ほとんどの外壁塗装は、20年以上で剥がれやすくなります。触ったり、物が当たったりしたときはもちろんですが、雨や風など、わずかな刺激で勝手に剥がれ落ちることもあります。古いお家やアパートなどの外壁の塗装がひび割れて、剥がれ落ちているのを見たことがある人も少なくないのではないでしょうか?
自分の家の塗装が剥がれるのを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。塗料が剥がれ落ちる原因から、その対策について紹介していきます。
家の壁の塗装が剥がれる原因
家の壁の塗装が剥がれるのは、外からの刺激による塗料の劣化が原因です。ここでいう外からの刺激とは大きく3つ考えられます。
紫外線…塗料の成分を分解しボロボロにする
振動・伸縮…気温や湿度によって起こる壁材の伸縮や、日常生活で起こるわずかな振動によって、細かい亀裂ができる
雨水…紫外線や振動・伸縮によってできた隙間や亀裂に入り込み、劣化を進行させる
こうした外からの刺激により、多くの塗料は10~20年ではがれる危険性が高まるほど劣化が進んでしまうのです。
塗料の劣化が軽微であれば、塗装の塗り直しを行うだけで済みますが、致命的な劣化の場合は壁の張り替え等の対応が必要になる場合もあります。
ちなみに、屋根に施された塗料は、外壁より紫外線や雨水にさらされやすいため、劣化の進行速度も速いです。外壁塗装の劣化に気が付いたときは、屋根の塗装も劣化していないか確認するのがおすすめです。
塗料が剥がれる前に現れる劣化症状
塗料は少しずつ劣化していきますが、剥がれるまでにはいくつかの劣化症状が出ることが多いです。機能的に問題がない劣化もあるので、どの程度からどんな対応をするべきか知っておきましょう。
壁を触ったら粉がつく「チョーキング」が起こった場合は、すぐに塗り替えをするのがおすすめですが、濃い色の塗料を使っている場合などは劣化してもチョーキングが起こりにくいことがあります。そのため、10年~15年ほど経ったら、まだ「チョーキングしていないから平気」と思わず、塗装業者に診断してもらうのがおすすめです。
塗料の劣化を放置してはいけない理由
塗料が劣化していたら、すぐに塗り替えをするのがおすすめです。しかし、「劣化とはいえ、塗装だけなら放置しても構わないのでは?」と思った人もいるのではないでしょうか?
実は、塗料の劣化を放置すると、最悪の場合、家そのものの強度や耐久性を落とすことになりかねないのです。
具体的に起こるリスクを3つ紹介します。
1. 雨漏りが発生する
実は、外壁材は塗料で保護(コーティング)をすることを前提に作られているので、塗装なしでは雨水などに浸食されて雨漏りを起こしやすくなります。雨漏りが起きてしまうと、家財が濡れたり、家の耐震性が下がったりといった被害につながります。
2.家の見た目が悪くなる
外壁は家の見栄えを左右する大きなポイントの一つです。その塗装が劣化していると、家は古ぼけて見え、印象が悪くなります。
3.修理費用が高くなる
簡単な補修であれば数万円、塗り替えは100万円前後で可能ですが、傷んだ外壁材の張り替えとなると200万円~300万円かかるケースも多いです。実際にはこまめに塗装をしておいたほうが、長期的なメンテナンスのコストを抑えられます。
外壁塗装を長持ちさせる方法
外壁塗装は10~20年で劣化するとはいえ、できるだけ長く、綺麗で安全な状態を保ちたいですよね。
塗装を長持ちさせるには、こまめなセルフメンテナンスと塗料選びが重要です。
1. 定期的に掃除する
外壁の汚れ(ホコリや苔・藻、カビ等)を放置すると、汚れが塗装に浸食したり、汚れによって塗料自体が持つ保護機能を阻害したりなどすることから、劣化が早まります。年に1~2回を目安に、洗車用など柔らかいスポンジを使い水で優しく汚れをこすり落としましょう。
2. 高圧洗浄を行う
スポンジで落ちない汚れや手が届かない場所の汚れには、高圧洗浄がおすすめです。高圧洗浄機は外壁だけでなく、玄関やベランダの汚れ掃除などにも便利です。高圧洗浄を行う場合は、同じ場所に強く当てすぎないよう注意しましょう。
3. 耐久性に優れた塗料を使う
最初から耐用年数が高い塗料を選んでおけば、メンテナンスまでの期間を長くすることができます。ただし、耐用年数が高い塗料は、費用も高くなる傾向があります。
塗り直しが要らない外壁(メンテナンスフリー)はある?
「こまめに塗り直すのが面倒くさい」「定期的に塗り直しなどの費用がかかるのを避けたい」という人は多いのではないでしょうか。
しかし、言葉通り「メンテナンスフリー」の外壁材や塗料は、今のところ存在しません。どんな外壁でも、雨風にさらされることで塗装や外壁材が劣化してしまうからです。
工務店や業者などが「メンテナンスフリー」と言うときは、「塗り替えなどのメンテナンスの頻度が少ない」という意味で、「全くメンテナンスが必要ない」という意味ではないのです。
そのため、塗り替えの頻度を少なくしたり、費用を安く抑えたりするためには、前述したようなセルフメンテナンスや塗料選びが重要です。
まとめ
外壁の塗装が剥がれるのは、塗料が経年劣化した結果です。完全に剥がれてしまう前に劣化の兆候を見つけ、塗り直しなどのメンテナンスを行いましょう。
塗料の劣化を放置していると、見栄えが悪いだけでなく、劣化が進んで家全体の耐久性が下がってしまいます。また、劣化が重篤になってからメンテナンスを業者に依頼すると、軽微なメンテナンスに比べて費用が高くなる傾向があります。
塗料の劣化を防ぐには、こまめに汚れを落とすほか、耐久性の高い塗料を使うといった対策が効果的です。