窃盗の侵入手段で多い「窓ガラス破り」3つの手口、 打ち破り・こじ破り・焼き破りとは?

平和で治安がよいとされている日本でも毎年窃盗の被害が発生しています。自宅に泥棒が侵入する場面を想像するとゾッとしますよね。窃盗の侵入手段で多い手口が「ガラス破り」です。ガラス破りとはどんな手口なのか、犯罪から家族や財産を守るためにはどうすればいいのか、ガラス破りの手口と対策方法について解説します。

ガラス破りとは

ガラス破りとは、さまざまな方法でガラスを破り、窓などの鍵を開けて侵入する手口です。ガラス破りの手口は大きくわけて三つあります。

打ち破り

打ち破り
窓ガラスを打ち破って侵入する「打ち破り」(画像素材:PIXTA)

「打ち破り」とは、その名前のとおり窓ガラスを打ち破って侵入する手口です。ドライバーやバールなどの道具を使ってガラスに強い衝撃を与え、鍵周辺のガラスを割ります。割れたガラスに隙間から手を入れて窓の鍵を開け、建物内に侵入する方法です。

この方法は、窓を力いっぱい叩いて壊すので大きな破壊音がします。大きな音がすると周囲に気づかれる可能性がありますが、技術がなくても簡単にガラスを割ることができるため、打ち破りの手口が横行しているようです。そして、時間もかからないため、犯行も素早く行われるのが特徴です。

こじ破り

「こじ破り」とは、ドライバーなど先が尖ったものを使って窓ガラスとサッシの境に穴を開け、そこから指を入れて解錠する手口です。窓ガラスをこじるように穴を開けるため、こじ破りと呼ばれるようになりました。

こじ破りは窓ガラス全体を破壊するのではなく、鍵の周りだけに穴を開けて普段私たちが触るクレセント錠を解錠して侵入します。そのため、打ち破りほどの大きな破壊音はせず、コツをつかみさえすれば技術がなくても侵入できてしまいます。

また、こじ破りは窓だけではなくドアを破壊するケースもあります。バールなどをドアの間に入れて無理やりこじ開けるため、窓だけではなくドアに対する防犯対策も重要です。

焼き破り

「焼き破り」とは、バーナーなどでガラスを焼き続けたあと、水や瞬間冷却スプレーでなどで急激に冷やすことでガラスを破壊する手口です。ガラスは急速に冷やすことで一部が収縮し、収縮した部分に力がかかることで割れてしまいます。熱したガラスを水で洗ってはいけないのはこのためです。

これを犯罪に応用したのが焼き破りの手口です。力任せにガラスを割るよりも急激な温度変化による破壊のほうが音も小さくなります。焼き破りの時間は15〜20秒程度ともいわれていて、短時間で侵入できて大きな音がしない焼き破りは、侵入者にとっても容易な犯行手口の一つです。

統計から見るガラス破り被害

実際にガラス破りはどの程度発生しているのでしょうか。警察庁によると、侵入窃盗の侵入手口のうち施錠をしていない「無締り」を除くと、ガラス破りが最も多いという結果がでています。

一戸建て住宅

共同住宅

共同住宅
出典:警察庁 住まいる防犯110番

ガラス破りの被害件数の割合を建物の種類別に見ると、戸建て住宅で29.8%、共同住宅(3階建て以下)で22.2%、共同住宅(4階建て以上)で13.0%です。やはり高さが低い住宅であればあるほど、ガラス破りの被害が大きいといえます。

住宅の種類別で見た侵入手口の順位は以下のとおりです。

住宅の種類別で見た侵入手口の順位
出典:警察庁 住まいる防犯110番

どの住宅でも最も多い侵入手口は無締り。ゴミを捨てに行くときなど、少し無施錠で家を空けただけなのに侵入されてしまう被害もあるため、出かけるときは必ず施錠するようにしましょう。

戸建て住宅や共同住宅では2位がガラス破りとなっていて、ガラス破りの被害が多いことがわかります。4階建以上の高層階になら窓からの侵入はないかと思われがちですが、3位にガラス破りが入っています。ベランダや非常階段をつたって窓から侵入するケースもあるので、注意しましょう。

出典:警察庁 住まいる防犯110番

ガラス破りへの対策方法

多くの被害が報告されているガラス破り。ガラス破りによる侵入を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。対策方法をご紹介します。

防犯フィルム

防犯フィルムを窓ガラスに貼ると窓ガラスの強度が上がるので、ガラス破りの三つの手口に有効です。窓ガラスが割れたとしても、フィルムの粘着力と柔軟性で支えるので飛散しません。

