「マイホームの頭金用」「子どもの大学資金用」に「老後のため」…。貯金の重要性は、誰しも感じているのではないでしょうか。なかなか人には聞けない話だけに「一体、みんないくら貯蓄しているの?」 と気になるところ。そこで総務省統計局が発表している調査から、全国主要都市別の1世帯当たり貯蓄額を紹介します。現金だけでなく、有価証券の残高もランキング化しました。
貯蓄金額が多い都市はどこ?
まずは、全国主要都市別の貯蓄金額ランキングをチェックしてみましょう。あなたが住んでいる都市は上位にランクインしているでしょうか? なお、ここで言う貯蓄には金融機関に預け入れている預貯金や掛け金を支払っている生命保険、有価証券も含まれます。
ちなみに、貯蓄金額と年間収入の全国平均は以下の通りです。
貯蓄金額の全国平均:1,924万円
年間収入の全国平均:634万円
貯蓄金額第1位は千葉市、次いで奈良市、名古屋市、東京都区部と続きます。高収入世帯が多い関東地方の都市のみならず、東海地方・近畿地方も貯蓄金額が全国平均を上回っています。
地方別のランキングも確認してみましょう。
地方別ランキングでは年間収入が高い関東地方が1位、次いで東海地方が2位です。多少の前後はあるものの年間収入に比例して貯蓄金額が多くなる傾向があります。
生命保険残高が多いのは?
続いて、生命保険残高の多い都市を見ていきましょう。将来への備えがより多い都市はどこでしょうか。
生命保険残高と年間収入の全国平均は以下の通りです。生命保険残高とは、民間の保険会社が販売している積み立て型の生命保険、損害保険、各種協同組合の共済などに支払った掛け金の総額です。掛け捨て保険は含まれません。
生命保険残高の全国平均:363万円
年間収入の全国平均:634万円
最も生命保険残高が多いのは、貯蓄金額と同じく千葉市でした。ここで注目すべきは前出の「全国主要都市別 貯蓄金額ランキング」のTOP10にランクインしていなかった2位の富山市です。以下の地方別ランキングでも、富山市を含む北陸地方が3位にランクインしています。
なぜ、北陸地方では生命保険残高が多いのでしょうか。
一般社団法人生命保険協会が発表している個人保険の都道府県別新契約状況によると、1世帯当たりの保険金額が多い都道府県の1位は福井県。2位が富山県、3位が佐賀県と北陸地方が全国トップ3のうち2つを占めています。
福井県や富山県で生命保険の残高、保険金額が多い理由の一つは共働き世帯の多さにあると考えられます。生命保険に加入する目的の一つは「一家の収入を担っている人が死亡したときに家族に保険金を残すこと」にあります。夫婦共働きで、それぞれが家計を負担していれば、夫婦共に生命保険に加入する家庭も増えます。2017年の総務省統計局の調査によると夫婦共働き世帯が最も多い都道府県の1位は福井県の60.0%、2位は山形県の57.9%、3位は富山県で57.1%です。
出典:一般社団法人生命保険協会「2020年版生命保険の動向」、総務省統計局「平成29年就業構造基本調査」
株式投資に積極的な都市は?
株式投資を盛んに行っている地域についても調べてみました。有価証券のうち株式への投資金額が多い全国主要都市をチェックしましょう。
株式投資金額と年間収入の全国平均は以下の通りです。
株式投資金額の全国平均:154万円
年間収入の全国平均:634万円
株式投資金額が多い全国主要都市の上位には、収入が多い関東地方のみならず近畿地方の都市がランクイン。ここでも富山市が4位に入っています。
最も住宅ローン残高が多いのは?
続いて、住宅ローン残高の多い都市を紹介します 。
住宅ローン残高(住宅・土地のための負債)の全国平均:502万円
住宅ローン残高が多い都市の上位は、地価が高い地域が多い傾向です。東京都区部は最も地価が高いものの、住居の延べ床面積の平均が90.2平方メートルと全国平均の116.0平方メートルよりも小さいことも、住宅ローン残高ランキングで1位ではない理由の一つとして考えられます。
まとめ
貯蓄額多い都市を紐解くと、「生命保険を重視する地域」や「株式投資に積極的な地域」など、意外な地域性があることがわかりました。「自分の住んでいる都市は? 地方は?」気になった方はぜひ調べてみてください。