コロナ禍のマンション市場から考える、住みやすい家・街の「条件」とは

2020年は、住まいの重要性を再認識した年でした。世界中の人々を襲ったコロナ禍は、人の移動を制限しそれまでの日常を一変させました。感染拡大防止対策として、テレワークや時差通勤が推奨され自宅などで仕事をする機会も大きく増えました。また、ステイホーム期間中に家族と過ごす機会が多くなるなかで、もっと家族との時間を大切にしたいと考える人も増えたようです。

家族時間を重視する人が増加し、都心直結や近郊エリアの大規模マンションが人気に

内閣府が2020年5月に行った新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査によれば、「仕事と生活に関する意識について」は、テレワーク経験者の64.2%が「生活を重視する」ように意識が変化したと回答しています。

そして、「家族・仕事の重要性の意識の変化」については、「家族の重要性を意識するようになった」が約半数を占めたのに対し、「仕事の重要性を意識するようになった」は、21.9%。家族の重要性を意識するようになった人が増加しています。

こうした意識の変化は、マンションの売れ筋にも影響を与えています。その一つが、通勤時間を減らせ、家族と充実した時間を過ごせる都心のタワーマンション。例えば、東京メトロ有楽町線「東池袋」駅に直結する「ブラウドタワー東池袋ステーションアリーナ」や都営大江戸線「勝どき」駅に地下通路で直結する「パークタワー勝どきミッド」などの駅直結マンションです。

「プラウドタワー東池袋ステーションアリーナ」は、東京メトロ有楽町線「東池袋」駅徒歩1分の場所に市街地再開発事業で誕生する地上36階建て、総戸数248戸 (うち非分譲住戸55戸)のタワーマンション。東池袋駅内の地下道に入居者専用のエレベーターが設置され、各住戸までアクセス可能。全戸が申込完売しています。

駅直結のため、雨の日も濡れずに移動が可能。近くに「防災公園」としての機能も持ち合わせるIKE・SUNPARK (イケ・サンパーク)が2020年にオープン。都心でありながら憩いのスポットが豊富なのも人気の要因です。

「パークタワー勝どきミッド/サウス」 外観完成予想CG(プレスリリースより)

「パークタワー勝どきミッド/サウス」は、都営大江戸線「勝どき」駅と地下通路で結ばれる総戸数2,786戸の商住複合大規模再開発プロジェクト。第1期1次・2次全戸に申し込みが入っています。

商業施設が併設される利便性に加え、東京湾に面した立地で2万平方メートル超の敷地を生かした広大な緑地と水辺空間を創出したランドスケープデザイン。都心でありながら憩いの場が身近にある点も魅力です。

家族と過ごす時間を考えた場合、職住近接は一つの住まい選びの答えです。都心にあっても生活利便性が高く、憩いの場が身近にあるマンションは、コロナ禍において人気を集めています。

また、「さいたま新都心」(埼玉県さいたま市)や「流山おおたかの森」(千葉県流山市)、「南船橋」(千葉県船橋市)といった、都心へのアクセスが比較的スムーズで、大型商業施設や生活利便施設が身近にあるマンションも好調です。

こうした近郊エリアは、都心立地に比べると手が届きやすく、家計の負担も押さえられます。子育て層では、共働きでも通勤利便性の高い近郊エリアを選ぶ人は少なくありません。

こうしたマンションニーズの変化は、調査にも表れています。SUUMOが2020年10月(2020年10月2日~10月9日)に一都三県、東海圏、関西圏で行った2020年新築マンション検討者動向・トレンド調査を見てみましょう。

 

在宅勤務が増え、「感染対策」「ワークスペース」を重視

まず、新築分譲マンション検討者の61.7%が在宅勤務を行っています。また、在宅勤務が50%以上の比率の人は26.4%にも及びます。そして、コロナ禍が終息しても在宅勤務が続くとした人が77%。出社せずに働くカタチがある程度定着すると考えている人が多い結果になっています。

在宅勤務する場合のワークスペース(複数回答)に関しては、「自宅のリビング」と答えた人が61.2%。「自宅の寝室」が29.5%、「自宅の空いていた部屋」が27.4%、「自宅の収納やクローゼットなどを改修したスペース」が4.6%と、自宅に偏っていることがうかがえます。

一方で、「共用スペース」は8.6%、「近所の喫茶店・cafeやリモートオフィス」は6.5%。自宅外のスペースを利用している人は限られています。

ワークスペースの不満として挙げられているのが「気分を切り替えるのが難しい」(30.4%)、「机の高さやPCモニターの大きさなどの仕事環境が整っていない」(27.4%)、「必要書類等を拡げるスペースがない」(22.1%)、「Wi-Fi環境が貧弱」(21.5%)など、仕事環境として十分でないことを挙げています。とくに小学校未満の小さい子どもがいる世帯がワークスペースに対する不満が大きいようです。