防犯フィルムの種類は、高価なものから低価格なものまでいろいろありますが、信頼性の高いCPマークの付いた物を選ぶのがおすすめです。CPマークとは警察庁、国土交通省、経済産業省と各種業界団体で構成される「官民合同会議」で認証されたマークです。このCPマークがついている商品は、防犯性能の高さが認められています。

防犯ガラス

どんなに強固なガラスでも「絶対に割れないガラス」は存在しません。そのため、「侵入に時間がかかる」ということを基準に考えることがポイントです。泥棒は侵入するまでに時間がかかると侵入自体を諦める傾向があります。防犯ガラスは破壊に一定以上の時間を要するため、時間を稼ぐという観点から防犯性能の高いガラスとされているのです。

単板ガラスよりも複層ガラスが強く、樹脂中間膜入りのものはさらに衝撃に強くなります。予算や周辺環境にあわせて選びましょう。

防犯カメラ

防犯カメラ
一般家庭にも普及が進む防犯カメラ(画像素材:PIXTA)

泥棒が嫌うのは周囲の視線です。見通しがよく人通りが多かったり、誰かに見られやすかったりする場所に家があると、そもそも泥棒に狙われる可能性は低くなります。しかし、閑静な住宅街だと夜は静かでほとんど人が通らないということも多いかもしれません。

防犯カメラがあれば、たとえ侵入者が死角にいても「誰かに見られている」という気持ちになり、抑止効果を持たせることができます。万が一、空き巣などの被害にあったとしても、証拠となる映像をとらえられるので、犯人検挙にも役立ちます。

面格子、シャッター

高い抑止効果のある面格子
高い抑止効果のある面格子(画像素材:PIXTA)

面格子がついていたり、シャッターが閉まっていたりする建物は、泥棒に狙われにくくなります。その理由は、侵入に時間がかかるためです。面格子がついている窓では、たとえガラス破りで解錠できたとしても細い隙間から侵入するのは困難です。また、シャッターが閉まっているとガラスを割る前にまずシャッターを破壊しなければなりません。防犯性の高いシャッターはガラスよりもずっと強固なため、手間も時間もかかります。

面格子をつけたりやシャッターを閉めたりすることは、侵入者に対して「侵入に時間がかかる・侵入が難しい」ことをアピールし、侵入を諦めさせる効果が期待できるでしょう。

窓用補助錠

一般的な窓ガラスについているクレセント錠だけでは、防犯効果が低いといわれています。それは、ガラス破りではクレセント錠の周辺のガラスを割って解錠し、侵入するためです。クレセント錠を解錠されても侵入できないように、防犯性能のある窓用の補助錠を取り付けるのがおすすめです。ガラス破りに成功したとしても2重3重にロックをしておけば、そう簡単に侵入することはできません。同時に、クレセント錠に緩みがないかも確認しておく必要があるでしょう。

センサーアラーム

センサーアラームは、ガラスを叩くなどの強い振動があると、強力なアラームが鳴る仕組みです。大きな音で侵入者を撃退できるだけではなく、貼り付け面が防犯シールになっていて、窓の外にいる人からでもセンサーアラームが設置されていることがわかるタイプもあります。これにより、空き巣などの抑止効果にもつながります。万が一、ガラス破りの被害にあった場合はスマートフォンに通知したり、警備会社に通報したりするセンサーアラームもあり、留守中も家の様子が確認できるので便利です。

警備会社と契約

防犯対策のために、警備会社とホームセキュリティの契約を結ぶのも有効な方法です。各社さまざまなプランを用意していて、基本サービスとして防犯、非常通報、火災監視などがあります。防犯対策だけであれば、基本サービスだけでも十分です。

ガラス破りは大きな音が出るとは限らず、焼き破りなら小さな物音しかしないので就寝中は気が付かない場合もあります。留守中だけではなく、在宅中の侵入被害は少なくありません。たとえ物音に気がつかなくてもセンサーが自動で侵入を感知し、警備会社へ知らせてくれるので安心感があります。

オプションとして救急通報や停電監視、周囲監視、ガス漏れ監視、ライフ監視(高齢者見守り)などを追加することもできます。特に、救急通報やライフ監視は、高齢者の急な体調変化にも対応してくれるので、高齢の家族が自宅にいるときも安心して外出できます。

まとめ

ガラス破りには三つの手口があり、焼き破りなど小さな音で簡単に解錠されてしまうこともあります。ガラス破りの被害を防ぐためには、これまで列挙してきた防犯対策を行いましょう。

ガラス破りの対策も大切ですが、警察庁の調査にもあったように、侵入の手口として一番多いのは「無締り」です。まずはきちんと戸締まりをすることから始めましょう。

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