福利厚生制度は企業によってさまざま。最近では、他社にはないユニークな制度、手厚い制度を導入する企業が注目を集めています。
本記事では、お金ややりがいだけではない、プラスアルファの価値となるユニークな福利厚生制度をご紹介します。
5人産めば915万円も! 子育て支援制度で大盤振る舞い
少子高齢化が、日本の大きな課題となっています。総務省統計局の発表によると2019年4月1日現在の15歳未満の人口は、1,533万人で、1982年以降38年連続で減少し続けています。
この状況に歯止めをかけるべく、従業員が出産した場合の祝い金制度や育児支援に力を入れている企業は少なくありません。
各企業の驚きの制度を見ていきましょう。
第五子出産で500万円、多子家族に手厚い祝い金を支給するソフトバンク
まずはソフトバンクから。1年以上勤務している従業員を対象とした同社の出産祝い金制度は、以下の通り、子どもの人数によって大幅に増額します。
・第一子:5万円
・第二子:10万円
・第三子:100万円
・第四子:300万円
・第五子以降:500万円
第一子、第二子の祝い金は特筆すべきものではありませんが、第三子以降はかなりの高額となっています。勤務期間中に5人のお子さんを出産した場合は915万円、6人の場合は1,415万円もの出産祝い金が提供されるというから驚きです。
ただし対象となるのは、1年以上勤務している従業員のみ。勤続年数が1年未満の場合は、一律で2万円です。
バンダイナムコビジネスアークは3人目が300万円
続いては、ゲームで有名なバンダイナムコのグループ会社であるバンダイナムコビジネスアーク。出産祝い金は以下の通りとなっています。
・第一子、第二子:それぞれ20万円
・第三子以降:200万円
同社では、第一子、第二子の出産祝い金もなかなか手厚い内容ですが、勤務期間中に三人のお子さんを産むと、祝い金の総額は240万円。ソフトバンクを大きく上回ります。
パパの立ち会い出産を後押しするチャットワークの「出産立ち会い制度」
「出産に立ち会うつもりでいたけれど、いざというときに仕事で間に合わなかった」という父親も多いのではないでしょうか。
そんな不幸な出来事をなくそうという思いで誕生したのが、チャットワークが導入している「出産立ち会い制度」です。
出産立ち会い制度とは、妻が出産する際、出産予定日の前後で夫の在宅勤務が認められるというもの。夫が確実に出産に立ち会えるメリットがあるだけでなく、夫が在宅することで出産の際に起こりがちなさまざまなトラブルにも迅速に対応できます。
パパ・ママを全面的にサポートするメルカリの「merci box」
フリマアプリ最大手のメルカリの人事制度「merci box」では、生まれる前から始まるパパ・ママをサポートする制度が導入されています。
まずは、妊活のための治療費の支給から。高額な費用がかかることが多い不妊治療を行う際、保険適用の治療であれば、本人負担額はゼロ。保険適用外の治療であっても、治療費は3割負担のみとなっています(ただし治療開始から10年間に限る)。
産前休暇、産休、育休中の支援も充実しています。多くの企業では育休期間中は無給となり、育児休業給付金が支給されるのが一般的です。ところが、メルカリでは、女性であれば産前10週と産後およそ6ヶ月間の給与を100%保障。男性の場合でも、産後8週の育児休暇中の給与が100%保障される仕組みになっています。
また、子どもが認可保育園に入園できなかった場合、認可保育園との保育料との差額を、10万円を限度に支給する「認可外保育園補助」制度もあります。メルカリの「merci box」は、子育て支援制度としては群を抜いて優秀といえそうです。
社員の胃袋をつかむ? 食にこだわる企業たち
従業員の食生活を向上させるべく魅力的な社員食堂を提供している企業も少なくありません。
毎日の「何を食べようかなストレス」や「空いているお店がないストレス」から解放してくれる社員食堂は、従業員の心と胃袋をつかんで離しません。
3食無料! 楽天本社の超充実社員食堂
楽天本社の社員食堂は、約8,000人が利用可能。営業時間は朝から夜まで、朝食、昼食、夕食のすべてを社員食堂でまかなうことができます。一部有料メニューがあるものの、基本は無料メニューです。
一人暮らしの独身従業員であれば、それだけで月額数万円の食費を節約することができます。毎日十数種類のメニューから選べるため、飽きることもないのだとか。
楽天の社屋内には、あると便利な施設が充実。費用はかかるものの、コンビニエンスストアやフィットネスジム、ヘアサロン、ネイルサロンのほか、ランドリーサービスやマッサージ施設にクリニック、薬局、社内託児所まで揃っています。
食材は全部無料! 「社員共用キッチン」を設けるクックパッド
レシピの投稿&検索サービスを提供しているクックパッドは、社員食堂ではなく「社員共用キッチン」を設けています。
