子どもを授かるのはとても嬉しいことですが、出産や育児にはお金がかかります。共働きの家庭では妻が産休・育休を取得する間は収入の減少を避けられません。子どもが成長するにつれ、教育費なども増えていきます。そこで、ARUHIマガジンの中から、産休・育休時のお金に関する記事をピックアップしてお届けします。
配偶者控除や配偶者特別控除を確認
育休中には基本的に、給与が支給されません。子育て中、家計をどのようにやりくりするか頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか。
育休中の所得が減ると、夫側で今まで使えなかった「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を申請できる可能性が高くなります。
配偶者控除は、納税者本人(夫)と生計を同一とする配偶者の年間合計所得が48万円以下の場合、納税者本人(夫)が一定の所得控除を受けられる制度です。パートや会社員などの給与所得者は年収103万円以下になります。
ただし、納税者本人(夫)の所得が900万円(年収1,095万円)を超えると段階的に控除額が減り、1,000万円(年収1,195万円)を超える場合は配偶者控除を受けることができません。
また、育休中の配偶者が事業専従者の場合、配偶者控除を受けることができないので注意が必要です。
育休中の配偶者の合計所得金額が年間48万円(パートや会社員など給与所得者は年収103万円)を超えてしまった場合は、納税者本人(夫)は配偶者控除を受けることができません。
しかし、年間48万円を超えた場合でも以下の表のように配偶者の所得が133万円以下(給与所得控除を差し引く前の年収では約201万円)であれば、段階的に配偶者特別控除を受けることができます。
詳しく読む:育休中は夫の扶養に入れる? 知っておきたい育休中の税金や社会保険のこと
育休明けの復職に向けた「保活」
家計のことを考えれば、出産後は早めに職場復帰をしたいところ。そのためには、子どもを保育園に入れる必要がありますが、「待機児童」という言葉があるほど、保育園には空きが少ないと言われています。
保育園は自治体から「保育の必要性」について認定を受けないと利用できないため、役所に必要書類を提出する必要があり、「給付認定」を申請することになります。これは、「保育が必要であるかどうか」と「子どもの年齢」によって、以下の3つに分けられます。
保育が必要な2号認定・3号認定を受けると、認可保育園・認定こども園などの利用が認められます。1号認定の場合、利用できるのは、幼稚園・認定こども園です。認定こども園は幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設なので、1号認定・2号認定・3号認定の子どもが対象です。
保育園は、2号認定、3号認定の子どもが対象となりますが、「共働きでも幼稚園に入園させたい」という場合は、1号認定を受けることも可能です。
給付認定に加え、優先順位の高い家庭から順番に保育園へ入園させるための選考指数(点数)が、希望する保育園に入れるかどうかの判断材料となります。選考方法は自治体によって異なりますのでご注意を。
詳しく読む:在宅勤務は保育園入園に不利? 気になる保活事情と入園するための工夫
産休・育休が30代女性の収入減の一因に
30代は結婚や子育ての支出が増え、多くのお金が必要になる時期です。男女それぞれの年収が平均してどれくらいなのかを念頭に、出産や子育てをしながら生活するにあたってのマネープランを立てましょう。
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、年代・男女別にみた年収の中央値は、下の表の通りです。30代の年収の中央値は平均値よりやや低めで、30~34歳の男性の中央値は275万2,000円(平均290万8,000円)、女性の中央値は236万1,000円(平均247万4,000円)となっています。また、35~39歳の男性の中央値は305万9,000円(平均328万4,000円)、女性の中央値は241万円(平均256万2,000円)となっており、30代前半に比べて後半のほうが、年収が増えていることがわかります。
20代の年収は男女ともに低めですが、30代に入ると男性の年収は平均値、中央値ともに増えてきます。一方、女性は30代に入っても年収があまり伸びません。その原因としては、出産休暇や育児休暇で一定期間収入が減ったり、離職する人が増えたりすることが挙げられます。女性の昇格スピードが男性よりも遅く、昇給が遅いことも一因でしょう。
40代、50代になると男女間の年収差はますます広がる傾向にあり、女性の管理職が少ないことが原因と考えられます。
詳しく読む:30代の世帯年収はどのくらい? 平均値と中央値、男女別・世代別に比較
子育てとともに考える住宅購入
子育てをするにはお金がかかりますが、子育て中にマイホームを購入したいと考えている人は多いでしょう。上の図は、30歳の夫婦+子ども2人の4人家族が新築マンションを購入した場合、どのようにお金が増減するかを表しています。
夫婦とも27歳で結婚後、30歳で都内に約5,000万円の新築マンション(3LDK)を購入。共働きで2人の子どもを育てながら住宅ローンの返済を続け、夫の定年退職まであと1年の64歳で完済する計画です。第2子が独立するまでは、住宅ローンの返済と子どもの教育費が同時にかかることを念頭に、無理のないプランを立てることが大切です。
完済後は、モデルケースのように持ち家で暮らし続けるのであれば、家賃支出を気にせずに生活できます。また場合によっては、マンションを売却して老後資金の一部に充てることも、夫婦2人の暮らしに適したコンパクトマンションに買い替えることもできるでしょう。ちなみに、厚生労働省の調査によると、大卒の退職金は平均約2,000万円。「持ち家」という資産に加えて退職金があれば、無理なく老後の資金を確保することができるのではないでしょうか。
詳しく読む:マンション購入、ライフプランを考えずに決断するのは失敗のもと!?
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まとめ
出産前後は人生の中で忙しく、お金もかかる時期です。利用できる制度はできるだけ利用して収入減を補いながら、仕事復帰のための保活や、今後のマネープランも視野に、お金の不安を軽減していきましょう。
(最終更新日:2024.04.19)