エアコン掃除をサボると害虫発生や火災リスクも? 自分でできる掃除手順

新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、外出を控えた「おうち時間」が長くなった方は多いでしょう。自宅での快適な生活や体調管理には、エアコンによる空調管理が欠かせません。

エアコンの使用頻度が増加し懸念されるのが、掃除です。
エアコン掃除を怠ると、カビが増殖やしたり、火災の原因につながる危険性があります。

今回は、エアコン掃除の重要性と、適切な掃除方法をご紹介します。

エアコン掃除を怠るリスク

まずはエアコン掃除を怠った際のリスクを確認しましょう。

カビ増殖によるアレルギー症状の原因に

エアコンを掃除しないと、カビが増殖する危険性があります。
エアコンの内部は湿度が60%以上、温度は20〜30度程度、ホコリなど空気中の汚れもたまるため、カビの発生しやすい環境です。

放置しておくと、カビの菌が混じった空気を室内にまき散らすことになります。単に嫌な臭いがするだけでなく、咳(せき)や痰(たん)、鼻詰まりといったアレルギー症状の原因になりかねません。さらには、高齢者や子どもといった抵抗力の弱い人たちならば気管支炎や肺炎、皮膚炎の危険性まであります。[注1]

電気代がアップする可能性

環境省の調べでは、目詰まりしているフィルターを掃除するだけで冷房時にはで約4%、暖房時で約6%の消費電力の削減ができます。また、大手エアコンメーカーのダイキン工業も「フィルター掃除をすれば冷房時で1,145kWhの消費電力で済むエアコンを、掃除しないで使い続ける。すると、1年後には1,432kWhと25%も消費電力がアップする」との試算を出しています。

環境省・ダイキン工業とも、2週間に1度のフィルター掃除を推奨しています。これだけで、空気の吹き出しがスムーズになり、モーターなどに余分な負担がかかりません。「エアコンを長持ちさせることができる」という効果までも期待できます。[注2][注3]

漏電による火災につながるリスク

また、内部にホコリなどがたまっていると、漏電も起こりやすくなります。へばりついたホコリなどが水分を持ち、本来あるべきところ以外に電気を通してしまうのです。動作不良の原因になるだけでなはなく、最悪の場合火災にまでつながることがあります。[注4]

害虫が潜んでいる可能性も…

エアコンの排水ホース(ドレインホース)が、カメムシやコガネムシ、コバエといった虫の侵入経路になります。なかでも困るのがゴキブリです。侵入するだけではなく、エアコンの中に住み込み、繁殖までしてしまうことがあります。

「湿度が高い」「気温が快適」以外にも、「暗くて入り込んだ形状」、「たまった汚れがエサになる」といったように、エアコンの内部はゴキブリが繁殖するのに適した条件がそろっています。排水ホースの先端に専用の防虫キャップを着けて侵入を防ぐとともに、室内のエアコン掃除も徹底しましょう。

自分でできるエアコン掃除…4つの手順

自分で掃除できるのは、フィルター、ルーバー、カバーぐらいまでです。内部の本格的な掃除は困難なため、専門のクリーニング業者に依頼した方がいいでしょう。掃除の方法を誤ると、故障や漏電の原因になります。

また、スイッチをオフにしてあっても、待機電力が流れています。掃除の際には必ずコンセントを抜いておかなければいけません。

掃除には十分に注意し、下記の4つの手順で進めましょう。

1.掃除機でフィルターを掃除する


自分でできるエアコン掃除の代表がフィルターです。フィルターは取り外す前に、掃除機で軽く表面のホコリを吸い取りましょう。

汚れ具合にもよりますが、いきなり外すとホコリが落ちて床まで汚してしまいます。この際、掃除機のノズルはブラシ付きのものを使うだけではなく、できるだけソフトにタッチしましょう。

2.目詰まりには水洗い

掃除機をか掛けてもまだ汚れが残っているようならば、水洗いをします。まずは、シャワーのノズルなどをつかって裏から水を当て、押し出すようにホコリを洗い流します。汚れが落ちきらない場合は、古歯ブラシでこすりながらもう一度水を当てるといいでしょう。

洗い終わったら、タオルなどで水気を吸い取り、陰干しします。未乾燥しきっていないの状態でセットすると、新たにカビが生える原因にもなりかねません。

3.しつこい汚れは中性洗剤を用いる

キッチンやダイニングで使っているエアコンの場合、調理の際に使う油分がホコリとともに蓄積し、汚れが落ちにくくなります。

その際は中性洗剤を使いましょう。バケツに張った水に洗剤を混ぜ、この水を掛けながら柔らかい布などを使ってなでるようにして洗います。最後は真水で十分にすすいでから、乾燥させます。

4.細かい掃除はクリーニング業者に依頼する

風向きを変えるための細長いパーツであるルーバーや、フィルターを覆っているカバーは、しっかりと絞ったぞうきんで水拭きをしましょぶきすればいいでしょう。3ヶ月に1回をめどにします。

フィルターを外すとむき出しになる熱交換機(冷却フィン)や、パーツの隅などにたまったホコリは掃除機で吸い取ります。ただ、熱交換器のフィンの隙間に入り込んだホコリは取り切れないかもしれません。

消費生活用製品の安全性や事故原因を調査・研究している、独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)では、エアコン掃除用スプレーなど洗浄液を使っての掃除について、「内部の構造は複雑で、消費者が自ら行うことは危険」としています。通常の使用であれば、1年か2年に1度、専門のクリーニング業者に任せるようにしましょう。

アルコールの使用は引火の危険がある!エアコン掃除の注意点

新型コロナウイルスは、咳やくしゃみで口から出る小さな水滴に混じって空気中を漂い、それを吸い込んだり目などの粘膜に着いたりすることでも感染するとされています。いわゆる「飛沫(ひまつ)感染」です。

もし空気中の病原体を懸念し、消毒用アルコール(エタノール)や次亜塩素酸ナトリウム液といった、消毒剤をエアコン内部の掃除に使用している場合は注意が必要です。

もし消毒用アルコールがエアコン内に残ったまま稼働させた場合、エアコン内部の劣化した部品から火花が散ることで引火の可能性があります。次亜塩素酸ナトリウム液は、塩素の作用で金属部品を腐食させるために、故障の原因になります。どちらも、「エアコン掃除用スプレー以上に危険」と承知しておかなければいけません。[注5][注6]

まずは、フィルターの掃除を習慣づけよう

エアコンは決してメンテナンスフリー(手入れ不要)の機器ではありません。エアコンの掃除のなかでも、簡単にで自分でできて電気代を節約、健康のためにも効果が見込めるのがフィルターの掃除です。まずは、フィルターだけでもこまめな掃除を心がけるようにしましょう。[注7]

 

[注1]
社団法人・大阪生活衛生協会「生活衛生Vol.45」

[注2]
環境省「家庭でできる節電アクション」

[注3]
ダイキン工業(CLUB DAIKIN)「シーズンの合間、今のうちにエアコンのお掃除を!」

[注4]
朝日新聞デジタル「エアコン内部洗浄で発火の恐れ 『業者に依頼を推奨』」

[注5]
産経ニュース「エアコン掃除、事故多発 洗浄液、火災の原因に」

[注6]
WEB女性自身「コロナで身近“次亜塩素酸”でエアコン掃除に火災の危険」

[注7]
ダイキン工業「男女559人に聞いた『換気に関する実態調査』」

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