クックパッドの社員共用キッチンは約20人が同時に調理できる広さで、料理好きの社員たちが毎日のように食事を作っているのだとか。
社員の健康を食でサポート「ファンケル学べる健康レストラン」
サプリメントや化粧品などを手がけるファンケルの社員食堂は、健康にこだわった社員食堂を運営しています。ファンケルの社員食堂の特徴は健康へのこだわりです。
以下の8つの条件を満たした健康メニューが提供されています。
・適正カロリー
・脂質コントロール
・塩分2g以下
・食物繊維6g以上
・野菜量120g以上
・抗酸力の高い青汁を使用
・肥満になりにくい発芽米を使用
・栄養バランス
ファンケルでは、食器に陶器を採用するなど、味や健康だけでなく質感や満足度にもこだわっているとのこと。
こだわりのメニューを提供するだけでなく、スマートフォンでの食生活診断の実施や料理教室の開催などの取り組みによって健康づくりの学びの場ともなっています。
社員の向上心を後押し! 資格取得やスキルアップを応援してくれる企業
従業員のスキルアップに重点を置いた福利厚生制度を導入している企業もあります。実際にはどのような制度があるのでしょうか。
サイボウズの育自分休暇制度
グループウェアシステムを開発しているサイボウズでは、「育自分休暇制度」というユニークな制度を導入しています。育自分休暇制度とは、一度退職した状態にして、その期間中に留学したり、スキルアップのための勉強に励んだり、ボランティアをしたり、さらにはほかの会社で働いたりと、好きなことを自由にできる制度です。
退職した状態ではあるものの、育自分休暇制度をスタートしてから最長で6年間はサイボウズに復職できるのが大きなポイント。もちろん、育自分休暇を取得中に、復職する意思がなくなった場合はそのまま辞職も可能です。
社会人になってからは、なかなか時間を確保できずスキルアップに専念しにくいものですが、復職の権利を残した状態であれば、勉強などに専念することができそうです。
この制度をはじめとしたワークスタイル変革を開始してから、28%だった離職率が4%前後にまで低下したのだそう。
freeeの書籍費フリー制度
クラウド会計ソフト大手のfreeeでは、書籍費フリーという制度を導入しています。業務に必要な書籍であれば自由に購入可能。また、フロアに図書館スペースがあり、いつでも借りることができます。
お弁当やドリンクがフリーという嬉しい制度のほか、社内の部活制度も充実。自転車部やボードゲーム部など30以上の部が活動中で、ちゃんと会社から活動費も支給されています。
また、仕事で使用するパソコンは自分が好きな機種を選択することも可能。スキルアップだけでなく、食生活やオフの時間まで、総合的な働きやすさが追求されている会社だといえそうです。
さすが大企業! ソニーの社費留学制度
大手家電メーカー、ソニーには、従業員の留学費用を会社が負担する制度があります。候補者は年に1度公募され、候補者が自ら行き先やテーマ、留学後のプランを決めるというもの。
たとえば、海外大学の研究室で最先端技術や知識などを身に付けて大きくスキルアップすることができます。これまでに留学した社員は400人以上に上るとのこと。
また、配偶者の海外赴任や留学に同行する場合は5年、自身が私費留学する場合は2年間休職できる、フレキシブルキャリア休職制度も用意されています。
※本記事は2020年3月時点での各社の取り組みをもとに編集しています。制度内容は変更となる可能性もあるため、詳細は各社のコーポレートページをご確認ください。
<参考>
「仕事と育児・介護の両立支援」(ソフトバンク)
https://www.softbank.jp/corp/hr/personnel/family/
「人事制度・福利厚生」(バンダイナムコビジネスアーク)
https://www.bandainamco-ba.co.jp/recruit/welfare.html
「人事制度「merci box(メルシーボックス)」に介護休業支援を追加〜本格的な高齢社会の到来に向けた介護離職の不安を軽減〜」(メルカリ)
https://about.mercari.com/press/news/article/20170809_mercibox4/
「ファンケルレポート2019」(ファンケル)
https://www.fancl.jp/csr/dbook/freport2019/html5.html#page=27
「ワークスタイル」(サイボウズ)
https://cybozu.co.jp/company/work-style/
「職場環境と制度」(freee)
https://jobs.freee.co.jp/benefits/
「人事制度」(ソニー)
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/Jobs/main/info/