アルヒ株式会社では、アジア最大級の国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル&アジア (SSFF & ASIA)とコラボレーションし実施した短編小説公募プロジェクト「ARUHIアワード」の受賞作品を決定しました。大賞作品はショートフィルム化され、2020年9月をめどに公開します。
「ARUHI アワード」では、①大切な「ある日」 ②新しい生活 ③マイホームという3つのテーマの中から1つを選び、創作された7,000文字以内の短編小説を募集(募集期間:2019年9月1日~12月31 日)。応募総数は564作品にのぼり、10代から80代までさまざまな年代の方から、個性豊かで大変読み応えのある作品が集まりました。
受賞作品
受賞の4作品とアルヒ株式会社の講評は下記の通りです。
【大賞】
『おたんじょうびおめでとう』万野恭一(③マイホーム)
新築のマイホームで暮らす四人家族の幸せな姿が温かく丁寧な文章で描かれた作品でした。父親の視点で語られる物語は、ある朝、幼い次女が家族の絵を描いている場面からはじまります。添えられているのは「おたんじょうびおめでとう いつもありがとう」というメッセージ。みなが、自分のために描かれたものだと主張し合う小競り合いは微笑ましく、読者を明るい気持ちにしてくれます。果たして彼女が誰をお祝いしたかったのか…は、本文を読んでからのお楽しみ。家族で暮らすマイホームが、単なる建物ではなく、家族を優しく包み込んでくれる存在であり、生活そのものであることを改めて教えてくれた「おたんじょうびおめでとう」が、ARUHIアワード大賞にもっともふさわしい作品でした。
【ARUHI賞】
『LoveDays』松田ゆず季(①大切な「ある日」)
著者が14歳最後の日に母に宛てて書いた「愛の備忘録」。誕生日プレゼントにまつわる筆箱のエピソードや「オーストラリア事件」の長い一日など、鋭い観察眼がとても魅力的でした。そしてなにより、母への思いを言葉を尽くして書き綴った力作はとても瑞々しく優しく温かく、どうかご本人にこのお手紙が届いてほしいと願わざるをえませんでした。その日がきっと母子にとって『大切な「ある日」』になりますように。
『黄色い旗』吉岡幸一(②新しい生活)
亡くなった祖母の家で暮らすことになった大学生の主人公。見知らぬ来訪者が現れたことから物語が動き出していきます。生前、必ずしも祖母と深い関係を築いていたわけではなかった彼は、祖母の知人たちによって、彼女の知られざる一面に気づかされていきます。そして、彼は自分自身の「人生で足りなかった何か」の手がかりを見つけるのです。祖母が与えてくれた主人公の「新しい生活」は、明るく、生きる活力に満ちたものになるに違いありません。
『最後のお引っ越し』室市雅則(③マイホーム)
「庭付き一戸建て」に引っ越してからのおよそ30年の出来事を主人公が回想していきます。家族の時間や思いが堆積している「マイホーム」。目に見えるものもあれば、目に見えないものもありますが、家中ところどころに刻まれた生活の痕跡は、まさにそこで暮らす人々の人生を象徴するものです。短い文章のなかで丁寧にそれらをすくい上げた作品は、読む人が、それぞれのマイホーム、そして人生に思いを巡らせるきっかけになることでしょう。
※受賞作品を含む毎月の優秀作品はこちら
https://magazine.sbiaruhi.co.jp/aruhi_award/
※「ARUHIアワード」について
https://bookshorts.jp/aruhi_award/