こうした不満を受けて、マンションの共用部分の希望として最も多かった項目は、1位「安定して通信速度の速いWi-Fi環境があるスペース」(31.8%)、2位「完全な個室タイプのワークスペース」、3位「個室ブースや電話ブースもあるワークスペース」と個室のワークスペースの項目が上位となっています。

また、検討者が住宅・住宅設備について、緊急事態宣言後に「必要だと思うようになった」割合では、「通風・換気性能に優れた住宅であること」が43.9%でトップ。 2位は「通信環境が充実していること」で43.1%となっています。 テレワークが普及するなか、自宅の通信環境は、重視ポイントの上位に来ています。

3位以下は、3位「宅配ボックスが充実していること」39.3%、4位「除菌対応エレベーターがあること」38.8%、5位「感染症対策が取られた設備があること」38.5%が続き、 コロナ禍で新築分譲マンションにも「感染対策」を求めていることが明らかに。

また、「遮音性に優れた住宅であること」34.9%、「家族それぞれが一人で仕事や趣味に集中できるスペースがあること」32.9%など、「自分の時間が確保できるスペース」の必要性についての変化があったと回答した人が3割を超えています。

紹介した「プラウドタワー東池袋ステーションアリーナ」では、食材の宅配サービスであるクックパッドマートを導入。スマホアプリから食材を注文しておけば、共用部に設置された生鮮の宅配ボックス「マートステーション」で、好きな時間に受け取りが可能。さらに各階各戸に宅配ボックスも設置されており、荷物の授受のための移動もなくスムーズです。

また、「パークタワー勝どきミッド」には、建物内に約300平方メートルのコワーキングスペースを設置。個室ブースもありワークスペースとしての利用可能です。8階のコモンスペースにはラウンジやフィットネススタジオなどがあり、サードプレイスが充実しています。

安心して時間を過ごせる共用施設があるマンションはほかでも注目を集めており、在宅勤務が今後も続くなか、テレワークができる共用スペースはマンションの人気設備になりそうです。

 

「病院や診療所が充実している」など、住みたい街の条件にも変化が

前出の「2020年新築マンション検討者動向・トレンド調査」では、街選びでも変化が起きています。住みたい街の条件でより重視するようになった項目の1位は、「病院や診療所、介護施設が充実している」(41.4%)。さらに「防災対策がしっかりしている」が39.7%で続いています。

※出典:「2020年新築マンション検討者動向・トレンド調査」

「歩く範囲で日常のものはひととおりそろう」(39.3%)、「徒歩や自転車の移動が快適だ」(37.8%)、「散歩やジョギング等がしやすい」(35.3%)が続き、自宅の徒歩圏内の環境が重視されている結果になっています。
また、「どこにいくにも電車・バス移動が便利だ」(30.6%)と一定の交通アクセスを求める一方で、「物価が安い」(32.6%)「住居費が安い」(27.4%)など、生活コスト面での暮らしやすさを求める人も多い傾向にあります。

医療施設や商業施設などの生活インフラが整い、憩いのスポットが豊富な場所は、コロナ禍のなかで人気を集めています。「川口」(埼玉県川口市)、「大泉学園」(東京都練馬区)、「辻堂」(神奈川県藤沢市)といった、「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2021」のランキング上位の街は、この傾向に当てはまります。

【参考記事】
・【本当に住みやすい街大賞2021】第1位 川口:豊かなライフバランスが叶う、住まいも暮らしも伸び続けるパワータウン
・【本当に住みやすい街大賞2021】第2位 大泉学園:閑静な住宅地と、都市計画により買い物環境が充実した駅前街区のある美しい街
・【本当に住みやすい街大賞2021】第3位 辻堂:再開発により利便性が急上昇、リゾートライフを満喫できるシーサイドタウン

 

2021年に注目を集めそうなのは、既成市街地の再開発プロジェクト

最後に、2021年のマンション市場の注目ポイントを挙げてみましょう。コロナ禍を受けて、住居だけでなく、街全体の暮らしやすさが住み心地を左右することは、誰もが感じたこと。前途の「さいたま新都心」駅や「海浜幕張」駅(千葉県千葉市)などの計画的な街づくりが行われた場所に建つ大規模マンションが注目を集めました。

小岩駅前の再開発街区(2021年3月撮影)

2021年に注目したいのは、すでに市街化形成された歴史ある街で行われる再開発プロジェクトです。既成市街地の再開発プロジェクトは、美しい街並み形成や防災機能の向上に寄与するだけでなく、街にほしい施設や機能を補完することでより豊かなライフスタイルを支援します。

例えば、「川口」駅のほか、「小岩」駅や「平井」駅(いずれも東京都江戸川区)などでは、大規模な再開発プロジェクトが進行中。いずれも商業・住宅一体で整備されるので、人気を集めるのではないでしょうか。

コロナ禍を受けて普通の日常生活が、実は大切なものだと気づかされました。もしその気づきが住まい選びに活かせれば、本当に暮らしやすい日々が実現できることでしょう。

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