請求モレの可能性も⁉ 年末年始は保険の「中身」を再確認しておこう

病気やケガ、事故、火事などに備えて保険に加入されているご家庭は多いのですが、保障(補償)内容を忘れていて、「万一」の際に活用できない場合もあるようです。いざというときに請求もれのないように、契約している生命保険・損害保険・共済等の内容を確認しておきましょう。

加入中の保険の「中身」、把握していますか

生命保険、医療保険、がん保険、学費保険、火災保険、自動車保険などなど、ほとんどのご家庭では「万一」に備えて、何らかの保険や共済等に加入されているのではないでしょうか。

しかし、契約した頃はわかっていても、加入期間が長くなってくると、どんな場合にどんな保障があるのか、記憶が曖昧になってくる人も多いのではないでしょうか。そんなときに「万一」のことが起きると、保険金や給付金が受け取れる可能性に気がつかずに保険金・給付金を請求せず、せっかくの保険を生かせないことになってしまいます。

秋口には、年末調整や確定申告の書類に添付する「保険料控除に関する証明書」が保険会社から送られてきますね。それを見て「この保険、どんなときに保険金がもらえるんだっけ?」と思うくらいに「中身」を忘れていたら、保険の内容について再確認してみてはいかがでしょうか。

契約している保険の対象や内容は、覚えているよりも、広い範囲をカバーするものかもしれません。誤解しやすいと思われる保険の内容や請求もれが生じやすい場合について、みてみましょう。

火災保険がカバーするのは、「火災」だけではない

「火災保険」は、その名のとおり、火災による被害を補償するのはもちろんですが、契約内容によっては、水災や風災、雹災、落雷、盗難、車の飛び込み、水濡れ、家の中の破損や汚損なども補償する場合があります。「火災保険」というより、「住まいの保険」と考えたほうが、補償内容をイメージしやすいかもしれません。

何らかの原因で家がひどく壊れたり、汚れたりした場合には、加入中の火災保険の補償対象にならないか、確認してみましょう。

またお宅の火災保険は、「建物」だけの補償でしょうか。「家財」も補償対象にしているでしょうか。

火災が起きれば、建物内の家具家電備品等も損害を受けるでしょうが、「家財」の契約をしていないと損害はカバーできません。補償対象も確認しておきましょう。

自転車事故の補償も、自動車保険で

任意の自動車保険も、自動車事故の加害者となった場合の損害賠償、被害者となった場合の死亡やケガの補償、車体の補償だけでなく、レンタカー費用や弁護士費用まで補償されたり、ロードサービスが利用できたりと、充実した補償・サービスになっているほど、内容を知らずに(忘れていて)請求できない・利用できない場合があり得ます。

また、自転車保険への加入を義務づける自治体が増えていますが、個人賠償責任保険特約が自動車保険に付加されていれば、自転車事故の加害者となった場合の損害賠償も補償されます。

個人賠償責任保険の補償対象は、本人だけでなく生計同一の家族も被保険者となるので、子どもが自転車事故を起こした場合も、親の車の保険でカバーすることができます。

保険によって異なる「通院」の位置づけ

生命保険の特約や、医療保険、がん保険、傷害保険、共済等には「通院保障(補償)」がある場合がありますが、保険によって「通院」の位置づけが異なるので注意しましょう。

まず、一般的に、生命保険の特約や医療保険の「通院」は、入院して入院給付金を受け取った後の「通院」を意味します。したがって、入院を伴わず、通院のみだった場合には、保険給付は受けられません。

しかし、傷害保険や共済等のケガによる通院やがん保険の特定の治療のための通院等は、入院を伴わなくても通院すれば給付金が支給されるものもあります。

入院だけでなく、通院した場合も、一度、お手元の保険証券を見て、給付対象とならないか、条件を確かめましょう

1つの病気で、複数の保険金・給付金が受け取れる場合もある

生命保険文化センターの「保険金・給付金の請求から受取りまでの手引」によると、請求もれが生じやすい事例として、「1つの契約に複数の特約が付加されている場合」「複数の生命保険会社と契約している場合」が挙げられています。

たとえば、がん治療で入院した場合、終身保険に「三大疾病保障特約」「疾病入院特約」が付加されていたら、三大疾病保障と疾病入院両方の保険金・給付金を受け取れる可能性があります。また、さらに別途、医療保険やがん保険に加入していたら、それぞれ、給付金が受け取れる可能性があるのです。

また、同手引によると、入院・手術で請求もれが生じやすい事例として「入院中に死亡した場合」があります。「緊急入院により手術を受けたが死亡」して死亡保険金は請求したものの、入院給付金や手術給付金の請求を忘れてしまうような場合です。

「もしかしたら?」と思ったら、保険会社に確認を

保険内容を覚えていなかったり、1つの保険で複数の給付金を請求できると気づかなかったり、保険金・給付金をもれなく請求するのはなかなか難しいですね。

日頃から、保険内容をできるだけ把握しておくことは大切ですが、万一の際には、「保険金・給付金が受け取れる可能性がある保険会社にとにかく聞いてみる」ことを心がけておけば万全でしょう。

保険会社の問い合わせ窓口に、保険証券を手元に準備して、証券番号を伝えれば、どんなときにどんな保障が得られるのか説明してもらえますし、保険金や給付金が請求できる場合は、必要書類や手続き方法なども確認できるでしょう。

「万一」の場合は慌ただしい場合も多いでしょうから、保険証券をじっくり自分で確認するより、聞いてしまうほうが話が早いかもしれません。

決して安くはない保険料を負担しているのですから、万一の際には、契約している損害保険や生命保険、共済に、大いに活躍してもらえるように備えておきましょう。

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