ボーナスだけ貯金すれば大丈夫? 家計管理のポイントとボーナスの活用法

ボーナスが支給されると「まとまった額を貯蓄に回す」という人も多いですが、ボーナスが入ったときだけ貯蓄をすれば十分なのか、一度家計をチェックしてみることも必要です。もし十分でない場合は、毎月の収入からコツコツ貯めることも検討しましょう。

今回は、収入に対する貯蓄の理想的な割合や、ボーナスの活用法についてくわしく解説します。

ボーナスの使い道、最も多いのは貯金

多くの人が楽しみにしているボーナスですが、どのような使い道があるのでしょうか。消費者庁の調査によると、ボーナスの使い道としては「貯蓄」が一番多い、という結果が出ています。

2017年の冬のボーナスの使い道では、回答者の43.7%が「貯蓄」と回答しており、最も多くなっています。次に多い使い道が「ローンの支払い」で22.3%、「教育関連費」の18.8%と続きます。このデータは、ボーナスの支給があった人の実際の使い道を示しています。

次に、2019年における夏のボーナスの使い道予定をたずねた調査では、貯蓄と答えた人の割合が一番多く、29.7%となっています。次に多い使い道が「ローンの返済」で11.8%、「国内旅行」で11.5%と続きます。ただし、こちらのデータは、ボーナスなしの人も含まれています。

このように、調査年度やボーナス支給時期にかかわらず、ボーナスの用途は「貯蓄」が一番多くなっています。

出典:平成 29 年 12 月物価モニター調査結果(速報)|消費者庁

出典:[参考・6月(確報)]ゴールデンウィークの過ごし方及びボーナスの使途予定に関する意識調査結果|消費者庁

ボーナスだけ貯金すれば大丈夫? 家計チェックのポイントを解説

毎月の収入からは貯蓄ができず、ボーナス時のみ貯蓄するという人もいますが、そのやり方を続けても問題ないのでしょうか。ここでは、毎月の収支を含めて、家計チェックのポイントを解説します。

毎月の生活費は赤字になっていないか

毎月の収入から貯蓄できていない場合は、「貯蓄に回せる余剰資金がない」ことを示しており、月々の収支が赤字になっている可能性があります。

毎月の収支が赤字だと、生活費の不足分を貯蓄やボーナスから補填しなければならず、ボーナス依存の家計になってしまいます。ボーナスは必ずもらえるものではなく、金額も一定ではないため、ボーナスに頼らない収支にすることが大切です。

家計の収支を見直す場合は、まず固定費に着目しましょう。毎月のローン返済額や保険料などは、一度下げれば長期間その支出額で安定するため家計の収支改善に役立ちます。また、スマホのプランを見直したり、格安スマホに乗り換えたりすることで、通信費の削減も期待できます。

また、なんとなく使ってしまっている無駄使いがないかどうかも、しっかりと確認するようにしましょう。

理想的な貯蓄割合はどのくらいか

貯蓄をする場合、収入のうちどれくらいの割合を貯蓄に回せば十分といえるのでしょうか。

「家計の金融行動に関する世論調査」によると、手取り収入に対する平均的な貯蓄割合は約10%、ボーナスや臨時収入等からの貯蓄割合は約20%となっています。

貯蓄割合をもう少し細かく見てみると、2人以上の世帯の2020年の年間手取り収入(臨時収入含む)からの貯蓄割合は、以下のようになっています。

貯蓄をしている世帯では10~15%未満が最も多くなっていますが、10%未満の世帯も少なくありません。

ただし、この貯蓄割合の平均は、あくまでもデータに基づいた平均値です。実際の貯蓄割合は、各家庭の状況によって決める必要があります。

子どもがいる世帯、手取り収入が少ない世帯、収入が不安定な世帯など、それぞれの世帯の状況が異なりますので、無理のない貯蓄割合を考えるようにしましょう。

出典:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和2年調査結果|金融広報中央委員会

出典:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果|金融広報中央委員会

毎月の収入を貯金に回すには?

