毎月、住まいにかかってくるランニングコストの中でも、6月は住民税や固定資産税の負担が気になった方も多いのではないでしょうか。コロナ禍でまだまだ家計も日本全体の経済も見通すことが難しい状況ではありますが、2021年7月の【フラット35】金利動向を見ていきたいと思います。
2021年7月の【フラット35】金利
今月の全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信を含めて1.33%となり6月から0.02%の引き下げ、融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.20%となり、同じく0.02%の引き下げとなりました。
ARUHI住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHIフラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHIスーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット5」(※団信込み)は1.12%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6」(※団信込み)は1.16%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.17%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7」(※団信込み)は1.18%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.19%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8」(※団信込み)は1.20%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.25%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット9」(※団信込み)は1.28%となっています。
最新の住宅ローン金利はこちら→【ARUHIフラット35】
まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
3ヶ月連続で【フラット35】金利が下がり続けているわけ
2021年7月分の機構債の表面利率は3ヶ月連続で下がり、【フラット35】(買取型)の金利も3ヶ月連続で下がりました。
機構債の表面利率の下がり幅は0.03ポイントなので【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※下記に詳細を解説しています)からすると
【フラット35】(買取型)の金利も同じく0.03ポイント下がるのが自然なのですが、実際には0.02ポイントの引き下げとなりました。
このように機構債の表面利率と【フラット35】の変動幅は絶対に同じになるとは限りません。過去にも0.01ポイント程度の誤差が生じることは何度かあり、誤差が生じること自体は特に珍しいことではありません。
ただし、過去に誤差が生じたときには、金融市場の長期金利の急激な高騰によって住宅ローン利用者が高い金利を被らないように緩和する意図が垣間見えるものでした。この2021年6月から7月にかけての長期金利は低下傾向にあり、それほど急激な低下でもありませんでした。
そのため、今回の【フラット35】の金利の下げ幅が0.01ポイント少なかったことについては、住宅金融支援機構の留保利益を優先した決定だと思います。ただし、2021年4月から3ヶ月連続で【フラット35】の適用金利を下げており、住宅ローン利用者の金利負担はもともと小さく、今後も低金利が続くと見込んでいることの裏返しでもあります。
今の状況を作りだしている新型コロナウイルスについては、緊急事態宣言が終了し人流が増えてきたことに伴って、再び感染者が増加傾向になっています。ワクチン接種が進んでいるものの、東京オリンピックの開催がどう影響してくるかは予測が不可能です。引き続き、今後の見通しが読めない状況は続いています。
その点【フラット35】を取り扱う住宅金融支援機構は、急激な金利の上昇局面において利用者が影響を受けないように融資金利の上昇を抑える対応を取ることがあり、先行きの不透明なコロナ環境下において、金融変動の影響を比較的受けにくい安定した固定金利と言えるでしょう。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。
この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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