5月末現在、緊急事態宣言が解除され、徐々に街に人が戻りつつありますが、新型コロナウイルスについては、感染拡大の第二波も警戒されています。万一、感染してしまった場合にわが家の保険がどれくらい役に立つのか、余裕のあるうちに確認しておきましょう。
新型コロナウイルスに感染した場合に支払われる保険金・給付金は?
まずは、新型コロナウイルスに感染した場合、どんな種類の保険金・給付金が受け取れるのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症は「疾病」なので、その治療を目的とされた入院は、(疾病)入院給付金の支払い対象となります。また、通常の入院給付金は病院等に入院した場合に支給対象となりますが、新型コロナウイルス感染が確認された方のうち、宿泊施設や自宅等で療養している方も同様に給付金等の支払い対象としている保険会社もあります。
万一、新型コロナウイルス感染症で死亡した場合には、死亡保険金の支払い対象となります。保険会社によっては、「災害割増特約」「(新)傷害特約」等(以下、「災害割増特約等」)の支払いの対象として取り扱われる場合があり、その場合は疾病死亡の場合に支払われる死亡保険金に災害死亡保険金が上乗せされます。
なお、新型コロナウイルスに感染した場合に生命保険等でどのように扱われるかは、3月6日付のコラム「新型コロナウイルス感染症の生命保険等での取り扱いは?」でも解説されています。
確認しておこう。家族の保険
新型コロナウイルスに感染した場合の対応は保険会社によって異なります。保険会社の対応が状況によって変わっている場合もあるので、時々保険会社のHPなどで確認しておきましょう。
とはいえ、加入中の保険内容が把握できていなければ、保険給付の内容の確認もできませんね。ご自分やご家族の加入中の保険の給付内容を保険証券や保険会社から送られてくる「保険内容のお知らせ」などで確認しておきましょう。
たとえば、表1のような契約内容の保険加入中に新型コロナウイルスに感染した場合は、「疾病入院特約」の対象となり、日額5,000円の給付が受けられます。保険会社によっては、医師の診断により宿泊施設や自宅で療養した場合も給付対象となります。
新型コロナウイルスに感染して死亡した場合は、死亡保険金を遺族(死亡保険金受取人)が受け取ることになります。表1の保険の場合、疾病を原因として死亡した場合に受け取れるのは、終身保険の50万円、定期保険の950万円と10年間年金形式で受け取る収入保障特約年金1,500万円(150万円×10年分)です。
さらに、新型コロナウイルス感染症で亡くなった場合は災害死亡保険金が受取れる保険契約の場合は、傷害保険特約・災害割増特約から各500万円の災害死亡保険金も受け取ることができます。
加入中の保険からどんなときに、どんな保険金・給付金が受け取れるのか、確認しておきましょう。
保険料支払いや保険金・給付金の受け取りも特別対応
新型コロナウイルス感染症に関する対応は、保険給付だけではありません。生命保険会社各社は、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた契約者に対して、保険料の支払いや保険金・給付金の支払いについて特別扱いで対応しています。
保険料支払いについて
保険契約者からの申し出により、保険会社が定める日から最長6ヶ月間の保険料払込猶予期間の延長措置を実施しています。
保険金・給付金などの支払いについて
保険契約者または保険金・給付金受取人からの申し出により、保険金・給付金や解約返戻金・契約者貸付の請求に必要な書類の一部省略など、支払い手続きを簡易化して迅速に対応する措置が取られています。
本人や家族が感染すると外出も制限されて、必要書類の準備や手続きが難しい場合もあると考えられるので、早めに加入中の保険会社に相談したいですね。ただし、新型コロナ感染対策として、保険会社が社員の出勤を制限したり営業時間を短縮したりしていて、確認したり手続きしたりしにくい場合もあります。各保険会社では、契約者向けホームページで様々な手続きができるようにしているので、契約中の保険会社のホームページではどんな手続きができるのかも、確認しておくとよいでしょう。
「契約者貸付」の利息負担減免
保険契約者は、契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で貸し付けを受けることができます(契約者貸付)が、通常は一定の利息がかかります。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、期間限定で、契約者貸付の利息が減免されている保険会社が多くあります。借り入れが必要になった場合には、契約中の保険会社に早めにいくら借りられるのか、利息減免の対象になるのかなどを確認しておくとよいでしょう。なお、保険種類によっては契約者貸付が利用できない場合もあります。
このように、各保険会社では、新型コロナウイルス感染に対する対応策が次々に取られています。新型コロナウイルス感染問題の終息まで気を抜かず、保険の契約内容を確かめ、各保険会社の対応状況も随時確認して、万一に備えておきたいですね。