しているから(60代・女性)
ウクライナ危機で経済悪化するから(30代・女性)
金利低下を予測
経済状況は悪化しているが、軽減税率や購入に対する補助が今後も続くと予想しているから(40代・男性)
金利は変わらないと予測
経済が今とそれほど変化があると思わないから(50代・女性)
国の政策で上がらないと思うから(40代・男性)
急に上がってもほとんどの人が困ると思うから(30代・男性)
しばらくはコロナのことを引きずりそう(30代・女性)
日銀がマイナス金利を上げない(40代・男性)
これ以上下げようがないし、上げられるほど景気が良くなる要因もないと思う(40代・男性)
金利が「上昇する」と予測した人は、長引くコロナ禍の暮らしやウクライナ侵攻などの影響により、現在の低金利が続くことはないだろうと考えています。一方、金利が「下がる」もしくは「変わらない」と予測した人は概ね「国の政策により低金利が維持されるのでは」と楽観視している人が多いようです。
住宅価格も「上がる」という予測が優勢
今後の住宅価格の予測
住宅購入者と住宅購入検討者に、今後の住宅価格がどのように推移すると思うか聞いたところ、「急激に上昇」が5.0%、「徐々に上昇」が31.2%、「今とほとんど変わらない」が24.5%、「徐々に低下」が13.7%、「急激に低下」が1.3%という結果に。上昇すると考えている人は合計で36.2%、低下すると考えている人は15.0%で、住宅価格は上昇すると予測している人が、低下すると考えている人の2倍以上であることが分かりました。
【エリア別】今後の住宅価格の予測
エリア別で見ると、「急激に上昇」「徐々に上昇」と回答した人は、北海道・東北地方が27.1%、関東地方が37.1%(うち一都三県が37.3%)、甲信越・中部地方が43.8%、近畿地方が42.9%、中国・四国地方が9.4%、九州・沖縄地方が31.6%という結果に。甲信越・中部地方や近畿地方で4割を超え、関東地方や九州・沖縄地方でも3割を超えました。
どのような理由で、住宅価格の今後を予測したのでしょうか。全回答者に自由回答で聞いた理由を一部紹介します。
住宅価格の上昇を予測
先日、マンションの販売価格が上昇しているとニュースで放送していたので(新築だけかもしれませんが)(50代・女性)
資材や人件費が上がると思うから(50代・男性)
コロナの影響で木材の価格が高くなっていると聞いたから(20代・女性)
新型コロナだけでなく、ウクライナ情勢により、材料費や人件費が高騰するため(40代・男性)
インフレ、資材の高騰、物の不足が起きているから(30代・女性)
家を建てる人が増えて、価格が上がると思う(20代・女性)
住宅価格の低下を予測
今の住宅価格は割高だと思うから(40代・男性)
人口が減って住宅は余ってくるだろうから(60代・女性)
人口が減る分、都心の土地は価格が上昇し、郊外は急激に低下すると考えている(50代・男性)
少子高齢化で住宅需要は減るはず(60代・男性)
空き家など住宅が余り気味だから(40代・女性)
コロナ関連で家を手放している人が多いから(50代・女性)
住宅価格は変わらないと予測
コロナ禍が収束するまでは変わらないだろう(50代・男性)
都心部は値上がりするかもしれないが、空き家問題でそれ以外の不動産はほぼ横ばい(40代・女性)
材料価格や人件費の高騰で住宅価格が上昇する一方、働いている側の給与は上昇していない。上昇する価格に対して購入できる層は減ってくると思うので、一定の金額で上下するのではないか(30代・女性)
住宅価格の上昇を予測している人は、首都圏を中心としたマンション価格の高騰が今後も続くと考える人が多く、戸建てに関しては木材価格の高騰「ウッドショック」などの影響が住宅価格に及ぶと予測している人も少なくないようです。また、自宅で過ごす時間が増えたコロナ禍の生活を経て、マイホームの需要が高まり、価格にも反映されると考える人もいました。
住宅価格の低下を予測している人は、少子高齢化による人口の減少と空き家の増加を理由とする人が目立ちました。そうした中で、コロナ禍による収入減などで住宅ローンの返済に行き詰まり、住宅を売却する人の多さを指摘する声も。住宅の供給が増えることにより、住宅価格が下がると予測しているようです。
まとめ
今回の調査結果では、住宅ローン金利も住宅価格も「上がる」と予想する人の方が多い結果となりました。ある調査では、固定金利型の住宅ローンを利用する人が2021年と比較して1.5倍に増えているとのこと。固定金利に対する注目が高まっていますが、2022年に入り、固定金利型の住宅ローン金利は上昇傾向にあります。
さらに住宅価格が上昇することになれば、マイホーム購入のハードルが今より上がる可能性も考えられます。住宅購入を検討している人は今後の動向に注視しながら「早めの行動」を心がけてくださいね。
【調査概要】
調査エリア:全国47都道府県
調査対象者:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2022年2月25日~3月2日
有効回答数:600サンプル
調査手法:クロス・マーケティングモニターへのインターネット定量調査
調査機関:株式会社クロス・マーケティング