住宅ローンの金利タイプには、「変動金利タイプ」「全期間固定金利タイプ」「当初固定金利タイプ」があり、全期間固定金利タイプは住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供する【フラット35】と、金融機関が自ら提供するタイプに分類できます。新型コロナウイルスの感染が広がり始めた2020年1月から2021年3月までの間に住宅を購入した人と、コロナ禍の生活を経験したうえでこれから住宅を購入する人で、金利タイプの選び方はどのように変化しているのでしょうか。
住宅ローンの借り入れで、どの金利タイプが選ばれている?
7割弱の人が、変動金利タイプを選択
まずは、既に住宅を購入した人に、住宅ローンの借り入れで選んだ金利のタイプを聞いたところ、「変動金利タイプ」が67.7%と最も多く、次いで「全期間固定金利タイプ(フラット35)」の14.3%、「当初固定金利タイプ」が11.5%、「全期間固定金利タイプ(民間金融機関)」が6.5%でした。
コロナ禍の生活を経て、全期間固定金利タイプの需要が増加
一方、コロナ禍が本格化してから住宅購入を検討し、これから3年以内に住宅を購入する予定の人にも同様の質問をしたところ「変動金利タイプ」が46.9%、次いで「全期間固定金利タイプ(フラット35)」が31.9%、「当初固定金利タイプ」が11.5%、「全期間固定金利タイプ(民間金融機関)」が9.9%という結果に。全期間固定金利タイプを選ぼうと考えている人が増加していることが分かります。
「変動金利タイプ」を選んだ理由は
金利が低いから(30代・女性)
金利が一番優遇されているから(40代・男性)
当面低金利が続く見込みだから(40代・男性)
など、低金利に惹かれたという回答が圧倒的多数を占めました。
「全期間固定金利タイプ(【フラット35】)」を選んだ理由は
金利変動のリスクを抑えたいから(40代・男性)
毎月一定の金額を払いたいため(40代・女性)
金利が低いため固定にしたいと思った(40代・女性)
といった全体的に低金利の今、全期間金利が一定であるメリットを享受したいと考える声が多く
審査が通りやすそうだった(20代・男性)
といった期待感とともに全期間固定金利タイプ【フラット35】を選択した人もいるようです。
「当初固定金利タイプ」を選んだ理由は
職場の特権で、10年固定の金利が低かったから(30代・女性)
と金利の低さに惹かれる人がいるとともに
繰り上げ返済をするから(40代・男性)
10年間程度しかローンが組めないので何でもよい(60代・男性)
など、ある程度短期間で完済を予定している人が多いようです。
「全期間固定金利タイプ(民間金融機関)」を選んだ理由は
資金計画が立てやすいため(30代・男性)
金利変動リスクが怖いので(30代・女性)
など【フラット35】同様に、一定の金利が続くことに対してメリットを感じている人が多いようです。
また、全ての回答において、「家族や金融機関、不動産関係者などに勧められて決めた」という声も多数挙がっています。
住宅ローンの金利タイプ選びで悩んだポイントは?
既に住宅を購入した人が気にしていたのは「借り入れ時点の金利の低さ」
住宅購入者に、住宅ローンの金利タイプを選ぶ際に悩んだポイントを聞くと、「借り入れ時点の金利の低さ」が最も多く37.8%、次いで「毎月の返済額がいくらになるか」が26.3%、「将来の金利上昇リスク」が20.7%、「どの金融機関にするか」が9.7%、「手数料、保証料などの諸費用」「その他」がともに2.8%でした。
コロナ禍の生活を経て「毎月の返済額」が気になるように
一方、これから住宅を購入予定の人に同様の質問をしたところ、「毎月の返済額がいくらになるか」が最も多く30.5%、「借り入れ時点の金利の低さ」「将来の金利上昇リスク」がともに25.4%、「手数料、保証料などの諸費用」が10.8%、「どの金融機関にするか」が6.1%、「その他」が1.9%でした。コロナ禍の生活を体験し、「少しでもお得に」という気持ちよりも、いかに無理なく返済を続けるかを重視している様子が伺えます。
まとめ
今回の調査結果では、コロナ禍の生活を十分に体験する前に住宅を購入した人と、コロナ禍の生活を経てこれから住宅購入を予定している人では、住宅ローンの金利タイプを選ぶ際に求めることが変化している様子が伺えました。多少の予期しない事態が起きても住宅ローンを返済できるように、無理のない計画を立てたいものですね。
【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2021年3月17日~19日
有効回答数:800サンプル