まだ受けられる、コロナ関連の個人向け「猶予・減免」制度(2020年9月現在)

新型コロナウイルス感染症対策として国や自治体がさまざまな制度を用意しています。1人あたり10万円の特別定額給付金や、中小法人等で最大200万円(個人事業者等で最大100万円)の持続化給付金などは有名ですが、まだまだ私たち個人が受けられる制度があることをご存じでしょうか。今回と次回の2回に分けて、2020年9月末現在でまだ受けられる「猶予・減免」の制度と、まだもらえる「給付」の制度を紹介します。今回は「猶予・減免」について触れます。

国民健康保険料(税)等の減免

まず、国民健康保険や介護保険、後期高齢者医療保険についての減免制度が用意されています。

対象となるのは、自営業やフリーランスなどの個人事業主の人や、75歳以上の高齢者などです。会社員や公務員の人たちは、協会けんぽや健康保険組合、共済組合に加入しているのが原則なので、基本的には対象となりません。

さて、この国民健康保険や介護保険、後期高齢者医療保険の保険料(税)を支払っている人で一定の要件にあてはまる人は、保険料(税)の減免の申請ができるようになっています。

一定の要件というのは市区町村によって微妙に異なる可能性がありますが、基本的には、新型コロナウイルス感染症の影響によって主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った場合や、一定程度収入が下がった場合が該当します。

筆者の住まいがある千葉県柏市だと、まず、新型コロナウイルス感染症によって主たる生計維持者が亡くなった場合や重篤な傷病を負った場合は、国民健康保険料や介護保険料、後期高齢者医療保険料は全額が免除となります。

そして、

(1)主たる生計維持者の収入が前年よりも3割以上減少

(2)主たる生計維持者の前年の所得が1,000万円以内

(3)主たる生計維持者以外の前年の所得が400万円以下

といった要件すべてを満たしている場合、所定の計算式に基づいて保険料の全部または一部が減免されます。

要件に該当する可能性のある人は、まずは市区町村役場に問い合わせてみてください。

国民年金保険料免除の特例

国民年金保険料についても、新型コロナウイルス感染症に関する免除の特例が用意されています。

対象となるのは、国民年金保険料を支払っている国民年金の第1号被保険者です。国民年金の第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランスなどの個人事業主、学生などとなります。

もともと国民年金保険料は、収入が一定以下などの要件を満たす場合に保険料支払いの免除や猶予を受けることができましたが、今回、新型コロナウイルス感染症の影響によって収入が減少してしまった人も、特例として免除や猶予の申請ができます。

申請できる人の要件は、令和2年2月以降に新型コロナウイルス感染症の影響によって収入が減少した人で、令和2年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれる人、となっています。

令和2年度の国民年金保険料は、月額16,540円ですが、収入等の状況によって、一部または全部が免除・猶予されます。対象となる期間は、令和元年度分(令和2年2月~6月)と令和2年度分(令和2年7月~令和3年6月)です。

申請方法は、申請書類を住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口に提出することで完了となります。申請書類は日本年金機構のホームページからダウンロードできますし、郵送での申請書類の提出も可能です。

詳細:日本年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について」

税金や公共料金の支払い猶予

今回の新型コロナウイルス感染症の影響を受けた人を対象に、税金や公共料金などの支払いを猶予してもらえる制度もできています。

税金では、まず国に納める税金である国税(所得税や相続税、法人税、消費税など)については、もともと一時に(=一括で)税金を納めることで事業の継続や生活が困難なとき、または、災害などで財産を損失したときなどの特定の事情がある場合には、税務署に申請することで最大1年間、納税が猶予されるという制度がありました。

それが今回、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が大幅に減少した人を対象に、納税の猶予の特例が創設されました。

令和2年2月以降の任意の期間(1ヶ月以上)について、前年同期比で20%以上収入が減少していて、国税を一時に納めることが困難な場合、所轄の税務署に申請することで、納期限から1年間、特例による納税の猶予を受けることができます。この猶予の特例が認められると、猶予期間中の延滞税は全額免除されます。

地方税(住民税や固定資産税など)についても同様に、猶予の特例が設けられています。問い合わせ先は、国税は所轄の税務署、地方税は県税事務所などとなります。

電気、ガス、電話料金等の公共料金やNHK受信料の支払いについても、新型コロナウイルス感染症の影響によって支払いが困難な事情がある場合は、その置かれた状況に配慮し、料金の支払いの猶予や料金未払いによるサービス停止の猶予等について、柔軟な対応を行うことを、国から事業者に対して要請が出されています。

詳細:経済産業省「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、電気・ガス料金の支払いが困難な皆様へ」

生活が困る状況になったとき、税金や公共料金の負担が軽くなるのは大きいでしょう。まずは、市区町村役場や税務署などに問い合わせ、自分が受けられる制度の有無を確認することが重要です。その上で、公共料金などで利用している業者にも確認してみましょう。

 

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