【湾岸タワマン】コロナ禍でも東京湾岸エリアのタワマンは変わらず好調。むしろ物件が不足している状況も~のらえもんさんが語る~

この記事は12月16日(水)に発売されたARUHIマガジン初のムック本『コロナ時代にどう変わる?知らなきゃ損する家とお金の話』から転載しています。

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コロナ禍の状況で、マンション市場はどのように変わっているのか。特に東京湾岸エリアのマンション事情に明るい、のらえもんさんの考察を紹介する。

コロナが変えた街や人の流れ今後の動向に注目すべし

コロナ禍は、人の流れを一変させました。2019年に3,000万人を超えた訪日外国人に沸いたインバウンド需要は消滅し、また在宅勤務の普及で大企業が多いオフィス街の昼間人口は減っています。しかし、こと住宅に関しては景色が違います。あの緊急事態宣言中はともかく、その後の需要は昨年同時期に比べても遜色ないほどまで回復しました。これから景気の後退が予測される中、需要がなぜ力強いのか。

私に日々届く相談メールから分析すると、在宅勤務が住宅探しのきっかけになったという方が大勢いらっしゃいました。日本の賃貸住宅は、意図的にコストを抑えた造りになっていて、夫婦で在宅勤務を行うと、住環境の改善に目が行くのでしょう。
 
都心エリアのマンション売買も活発に行われていますが、私の観察対象の東京湾岸エリアの状況を申し上げますと、

◇新築タワマン

相変わらず売れている。むしろ販売が加速した物件もある。4年後入居開始予定の超大型物件のモデルルームがオープンしたが、開始当初2ヵ月は予約すら困難なほどの人気であった。

◇中古タワマン

活発な取引が行われている。売り物件が顕著に減り、成約数は変わっていないため、中古マンション在庫が枯渇してきている。驚くことにコロナ後の方が物件価格は上昇の軌道にある。

という状況になっています。どちらも活況と言ってよいでしょう。

水辺が近く、足元に緑があり、公園が多くて歩道の幅も広い湾岸エリア特有の景色は、これからも一定以上の需要を生むだろう。最初期の湾岸タワマン建設から月日が進み、居住エリアとしての認知も進んでいる

東京湾岸エリアを東西に分けるとすれば、その中心地は西なら品川、東は豊洲となります。特に東側の豊洲は2020年にららぽーとの拡張が完了し、人通りはコロナ前に近い勢いを取り戻しています。俯瞰的な視野で見ても、六本木や銀座などインバウンドや法人接待需要がメインだった繁華街は空き店舗が増える一方で、豊洲や月島、勝どきには空き店舗がほぼない状態が続いています。

コロナ禍においては、遠くへの旅行や都心への外出を避ける人がいる一方で、近場への外出はだいぶ回復したこともあり、エリア内の住宅ストックと商業施設が程よくある湾岸エリアは、街として非常に元気な状態を保っています。この現象は湾岸だけでなく、山手線から数駅離れたエリアでも同じような状態です。例えば三軒茶屋・高円寺・武蔵小山などが代表格でしょう。

 
意外に思われるかもしれませんが、東京湾岸エリアのタワマンの購入を検討する人の中で「オリンピックがあるからこのエリアで購入する」という人は、ほとんどいません。オリンピックは単なるきっかけにすぎなかったのです。

競技場建設と共に、各種インフラ整備が進み、注目が集まったため、住宅地としての人気が高まったのは事実です。そして、インフラ整備は2020年時点でほぼ終了しており、仮に開催がなかったとしてもその施設は残りますし、湾岸タワマンの資産価値に疑問符がつくことはないでしょう。

「特別」から「普遍」に変化購入を検討する際の注意点

前述の通り、湾岸エリアのタワマンは新築中古問わずとても活発な取引を観測しています。オリンピックの延期や緊急事態宣言に伴う景気の後退により、一般的にも「価格は下落するのでは?」といった予想がされましたし、5月の時点では私も同じような心配をしていました。しかし、実際はこの逆でした。中古の在庫が枯渇したため、各所で値上がりが始まっています。
 
いまの湾岸エリアから都心エリアのメインの購買層は、フルタイム正社員共働き夫婦のため、夫婦で同等のローンを組むことも可能です。特に新築物件は、夫婦でペアローンを組んだ場合の住宅ローン減税による恩恵が特に大きいものがあります。物件価格とローン額を調整することにより、夫婦合わせて年間最大80万円の所得税減税が受けられるからです。このため、住宅購入予算は膨らむ傾向にあります。

タワマンは高さと規模が持つそのシンボル性ゆえに、成功者が住む特別な住まいという見方がありました。特に眺望に優れた湾岸エリアのタワマンは、埋め立て地という歴史のなさと多少のやっかみ目線がないまぜになりつつ、ある種のステータス感を付与されていたのは事実です。しかし、湾岸タワマンの登場から二十数年が経過して、徐々にその特別性は失われていくと予想しています。 

「湾岸タワマン」と一律に評価される時代は既に終わりました。インターネットにより情報の流通が不可逆的に増えていく時代においては、自然と人気があるタワマンと、そうでないタワマンに分かれていきます。人気を決めるバロメータになるのは、まずエリア内でのポジショニングと規模、そして建物自体のグレードや古さを感じさせないデザイン性などです。
 
中古タワマンを購入する際にまず気をつけたいのは修繕積立金の額です。築10年を超えても新築時より大きく上げていないタワマンは2回目の大規模修繕を行う十分な資金をためられず、将来資金ショートするおそれがあります。タワマンはその形状ゆえに維持にお金がかかる建物です。板状マンションよりも高い維持費は受け入れることが必要です。きちんとした管理がされていれば、物件価値は維持されます。
 
マンションの管理状態は、ゴミ集積所・メールコーナーの張り紙・駐輪場・植栽。この4点に現れます。内覧の際にはここをきちんとチェックしましょう。最後に、湾岸エリアは車移動が大変便利な地区ですが、車を持つ人は注意が必要です。近年、車幅が大きくなっていく傾向があります。実は少し前のタワマンだと車幅制限が厳しく、少しいいクラスの車はタワーパーキングに入らない可能性があります。車利用を検討している人は、駐車場の仕様にもご注意を。

執筆者

のらえもんさん
マンションブロガー
「マンション購入を真剣に考えるブログ」を運営するマンションブロガー。著書に「専門家は絶対に教えてくれない!本当に役立つマンション購入術」(廣済堂出版)など。

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今回紹介したのらえもんさんの書下ろしコラムをはじめ、岸 博幸さん、竹中平蔵さん、櫻井幸雄さん、森永卓郎さん×森永康平さんといった豪華識者のインタビュー・対談も収録し、街選び・家選びとマネープランの新常識を徹底解説。住宅購入で後悔したくない人には必携の一冊です。Amazonをはじめ、全国の書店、コンビニ、各種ネット書店(電子版も同時発行)で好評発売中です。

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(最終更新日:2020.12.28)

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