新型コロナウイルス感染症拡大で在宅勤務が増加し、マンションより床面積が広いこともあって、ワークスペースをつくりやすい戸建てを見直す気運が高まっています。しかも、戸建てなら、敷地内で第三者と接触する機会を抑制でき、感染を防ぎやすいというメリットもあります。そのため、住宅メーカー各社はウィズコロナ時代を見据えた新商品を相次いで市場に投入しています。
ダイワハウスは二種類の「テレワーク専用ルーム」
大和ハウス工業は、「テレワーク専用ルーム」として、独自のノウハウを採用したクローズド空間と、セミクローズド空間の二種類の提案を行っています。
外の音や情報セキュリティを気にせずに仕事に集中できるクローズド空間の「快適ワークプレイス」は防音性能が高く、電話の音漏れを気にする必要がなく、テレビ会議などでも子どもたちの騒ぐ声など気にしなくてすみます。3畳程度の空間から可能で、追加予算は71.5万円からとなっています。
もうひとつのセミクローズド空間は「つながりワークピット」で、リビングにつなげて設置します。ドアを閉めていても窓から家族の気配を感じることができ、仕事と家事・子育てを両立させるためのマルチスペースになります。仕事だけではなく、家事や趣味空間としても活用できそうです。
こちらも3畳程度からOKで、追加予算は44万円からと「快適ワークプレイス」よりお安く設置できます。
ヘーベルハウスが勧める三つのワークスペーススタイル
旭化成ホームズのヘーベルハウスは、「プライベートスタイル」「セミオープンスタイル」「オープンスタイル」の三つのワークスペースを提案しています。ダイワハウスのクローズド空間、セミクローズド空間に、もうひとつオープン空間を加えたかっこうです。
最も特徴的なのは、「オープンスタイル」でしょう。リビングとほとんど一体になったようなワークスペースのほか、写真にあるように趣味のクルマを眺めながら仕事ができるような空間もありです。もっと突き詰めてバルコニーにワークスペースを設けて、アウトドアリビングのような場所の設置も提案しています。ワークスペースとして使うだけではなく、仕事の合間の休憩スペースや、家族との時間を楽しむ空間にもなります。
仕事の発想が広がると同時に、家族のコミュニケーションも強まる、そんな場所になりそうです。
家族が安心して過ごせるセキスイハイムの「ステイスタイル」
積水化学工業のセキスイハイムは、人生100年時代に備えたレジリエンス機能、ウィズコロナ時代の「新しい生活様式」に対応した「レジリエンス100 STAY&WORKモデル」の販売に力を入れています。
最大のポイントは、セキスイハイムオリジナルの換気・全室空調システムの「快適エアリー」を標準搭載した点です。家の中にきれいな空気を取り込み、室外に空気を排出するときには熱交換を行い、家中を快適な空間にします。同時に、住宅内に有害なウイルスなどを持ち込まないように、玄関手洗い、非接触アイテムなどを採用、家族が安心して過ごせる住環境づくりに力を入れています。もちろん、在宅勤務用にマルチワークスペースを用意、テレワーク環境の充実も図っています。
価格は延床面積164.05平米の場合で、3.3平米当たり78万円台からだそうですから、少し予算は高めですが、家族の安全・安心のためなら決して高くないのかもしれません。
三井ホームの共働き世帯向けの「シュシュ クール」
2×4(ツーバイフォー)住宅の三井ホームがウィズコロナ時代に向けて打ち出した商品のひとつが「シュシュ クール」。主に共働き世帯を意識して、テレワーク対応、家事動線の工夫などによって機能的な空間をつくり出しています。同時に、ゼロエネルギーハウス(ZEH)とし、全館空調、備蓄庫などを設置、災害から家族と住まいを守るレジリエンス機能も充実しています。
三井ホームは「憧れを、かたちに。」をブランドステートメントとしており、家への誇りや愛着、その街で暮らす価値や喜びを感じられる住まいづくりに力を入れています。この「シュシュ クール」においても、2×4住宅ならではのモノトーンのスタイリッシュな外観デザインで、内装も木質感とグリーンをアクセントにしたインテリアで、ウィズコロナの時代においても、住まいの中で上質な時間を過ごせるように配慮しています。
ちなみに商品名の「シュシュ」というのは、フランス語で「お気に入り」を意味するそうです。
参考価格は39.56坪(約130.55平米)で建築費は3,109.4万(税抜き)だそうですから、3.3平米単価は78.6万円になります。
パナソニックホームズは「お家時間を楽しもう!」
パナソニックホームズは、「お家時間を楽しもう!」をコンセプトに、同社が販売するすべての商品において、「働き方・遊び方の新・生活様式」を提案しています。
ポイントにしているのが、パナソニックホームズが誇る空気がきれいな住まいだからこそできる、在宅時間の楽しみ方ということです。かつての住まいは家事をする場所、ゆっくり休む場所といった役割が中心でしたが、ウィズコロナ時代には、住まいは仕事場でもあり、子どもにとっては遊び場でもあります。子どもたちが走り回って、家の中にホコリが舞うことなく、静かに仕事ができる、そんな住まいを目指しています。
パナソニックホームズでは、空気中のPM2.5や微粒子を99.97%除去する全館換気システム「HEPA+(ヘパプラス)」、専用エアコン1台で全館空調が可能な「エアロハス」などを開発してきました。そうしたシステムを搭載することで、住まいの中で過ごす時間が一段と楽しくなるということのようです。
ライフスタイルに合わせた様々な選択が可能に
以上見てきたように、これからのウィズコロナ時代に対応した戸建ての様々な商品が開発されています。家の中で、働くことを重視するのか、楽しむこと大切にするのか、あるいは家族の交流が進む住まいがいいのか、考え方はそれぞれでしょう。
住宅展示場は、一時はほとんど自主休業していましたが、最近は、見学を受け入れるようになりつつあります。気になる住宅メーカーが出展している展示場を調べて、出かけてみてはどうでしょうか。
※マスク着用・アルコール消毒・手洗いなどを励行し、新型コロナウイルス感染防止策を徹底するようにしてください。