新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、全国の企業で在宅勤務の導入が進み、初めて「家の中で仕事をする」という経験をした人も多いでしょう。「これからも在宅勤務を続けたい」と感じた人も少なくないのではないでしょうか。快適に在宅勤務を行うには、どんなものを用意し、どんな点に気を付ければよいのでしょうか。フリーランスのライターとして在宅勤務を続けて15年ほどになる、筆者のワークスタイルとともに紹介します。
WFHとテレワークはどう違う?
WFHとは、「Work From Home(ワーク フロム ホーム)」の略語で、在宅勤務を意味します。普段から英語に触れている人は、自宅で仕事をするときに何気なく口にしている言葉かもしれません。
ちなみに、最近よく使われる「テレワーク」は「Tele(離れたところ)」と「Work(仕事)」を組み合わせた造語です。自宅を含む会社から離れた場所で働くことを指しますので、WFHはテレワークの一種ということになりますね。
WFHのメリットとデメリットは?
WFHのメリットは、通勤時間がかからないことです。片道1時間であれば往復2時間、月に20日勤務するとしたら、40時間のロスです。出勤前に着替えてメイクをして…といった時間も考慮に入れれば、さらに時間を消費していることになります。時間的損失だけでなく、満員電車に揺られる精神的ストレスを回避できることも大きいでしょう。
一方、デメリットは、1人で作業をする孤独感やコミュニケーション不足、家で仕事環境をととのえることができなければ、作業効率も懸念点となるでしょう。「プライベートと仕事の境界線が曖昧になる」ことをデメリットとして挙げる人も多いのですが、両者を明確に分けるべきかどうかは、職種によって異なるでしょう。
ちなみに筆者は「ワークアズライフ」派。つまり、プライベートと仕事が融合したライフスタイルを実践しています。日々の会話や食事、家事をしているとき、趣味の読書や映画鑑賞、趣味のパンづくりに打ち込んでいるときなど、日常生活の中で執筆のアイデアを見つけることが多いフリーライターという職業は、WFH向きといえるでしょう。
WFH(在宅勤務)を快適にする5つのマイルール
ここでは、筆者が実際にWFHを実践するなかで大切にしているポイントを紹介します。
1.夫婦それぞれに書斎を設け、集中して仕事ができる環境を構築
わが家は夫婦共働きで2人ともフリーランスのため、揃って在宅で仕事をする時間が長く、家の中の仕事環境をととのえることがとても大切でした。取材など外仕事がない日は1日24時間夫婦が同じ家で過ごします。そのため、お互いが集中して仕事に取り組めるよう、夫婦それぞれに書斎を設けています。各2畳ほどしかありませんが、フロアを分け、それぞれが独立した空間で、個々の時間を過ごせるようにしています。
夫の書斎は扉で仕切られた完全個室で、筆者の書斎はLDKと続く半オープンの空間としたのですが、住み始めてから「電話インタビューや、取材先で録ったICレコーダーを再生するときに不便」と気付きました。最近ではWeb会議をする機会もあるため、後付けでカーテンを取り付け、音声を発する仕事の間は個室として利用できるように。冷暖房効率も上がり、大正解でした。
2.プリンターはすぐに手が届くところに
職業柄、執筆した原稿を確認したいとき、取引先にFAXを送るとき、請求書を作成するときなど、さまざまなシーンでプリンターを使用します。プリンターを設置する場所がしっくりとこなくて試行錯誤しました。当初は、写真のワゴンの下段に設置していたのですが、プリントアウトのたびにかがむことがストレスだと感じ、上段に移動。プリンターデスクの下にすっきりと収納できるようにワゴンの高さを調整し、今ではストレスフリーで利用できます。
3.長時間座っても疲れない椅子を愛用
厚生労働省が発表した「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」によると、椅子の条件は「安定していて、簡単に移動できる」「座面の高さを調整できる」「傾きを調整できる背もたれがある」「肘掛けがある」です。
