自宅の防犯を強化したいとき、防犯グッズの購入を検討する方も多いでしょう。中でも安価な「防犯ステッカー」は、不審者の目につく場所に貼ることで、防犯意識の高い家だと知らせることができるお手軽なアイテムです。
しかし、使い方を誤るとかえって逆効果となる一面があるのはご存じでしょうか。正しい使い方や効果的な防犯対策を知っておかないと大変なことになるかもしれません。
そこで、防犯ステッカーが逆効果となる使い方や、防犯ステッカーと組み合わせるべき効果的な防犯対策、ホームセキュリティと契約する場合の注意点など、防犯に役立つ情報をお届けします。
防犯ステッカーは使い方次第では効果激減
防犯ステッカーは、不審者が侵入してきそうな場所や玄関などに貼り付けることで、不審者に防犯意識の高い家だと知らせる防犯アイテムです。
「この家に侵入すると捕まるリスクが高い」と思わせることで、犯罪の抑止力として機能することが期待されています。
まだまだ防犯ステッカーを貼っていないご家庭は多く、ダミーのステッカーでも用意するべきでしょう。貼ることで防犯意識があることは伝わり、窓をあければアラームくらいなるかもと警戒させ侵入を諦めさせることができます。
しかし、防犯ステッカーは使い方次第では効果が激減する場合もあります。特に一番避けたいのは、「防犯ステッカーだけを貼る」という行為です。
そもそも、防犯ステッカーに抑止力があるのは、「防犯カメラ作動中」や「24時間監視中」といった、防犯対策が敷かれていることをアピールするメッセージが書かれているからです。
つまり、防犯ステッカーだけが貼られていても、肝心の防犯カメラがなければ「セキュリティ対策が甘い家だ」と思われるおそれがあり、かえって犯行のターゲットにされてしまうかもしれません。
防犯ステッカーと組み合わせるべき効果的な防犯対策
では、防犯ステッカーだけを貼っても逆効果になるのであれば、どのような対策と組み合わせればよいのでしょうか。
ここでは、主に2通りの組み合わせ方法についてご紹介します。これらの方法については、どちらか一方ではなく、できるだけ両方を採用するように心がけましょう。
防犯カメラと組み合わせる
防犯ステッカーが最大の効果を発揮するのは、やはり「防犯カメラ作動中」などと書かれたステッカーと防犯カメラの両方を設置する場合です。
日本都市計画学会が公開している「都市計画報告集 No.8」の報告書によると、犯罪者が「犯行場所にあれば犯行を思いとどまったもの」と回答したなかで、防犯カメラが2位という結果が出ています。
ステッカーで警戒させつつ、実際にカメラの存在があると「撮影されていて顔がバレるかもしれない」と思わせることでき、大きな犯罪の抑止力になるのです。
コストを重視してダミーの防犯カメラを設置するという選択肢もありますが、その場合はいくつか注意点があります。
まずは、ダミーのステッカー同様に偽物であるとバレてしまうリスクがあることに留意しましょう。本物に近い造りをしていたり、重厚そうに見える製品もありますが、屋内用を屋外に取り付けたり、明らかに配線がなかったりと不自然な点が多いと危険です。
また、実際の防犯カメラは夜間に作動する際、LEDが点滅ではなく点灯するか、LEDがないタイプが多くなっています。したがって、ダミーカメラでLEDが点滅してしまうものは電池を外しておきましょう。
窓の補助錠と組み合わせる
警察庁のデータによると、住居に侵入した犯罪のうち窓を侵入口とした手口が、一戸建てで約57%、3階建て以下の共同住宅で約50%にものぼるとのことです。つまり、窓への防犯対策が住居侵入に対してかなり効果的であることがわかります。
そこで、窓からの侵入を防ぐために、窓にプラスで取り付けられる補助錠を使うことをおすすめします。補助錠はカギ式やダイヤル式などさまざまで、ホームセンターなどで買うことができます。
そして、補助錠にあわせて窓に防犯ステッカーを貼り、窓から侵入できないセキュリティの高い家だとアピールしましょう。
防犯ステッカーの選び方にもポイントあり
続いて、防犯カメラや補助錠などの対策とセットにする前提で、防犯ステッカーの選び方のポイントについて解説します。
ポイントは次の3つです。それぞれ詳しくみていきましょう。
・デザイン
ステッカーのデザインは、防犯カメラがあるとしっかりアピールするため、なるべく目立つものを選ぶようにしましょう。
また、防犯ステッカーの設置場所は一目見てわかる場所にしましょう。わかりにくい場所では、防犯ステッカーの効果も激減します。
・枚数
防犯ステッカーは、複数の場所に目に付くように貼るのが基本です。加えてボロボロだと、かえって防犯意識の低い家だと認識される可能性もあるので、定期的な貼り替えも必要となります。
したがって、貼り替えのストックも含めて、必要分数より余分に枚数の入っている製品を選ぶことをおすすめします。
・耐久性/耐水性
防犯ステッカーは、屋外に貼ることが多いため、耐水性や耐久性も大事です。
雨や風、ホコリで汚れる屋外では、簡単に剥がれ落ちることもあるため、耐水仕様になっているステッカーを選びましょう。
ホームセキュリティと契約する場合も油断せずに
個人で行う防犯対策だけでなく、警備会社にホームセキュリティを依頼する方法も非常に有効です。
ホームセキュリティは、防犯機器や防災機器などのセキュリティセンサーを設置し、異常を発見したらすぐに警備会社に情報を伝達できるサービスです。
ホームセキュリティのプランや警備会社によって違いはありますが、空き巣や強盗の犯人が来たと判断したときだけではなく、ガス漏れや火事、窓の開け閉めの不備を見つけてくれるため、安心して暮らしたい方にはおすすめします。
ホームセキュリティを導入する前に警備会社のスタッフの方が見積もりや説明に来る機会があるので、このタイミングで効果的な対策方法を相談して、利用するプランや防犯設備を決めることが大切になります。
まとめ
住居の防犯対策は、決して防犯ステッカーだけに担えるものではありません。
空き巣から狙われにくくするには、死角を出来るだけなくしたり、こまめに戸締りをしたりといった基本的な対策から、扉や窓の鍵の強化や防犯カメラの設置といった本格的な対策を実施することが重要です。
そして、防犯ステッカーはこうした対策の効果をさらに高めるためのひとつのツールと考えるべきでしょう。
自身で防犯対策を実施することに不安が残る場合、防犯のプロである警備会社にホームセキュリティを依頼することもできます。
安心安全な暮らしを守るためにも、できる対策を最大の効果が発揮できる形で行いましょう。
【監修者】
京師 美佳さん
防犯アドバイザー、犯罪予知アナリストとして、情報番組やNEWS番組などメディア等多数出演。セキュリティ全般の知識を活かし講演や啓蒙活動も行う。2005年京師美佳セキュア・アーキテクト設立 2009年(社)全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事就任。建物の防犯診断、プロデュースなど幅広く活動を行う。「防犯アドバイザー京師美佳の安心生活をつくる自己防衛の心得35」など著作多数