ボーナスは会社の経営状況や景気に左右されるため、支給額が少なくなることもあります。また、休職や転職などでボーナスそのものがなくなってしまう可能性もあるため、毎月の収入からも貯蓄することが大切です。ここでは、毎月の収入を貯蓄に回すコツを紹介します。

年間の収支を把握する

毎月の収入から貯蓄をするには、収支を黒字化することが大切です。まず家計の全体像を把握するために、「支出」と「収入」を1,000円単位で大まかに書き出してみましょう。

「支出」と「収入」を差し引きして黒字であるにも関わらず、銀行口座残高が増えていない場合は、書き出した項目以外の出費が大きいということになります。日頃何気なく使っているお金が原因で赤字になっていることもありますので、見落としている出費がないか、漏れがないかを確認することが大切です。

支出を把握したら、減らせるものがないかを検討します。特に固定費を見直すと収支改善に効果的なので、スマホプランの変更や乗り換え、インターネットプロバイダの見直しなどを行うようにしましょう。

また、子どもの受験や入学、旅行などの臨時的な出費があると、せっかくコツコツと貯めていた貯蓄が一気に減ってしまう可能性があります。年に数回必要となる「特別費」もしっかりと把握し、出費をあらかじめ想定して計画を立てるようにしましょう。

自動積立をする

「月末にお金が余ったら貯蓄に回そう」という方法だと、なかなかお金が貯まりません。確実に貯蓄したい場合は、給与を受け取ったときに貯蓄分をあらかじめよけておくことが大切です。

たとえば、銀行の自動積立サービスを利用したり、給与振り込み口座を2つに分けたりしておくことで、貯蓄しやすくなります。特に財形貯蓄など、給料からあらかじめ天引きされる仕組みのものは、給料が手元に振り込まれる前に先取りで貯蓄できるため、よりお金がたまりやすくなります。

また、貯蓄だけでなく、税の優遇があるつみたてNISA、iDeCoなどを活用する方法もあります。

ボーナスを貯金以外で有効に活用するには?

ボーナスではまとまったお金が入るため、貯蓄だけではなく今の生活を充実させるためにも使いたいですね。ボーナスを貯蓄以外で有効活用するには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、ボーナスを有効活用する方法を紹介します。

自己投資をする

ボーナスはまとまったお金なので、毎月の家計では出費しづらい目的に使う人も多いでしょう。そのなかのひとつが「自己投資」です。スキルや資格の取得、交流会やセミナーへの参加などにより、自分の能力を高めたり、人脈を広げたりすることができます。これらは日頃の家計からは捻出しにくい出費なので、ボーナスの活用がおすすめです。

自己投資をすると、将来のキャリアアップや転職、副業の立ち上げなどにつながる可能性もあります。

投資を始める

お金に余裕があれば、貯蓄の一部を元本保証の預貯金だけではなく、株や投資信託で運用するという方法もあります。

預貯金は何年たってもあまり増えませんが、株や投資信託などを使って「年2%」「年3%」などを目標として運用を行うと、10年後、20年後の資産額に大きな違いが出る可能性があります。

また、少額投資非課税制度のつみたてNISA(ニーサ)や個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は税の優遇措置があります。通常であれば利益の20.315%を納税しなければなりませんが、NISAとiDeCoでは運用益が非課税になるため、効率的に資産運用をすることができます。

老後の資金など、長期で運用する資金であれば、短期の値動きに一喜一憂せずに運用ができますので、NISAやiDeCoを検討するとよいでしょう。

ただ、これらの商品は元本保証ではありません。リスクをよく理解したうえで、自分の考え方に合った投資をするようにしましょう。

ふるさと納税をする

ボーナスが支給されたら、一部をふるさと納税に回すという方法もあります。ふるさと納税は、本来であれば居住地に納税する住民税の一部を、他の市町村に納税するという制度です。他の自治体への納税は「寄附扱い」になります。そして、2,000円を超える部分については、一定の限度額まで所得税や住民税から控除を受けることができます。

寄附をすると、寄附先の自治体から地元の特産物などを返礼品として受け取ることができるため、ふるさと納税をしたほうが返礼品の分だけお得になります。お米やお肉など、日頃の生活で必要なものを返礼品にすることで、生活費を抑えることができるのでおすすめです。

まとめ

ボーナスが入ったときだけ貯蓄するという人もいますが、将来ボーナスの額が減ったり、ボーナスそのものがなくなったりする可能性があるため、毎月の家計からも貯蓄をすることが大切です。毎月が赤字で貯蓄がしにくいという場合は、スマートフォンややインターネットプロバイダの利用プランなどを見直して固定費を減らすことで、家計にゆとりが出やすくなります。

また、ボーナスはまとまった金額を受け取れるため、貯蓄だけではなく自己投資など、他の目的のためにも活用するようにしましょう。

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