新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちの生活は大きく変わりました。新しい生活様式が浸透し、新しい働き方としてテレワークが定着しつつあります。これにより、利便性重視から広さや部屋数重視に、会社に近い都心より環境の良い郊外に、など、住まいや街選びにも変化があらわれてきています。コロナ禍による価値観の変化、そして、これから注目のエリアや新しい住まいの選択肢を紹介します。
『準都心・近郊外』エリアに注目
コロナ禍が住宅・マンション事情に与えた影響として、住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さんは、便利さ優先の流れから、便利さだけではなく広さなど快適性も見直されており、「準都心・近郊外」エリアが注目され始めている、と語ります。
櫻井さんが注目する穴場エリアとは?
詳しく読む:コロナの影響で見直されているのは「準都心・近郊外」エリア~住宅ジャーナリスト・櫻井 幸雄さんインタビュー ~
在宅勤務の浸透が将来の不動産市場へ影響
新型コロナウイルスの問題がいつ収束するのかは誰にも分かりません。しかし、治療薬や特効薬が開発され、多くの国民が免疫を得たとしても、この在宅勤務というスタイルは不可逆であり、多くの企業が在宅勤務制度を続けるでしょう。
将来予想されるこの動きは、不動産市場にも大きな影響を与えます。分かりやすい所で言えば、オフィスビルの需要は大きく下がるでしょう。そして、私たちの住宅事情にも大きく影響があると考えます。
経済アナリスト・森永 康平さんによる、不動産市場の変化予測はこちら。
詳しく読む:歴史繰り返す⁉ コロナ収束後は1980年代の「郊外マイホームブーム」再来?
新型コロナ問題で街や住まいへの意識に変化
新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークも急速に広まりました。新しい働き方として、多くの企業で取り入れられています。働き方の変化にともなって、住まいへの意識にも変化が表れているようです。調査データの結果から、その変化を見ていきましょう。
約3割の人が、コロナの影響で住まいに対する認識を新たに
「コロナ禍における『住まい選び』に関する意識調査」(株式会社すむたす)によると、新型コロナウイルス問題により、住まいに対する考え方に何らかの変化を感じている人が3割近く。その中には、「テレワーク前提で物件を選ぶようになった」、「定住に対するこだわりがなくなり、複数拠点で生活することを検討したい」といった声もあがっています。
また、テレワークが前提なら郊外の物件でもよいと考えている人が多くいることがわかりました。
詳しく読む:テレワーク経験者が考えを改めた、住まい選びで優先する事とは?
引っ越し検討者が増加。新型コロナ問題を機に、住んでいる街の良さを再認識
「新型コロナウイルスによる意識変化調査」(大東建託株式会社)では、新型コロナウイルス問題をきっかけとして引っ越しを考えているか問うと、郊外・都心・地方・都会といった方向性に関わらず、引っ越しを考えている人が増加していることが分かりました。
また、新型コロナ問題を機に、7割以上の人が住んでいる街の良さを再認識しています。
詳しく読む:テレワークを続けている人は3割、「いま住む街」を再認識する人も多く
コロナ禍のマンション購入は「危機管理意識」と「広さ」がカギ
新型コロナ問題の影響で郊外志向の高まりが見られる一方、「コロナ禍を受けた住宅購入意識調査」(株式会社オープンハウス)によると、20~30代は「都心6区」でマンションを購入したい人が増加しているという結果に。
新型コロナウイルス問題の影響を受ける前と比べ、マンション購入を検討する際に重要度が増した項目については、TOP5は「遮音性」、「価格」、「セキュリティ」、「広さ」、「免震・制震・耐震性能・断熱性能」でした。在宅時間の増加にともない「危機管理意識」がマンション選定に影響を及ぼしていると推測されます。また、リモートワークの機会が増え「ゆとりある間取り」も以前にも増して重視されていることが伺えます。
詳しく読む:20代・30代で「都心6区」のマンションを検討、コロナ以前よりも増加
アフターコロナの新たな住まいの選択肢「郊外の戸建て」
働き方が変わると、郊外、または新幹線など通勤に便利なプチ田舎の「平屋」で子育てする、という選択肢も考えられるようになります。
都心から離れれば土地の値段は安くなり、その分土地を広く買うことができ、平屋の家を建てられる可能性も増えてきます。
<郊外でのびのびと暮らせる平屋の家のメリット>
・階段がないので目を離したすきに階段から落ちる心配がない
・掃除・片付けがしやすい
・将来自分たちが高齢になってからも、楽な動線で住み続けられる
詳しく読む:コロナ後の住まい方。子育てが楽しくなるプチ田舎の「平屋」という選択肢
郊外に土地を購入して理想の家を建てる
地価の高い東京や大都市では、土地を買って家を建てたいと思っても、予算の都合上マンションや建売住宅しか買えない、という人も多いはずです。しかし、郊外に1坪30万円で土地を買えれば、30坪で900万円です。3,000万円の家を建てても3,900万円ですから、土地を購入して好きな家を建てる、という選択肢が広がります。
しかし、土地は安くても家が広く建築費が高くなると、購入時や購入後にかかるお金に注意が必要です。
詳しく読む:【ウィズコロナの家探し】郊外の広い家を購入したときの注意点
郊外の平屋の中古住宅を購入してリノベーション
平屋の中古住宅には、新築住宅やマンションにはない風情豊かな物件が数多くあります。都心のタワーマンションでの暮らしとはまた違って、自然や木のぬくもりに囲まれて過ごしたい、という人には良い選択肢でしょう。
築古の物件を格安で手に入れたのちに、自分好みにリノベーションできる楽しみもあります。しかし、購入資金とリフォーム資金を併せて住宅ローンを借りるには、購入する時点で図面や見積書など、リフォームの概要が決まっていないと申し込めません。ゆっくりとリノベーションを考えたい場合、購入後にリフォームローンを別途借りるか、リフォーム資金は現金で準備する必要があります。
詳しく読む:いま気になる「郊外の平屋住宅」はどう探す? 建築基準を満たすか要チェック
まとめ
コロナ禍でもたらされた生活・働き方の変化により、住まい・街選びは多様化してきています。大切なのは、自分や家族が幸せに暮らせる住まい・街を選ぶこと。働き方やライフスタイルを考慮しながら、しっかりと検討しましょう。