軽量鉄骨の耐用年数は何年? 減価償却と計算方法を解説

軽量鉄骨造の住宅は、大手ハウスメーカーを中心に供給されています。

法定耐用年数は、賃貸運用する際などの減価償却費に関わってきますが、軽量鉄骨造は何年なのでしょうか?ただし、法定耐用年数は建物の実際の寿命とは異なります。

法定耐用年数とは何か、また軽量鉄骨造の住宅の減価償却費の計算方法などについて紹介していきます。

 

国税庁の法定耐用年数とは?

法定耐用年数は事業用の資産の減価償却の計算で使われるものです。

国税庁では、法定耐用年数を以下のように規定しています。

 

事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。

このような資産を減価償却資産といいます。他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。

減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。

この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省令の別表に定められています。

減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。

引用:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」 1 減価償却の概要

事業に関する資産で、建物、エレベーターやエスカレーターなどの建物附属設備、車両といった経年劣化によって価値が減少していくものを減価償却資産といいます。

減価償却資産の取得にかかった費用は、使用可能期間に応じて分割して、必要経費として計上します。

法定耐用年数とは、減価償却資産の種類ごとに決められた使用可能期間のことです。

建築物の減価償却とは

減価償却とは、減価償却資産の対象となる資産に関して、購入した時点で全額を必要経費として計上するのではなく、法定耐用年数で分割して計上することをいいます。

法定耐用年数に応じて分割して、毎年、価値が目減りしていく分を必要経費として計上していく形です。

また、減価償却によって各年度で計上する費用が減価償却費です。

事業用の不動産を取得した場合、土地は年数の経過によって価値が目減りしないことから、土地の購入費用は減価償却の対象とはなりません。

建物の購入費用のみが減価償却の対象になります。

建築物の減価償却費の算出が必要になるのは、賃貸運用による不動産所得を申告する場合と、建物の売却時に譲渡所得を算出する場合です。

重量鉄骨造などのほかの建築方法との違い

建物の法定耐用年数は、用途と構造によって決められています。

住宅用の建物の法定耐用年数は、構造によって以下の違いがあります。

構造 法定耐用年数

軽量鉄骨造(厚さ3mm以下)

19年

軽量鉄骨造(厚さ3mm~4mm)

27年

主に重量鉄骨造(厚さ4mm超)

34年

鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造

47年

木造

22年

参考:主な減価償却資産の耐用年数表

鉄骨造は構造体に使用する鋼材の厚さによって、軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分類されますが、税法上の区分とは一致していません。

一般的に軽量鉄骨造は厚さ6mm未満の鋼材を使用するものを指し、プレハブ工法が中心です。

厚さ6mm以上の鋼材を使用するのが重量鉄骨造です。

税法上の鉄骨造の法定耐用年数は、鋼材の厚さによって「3mm以下」、「3mm~4mm」、「4mm超」の3つの区分となっています。

実際の建物の寿命はメンテナンスで変わる

法定耐用年数は建物が使用に耐えられる期間と誤解されがちですが、「法定耐用年数=耐久年数」ではありません。

法定耐用年数はあくまでも税法上の規定であり、実際に使用できる年数ではないのです。

実際の建物の寿命は、環境やメンテナンスの実施状況によって変わります。

たとえば、屋根材や外壁材は、直射日光や風雨の影響を受けて次第に劣化していきます。

海の近くにある建物は塩害によって鉄部が錆びやすく、雨の多い地域では屋根や外壁のひび割れから、雨水が侵入しやすい環境です。

しかし、建物は状態に応じた適切なメンテナンスを行うことで、寿命を延ばすことができます。

一般的に住宅のメンテナンスとして、主に以下の工事が必要になります。

・ 屋根塗装/屋根材の張り替え
・ 外壁塗装/外壁材の張り替え
・ 水回り設備の修理・交換(キッチン、トイレ、洗面台、ユニットバスなど)
・ 給湯器の交換
・ クロスの貼り替え
・ フローリングの張り替え

 

新築戸建て住宅の軽量鉄骨の減価償却率と計算方法

減価償却率の計算方法

減価償却費を簡易的に求める場合には、以下の計算式で算出できます。

減価償却費=建物金額/耐用年数(減価償却期間)

実際に建物の減価償却費を算出する際には、以下のように耐用年数ごとに決められた償却率を用いて算出します。

減価償却費=建物金額×耐用年数に応じた償却率

<例:賃貸用として軽量鉄骨造の新築戸建てを取得し、法定耐用年数19年、建物金額4,000万円の場合> 耐用年数19年の場合の償却率は0.053と決められています。

4,000万円×0.053=212万円 減価償却費:212万円

参考:減価償却資産の償却率等表

 

法定耐用年数の一部を経過した場合

中古住宅を取得した場合には、減価償却費を算出する際に法定耐用年数をそのまま用いるのではなく、耐用年数(減価償却期間)の計算が必要となります。

築年数が法定耐用年数の一部を経過した場合は、耐用年数は以下の計算式となります。

耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%

<例:築10年の法定耐用年数19年の軽量鉄骨造の中古住宅を購入した場合> (19-10)+10×20%=11 耐用年数11年

 

法定耐用年数のすべてを経過した中古住宅の場合

法定耐用年数をすべて経過した中古住宅を取得した場合は、耐用年数の計算式は以下となります。

耐用年数=法定耐用年数×20%

<例:築24年の法定耐用年数19年の軽量鉄骨造の中古住宅を購入した場合>

19年×20%=2年 耐用年数2年

 

大手ハウスメーカーは耐用年数が長くなる?

耐用年数はどのくらいあるのでしょうか

税法上の法定耐用年数は構造の種類によって決められているため、大手ハウスメーカーで建てた場合も工務店の場合も、あるいは高性能住宅でもローコスト住宅でも変わりません。

ただし、軽量鉄骨造の法定耐用年数は、鋼材の厚みによって異なりますので、建設会社の担当者などに確認しておきましょう。

軽量鉄骨造の戸建ては、ハウスメーカーのプレハブ工法による供給がほとんどであり、品質が安定しています。

メンテナンス状況にもよりますが、一般的に実際の寿命は法定耐用年数よりも長いです。

大手ハウスメーカーはアフターメンテナンス体制が充実していて、定期的な点検と長期の保証を受けられることから、建物の寿命を延ばして、資産価値を維持しやすいです。

そこで、鉄骨系の大手ハウスメーカーの保証期間や保証内容をまとめました。

  保証期間 保証内容

パナホーム

35年

構造上耐力上の主要部分

30年

雨水の侵入を防止する部分

セキスイハイム

30年

構造上耐力上の主要部分

雨水の侵入を防止する部分

外壁の下地と仕上げ材(磁器タイル外壁の場合)

ダイワハウス

30年

構造上耐力上の主要部分

雨水の侵入を防止する部分

10年

防蟻

住宅設備機器(7品目)

へーベルハウス

30年

構造上耐力上の主要部分

雨水の侵入を防止する部分

10年

主要な住宅設備機器

積水ハウス

30年

構造上耐力上の主要部分

雨水の侵入を防止する部分

※地域、仕様によって、保証期間・保証内容が異なる場合があります。

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まとめ

法定耐用年数は建物の構造によって異なり、軽量鉄骨造では主に19年、または27年ですが、実際の耐久年数とは異なります。

建物は適切なメンテナンスを行うことで寿命を延ばすことができます。

軽量鉄骨造は大手ハウスメーカーによる供給が中心であり、長期にわたって建物を維持するアフターメンテナンス体制が整えられています。

(最終更新日:2024.04.19)
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