残念ながら、筆者が愛用している椅子は「肘掛けがある」「傾きを調整できる背もたれがある」の2つしか条件を満たしていません。キャスター付きで高さ調整が可能な椅子を使用していた時代もあるのですが、どっしりと腰を据えて仕事をしたい筆者にとって、キャスター付きの椅子は安定感に欠ける気がして落ち着きませんでした。
現在は、デンマークのデザイナーであるカイ・クリスチャンセンがデザインし、宮崎椅子が製作している「NO42」の現行品を愛用しています。座面が広く座り心地がいいですし、肘は置けるけど邪魔にならないハーフアームも気に入っています。
4.その日のタスク管理はアナログで
TODOリストは「Todoist 」などのアプリで管理を試みたこともありますが、結局アナログなポストイットに落ち着きました。終わったタスクからポイッと捨てていき、ポストイットがなくなる瞬間が快感です(笑)。ポストイットで管理をするのはあくまで当日のTODOリストで、日にちをまたいだ取材や会議の日時はgoogleカレンダーで管理しています。
5.外出予定がない日も決まった時間に起床
勤務時間が決まっていないフリーランスは、生活リズムが崩れがち。「取引先の始業時間までに成果物を納品しておこう」と考えると夜型生活になってしまうのは、「フリーランスあるある」だと思います。筆者もその傾向にあるのですが、どんなに夜更かしをしても、起床は朝7時と決めています(もちろん、早い時間に取材などがある場合は、この限りではありません)。決まった時間に起きて、しっかりと朝食をとることで、体内時計が狂わないように配慮しています。
会社勤めの人には難しいですが、眠くなったら途中で20分から1時間ほど昼寝をする日もあります。眠い目をこすりながら無理をして仕事をするよりも、思い切って寝てしまったほうが、その後の仕事がはかどるケースが多いように思います。そんな働き方ができるのも、在宅勤務の魅力です。
WFH(在宅勤務)を充実させる!? アイテム5選
最後に、筆者のWFHに欠かせないアイテムを紹介します。万人に便利なアイテムばかりではありませんが、何かの参考になれば幸いです。
1.マグネットボード
書斎正面の壁にマグネットボードを貼っています。ここに、取引先各社のトーン&マナー一覧(表現のルールを一覧表にまとめたもの)などを貼り、原稿を書く際にチェックしています(機密情報のため、上記の写真では無地の紙に入れ替えて撮影しています)。
ちなみに、夫の書斎にも同様のマグネットボードがあり、カレンダーなどを貼って仕事中に活用しています。
取材時に交換した名刺は、該当記事の執筆が完了するまでマグネットボードに貼っておき、執筆の参考にしています(こちらも個人情報のため、上記の写真では代替品を貼りました)。
2.針なしステープラー
芯がいらないホチキスを愛用しています。一度に5枚程度しか綴じることができませんが、金属針がいらずエコですし、不要になった際に針を外す手間もありません。金属針と比べて綴じた部分の厚みが出ないところも気に入っています。
3.引き出し式の書類収納
写真右側の引き出しは、A4サイズの書類収納です。取引先ごとに、取材で貰った書類や資料などを保管し、一定期間が経ったら処分しています。このほかにも、資料を分類して保管するためにA4サイズのファイルボックスをいくつも使い分けています。
4.キーボード掃除用ブラシ
いつでもどこでも仕事ができるように、ノートパソコンを愛用していますが、キーボードの隙間には気が付くとホコリがたまってしまいがち。汚れが目についたら、ブラシでささっとを落としています。
5.調光機能のある照明
家の中の照明はすべて電球のような暖色系で統一しているのですが、デスクワークにはオフィスの蛍光灯のような寒色系のほうが、都合がよい場合もあります。どちらにも対応できるように、暖色から寒色に調色できる機能のある照明を採用しています。
まとめ
筆者の個人的なWFHスタイルを紹介しましたが、家で快適に仕事をするために必要な環境やアイテムは、職種やライフスタイルによって千差万別です。みなさんも、自宅の環境を考慮しながら、ベストな働き方やそのための環境を研究してみてはいかがでしょうか。
(最終更新日:2021.03.29)