フリーランスの年収実態を調査! コロナショックが与えた影響とは?

会社勤めをしている人のなかには、自由な働き方を求めてフリーランスになりたいと考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、フリーランスとひと口に言っても、さまざまな業種や働き方があります。そこで、今回はフリーランスの平均年収などの実態について調査し、紹介します。フリーランスの人、フリーランスになりたい人は参考にしてください。

フリーランスとは

フリーランスとは業種を問わず、企業や事業所に雇用されず、個人で働く人のことをいいます。職種は問わず働き方でフリーランスかどうかが決まるため、フリーランスにはエンジニアやライター、イラストレーターなどさまざまな職種の人がいます。

報酬形態は、基本的に制作物や提供した技術や、知識を提供する対価として報酬が発生するものです。しかし、フリーランスの人でも、会社員のように労働時間や拘束時間に応じて報酬が決まる場合もあります。

また、雇用されない働き方をフリーランスといいますが、起業して経営者となる働き方のことはフリーランスとは呼びません。資本金を用意し登記申請をすると、フリーランスではなく会社経営者となります。

フリーランスの平均就業時間

フリーランスは労働基準法が適用されず、引き受ける仕事の量を自分で調節できるため、人によって就業時間が異なります。

フリーランス協会が発表した、フリーランスの月の平均就業時間のアンケート結果は以下のとおりです。

フリーランスの月の平均就業時間
※引用:フリーランス協会「フリーランス白書2020」

フリーランスでは、140時間以上~200時間未満という就業時間の人が割合として一番多いことがわかりました。月20日働いたとすると毎日7~10時間働いている計算になり、会社員とそう変わらないようです。

ただ、その次に多い就業時間帯は20時間以上~60時間未満と短く、空いた時間にだけ働く「すき間ワーカー」も数多くいることが推測できます。

フリーランスの主な職種

フリーランスの主な職種は以下のとおりです。

フリーランスの主な職種
※引用:フリーランス協会「フリーランス白書2020」

「その他」には、事務系、飲食系、教育系、士業系、芸術系などの職種が含まれます。

ありとあらゆる職種があるフリーランス業界ですが、クリエイティブ・Web・フォト系の割合が一番多くなっています。クリエイティブ・Web・フォト系、エンジニア・技術開発系、出版・メディア系が、フリーランスの半数を占めている状況です。

フリーランスは雇用されずに個人で働くため、1人でも仕事ができるような職種が多いことがわかります。

フリーランスの平均年収

2020年のフリーランス白書によると、フリーランスの年収は以下のような分布になりました。回答したフリーランス全体の割合と、そのなかから就業時間140時間以上の人だけを抽出した割合を掲載します。

フリーランスの平均年収
※引用:フリーランス協会「フリーランス白書2020」

フリーランスとして一番多い年収帯は200~400万円未満でした。ただ、この結果は全体の割合であり、就業時間が140時間以上の人の場合は、400~600万円未満が22.7%、200~400万円未満が22.0%と、平均年収は増える傾向にあります。フリーランス全体で見ると、年収1,000万円以上の割合は11.8%にものぼり、高額な年収を稼ぐ人も少なくありません。

フリーランスと会社員の平均年収を比較

フリーランスの就業時間や職種、年収について解説しましたが、会社員と比べると稼ぎやすいのかどうか、といった点も気になる部分ではないでしょうか。ここでは、フリーランスと会社員の平均年収を比較します。

会社員の平均年収

国税庁の令和2年分民間給与実態統計調査によると、令和2年の会社員の平均年収は433万1,000円でした。就業時間が会社員と同じくらいの140時間以上のフリーランスでは、年収400万円未満が30.4%、400万円以上が67.8%で、多くのフリーランスが会社員並の年収を稼いでいることがうかがえます。

しかし会社員には、会社による厚生年金や社会保険料の半額負担、退職金、各種福利厚生などがあるため、単純にフリーランスと比較はできません。そういった意味では、フリーランスのほうがやや給与を得にくい状況であるかもしれません。

※参考:国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」

フリーランスと会社員の違い

フリーランス協会は、会社員からフリーランスになって変化したことについても調査しています。これによると、働く時間が減った人が52.9%、収入が増えた人が53.2%、満足度が増えた人が86.9%という結果になりました。会社員からフリーランスになってよかったと感じている人は多くいるようです。

一方、収入が減った人が33.5%いることからわかるように、誰しも年収が上がるとは限りません。フリーランスは個人で働くため、営業なども含めてすべてを自分で行います。フリーランスになっても、思うように仕事を得られない可能性もあるでしょう。

※参考:フリーランス協会「フリーランス白書2020」

コロナショックとフリーランス

2020年からは新型コロナウイルス感染症の流行により、社会は大きく変化しました。個人で働くフリーランスも、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けたという人は多いでしょう。コロナショックでフリーランスはどのような状況になったのか、解説します。

就業時間の変化

フリーランス協会の調査によると、新型コロナウイルス感染症流行による影響が「非常にあった」と答えたフリーランスの割合は59.7%でした。「やや影響があった」という人も27.6%いたため、合計すると87.3%ものフリーランスが新型コロナウイルスの影響を受けています。

影響の内容については「取引先の業務自粛による取引停止」を挙げている人が53.9%で、取引先が仕事を委託できない状況になったようです。コロナショックで働く時間が減ったというフリーランスの割合は63.6%にものぼっています。

新型コロナウイルス感染症流行の影響による就業時間の減少は、どの業種にも見られる状態です。ただし、エンジニア・技術開発系のみ、就業時間が減った人の割合が39.8%、変わらない人が48.7%で、変わらない人の割合のほうが多いという結果になっています。

※参考:フリーランス協会「フリーランス白書2020」

年収の変化

フリーランスの場合、依頼がなければ報酬はもらえません。コロナショックで年収が減少したという人は74.4%もいました。収入の減少も、ほぼすべての業種に見られます。

就業時間が減ったという人の割合がさほど多くないエンジニア・技術開発系でも48.2%の人が、収入が減ったと回答しています。フリーランスに限ったことではありませんが、新型コロナウイルス感染症の流行のような不測の事態が起きたときに、収入の面でも影響を受けやすいようです。

※参考:フリーランス協会「フリーランス白書2020」

まとめ

フリーランスは労働基準法が適用されないため、就業時間は人によって異なります。そのなかでも、会社員のように1ヶ月140時間以上働いている人は、会社員と同等の収入がある人も多いことがわかりました。140時間以上のフリーランスで見ると、年収200~400万円、400~600万円の人が多い傾向にあります。

しかし、新型コロナウイルス感染症流行などの影響を大きく受けやすいこと、会社員と違い福利厚生や退職金、会社による社会保険料の半額負担がないことなどに留意して働く必要があるでしょう。

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