2019年10月1日の消費税率引き上げに伴うマイホームの需要減対策として、国は、消費増税後の住宅取得を支援する4つの施策を実施。それぞれの制度を併用することも可能なため、住宅取得に伴う負担を大幅に軽減できるようになりました。しかしながら、制度の中には適用対象となる引き渡し・入居期限などを2020年3月末に設定しているものもあり、新型コロナウイルス感染拡大に伴う住宅設備の納期の遅れなどの影響で、制度の活用を諦めたという方も多いようです。これを受け、新たな救済策が設けられました。
消費増税に伴う住宅取得の支援施策として展開されているのは、税金の控除が受けられる「住宅ローン減税」、給付金が付与される「すまい給付金」の拡充、そして、様々な商品と交換できるポイントが給付される「次世代住宅ポイント制度」の創設、住宅取得における贈与税の非課税措置の4つの制度です。新型コロナウイルス感染拡大を受け、このうち、「住宅ローン減税」の適用要件が弾力化され、「次世代住宅ポイント制度」の着工(着手)期限が延長されています。
住宅ローン減税の適用要件について
住宅ローン減税とは、返済期間が10年以上の住宅ローンを利用して、住宅の新築・取得、リフォームなどをした場合、10年間、各年末のローン残高の1%を所得税や個人住民税から控除する制度です。この制度が消費増税に伴い拡充され、消費税率10%が適用される住宅の取得やリフォームなどをして、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合、控除期間がさらに3年間延長されることになっていました。
この入居期限が、次の要件を満たした場合に限り、2021年12月31日までに延長されることとなりました。
(1)一定の期日までに契約が行われていること
・注文住宅を新築する場合:2020年9月末
・分譲住宅、既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:2020年11月末
(2)新型コロナウイルス感染症の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅または増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと
また、既存住宅を取得した際の住宅ローン減税の入居期限(取得の日から6ヶ月以内)についても、取得後に行った増改築工事等が新型コロナウイルス感染症の影響により遅延し入居が遅れた場合は、次の要件を満たしていれば入居期限が「増改築等完了の日から6ヶ月以内」となります。
(1)以下のいずれかの期日までに増改築等の契約が行われていること
・既存住宅取得の日から5ヶ月後まで
・関連税制法案の施行の日から2ヶ月後まで(施行の日より前に契約が行われている場合も可)
(2)取得した既存住宅に行った増改築等について、新型コロナウイルス感染症の影響によって、増改築等後の住宅への入居が遅れたこと
いずれの場合も、10年目までは従来どおり、年末ローン残高の1%が控除され、11年目以降13年目までの間は、ローン残高の1%または、「建物購入価格×2%÷3年」のいずれか、額の小さい方が各年控除され、合計で13年間、住宅ローン控除が受けられることになっています。
次世代住宅ポイント制度は着工(着手)期限を延長。3月末までに契約できなかった人への救済策も!
次世代住宅ポイント制度は、消費税増税後の住宅購入を支援する制度として設けられたものです。消費税率10%が適用される新築やリフォームのうち、省エネ性、耐震性、バリアフリー性能など、一定の性能や、ビルトイン食器洗機などの家事負担軽減に役立つ設備を設置する場合、様々な商品と交換できるポイントが、新築は最大35万円、リフォームは最大30万円相当が付与されます。対象となる請負契約・着工期限は、原則として2020年3月31日までとされていましたが、国内外の新型コロナウイルス感染拡大に起因する資材供給の遅延により着工・着手が困難と認められる場合は、2020年6月30日まで期限が延長されます。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年3月31日までに契約できなかった方が以下の期間に契約、着工(着手)を行った場合にも、同様のポイントが発行されます。
この場合のポイント発行申請期間と交換申込期限は次の通りです。
・ポイント発行申請期間 2020年6月1日~8月31日
・ポイント交換申込期限 2020年6月1日~11月30日
●問い合わせ先
次世代住宅ポイント事務局 コールセンター 0570-001-339(受付は9:00~17:00)
すまい給付金、贈与税非課税枠は従来通り
すまい給付金、贈与税非課税枠については、2020年5月11日現在、特に変更点はありません。
すまい給付金について
「すまい給付金」は、自分が住む住宅を取得した場合に係る消費税の負担増加を抑えるため、給付金が支払われる制度です。住宅ローンを利用せずに購入する方や、所得税の額が少ない場合など、住宅ローン減税のメリットが少ない方の支援を目的としています。
給付金の額は、従来は、住宅を取得する人の収入や持分に応じて、最大30万円まででしたが、消費税増税後は、最大50万円までに拡充されています。対象となる収入額(年収)も、従来の最大510万円以下から、最大775万円以下にまで引き上げられています。
拡充した給付金の対象者
・消費税率10%が適用される新築・中古住宅の購入者
・年収額が最大775万円以下
・2021年12月31日までに引き渡し・入居した住宅
申請期限
・引き渡しから1年3カ月以内
問い合わせ先
すまい給付金コールセンター 0570-064-186(受付は9:00~17:00)
贈与税非課税枠について
父母や祖父母などの直系尊属から年間110万円を超える贈与を受ける場合、額に応じて贈与税がかかるのが一般的です。しかし、住宅の新築・取得、リフォームなどを目的とした贈与の場合は、2021年12月31日までに契約した住宅の資金であれば「贈与税非課税措置」を利用することができます。非課税枠は、2020年4月1日~2021年3月31日に契約した場合は最大1,500万円、2021年4月1日~12月31日に契約した場合は最大1,200万円となっています。
なお、贈与税非課税措置が適用されるには、
(1)受贈者は20歳以上であること
(2) 受贈者自らが居住する住宅を新築・取得、リフォームする場合であること
(3)贈与年の合計所得金額が2,000万円以下であること
(4)贈与年の翌年3月15日までに住宅の新築・取得、またはリフォーム増を完了して入居すること
(5)床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること
以上のような一定の用件を満たす必要があります。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響で、マイホーム計画を中断している方にとって、消費増税に伴う住宅取得支援制度の適用要件の変更は朗報といえるでしょう。ただし、今回紹介したものは、2020年4月16日現在の情報です。新型コロナウイルス感染拡大の状況により、国は、消費増税に伴う住宅取得支援制度の適用要件を柔軟に変更しています。マイホーム計画を進めている方は、関係省庁や関係機関のホームページをこまめにチェックするのがおすすめです。
【参考サイト】
●住宅ローン減税 ※国土交通省ホームページ
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
http://www.mlit.go.jp/common/001339436.pdf
http://www.mlit.go.jp/common/001339437.pdf
●次世代住宅ポイント
https://www.jisedai-points.jp/user/postponement/
https://www.jisedai-points.jp/user/disaster-postponement-filed/
https://www.jisedai-points.jp/information02/
●すまい給付金
http://sumai-kyufu.jp/
●贈与税の非課税措置 ※国土交通省ホームページ
http://www.mlit.go.jp/common/001320202.pdf
(最終更新日:2020.05.12)