新型コロナウイルスの感染拡大による先行き不透明感が増しています。株価も下落し、景気への影響も懸念され始めました。東京五輪の開催にも黄色信号が灯るような気配。これからの国内金利の水準はどうなるのか。住宅取得を検討している人や住宅ローンを返済している人にとっては、今後の金利動向が気になるところでしょう。今回は、現状から予想できる2020年の金利見通しについて考えてみましょう。
金利が下がるのはどんなとき?
先行きの金利動向を正確に予測するのは困難ですが、まずはシンプルに金利の変動についての傾向を理解しておきましょう。
世の中の金利は、景気動向や株価動向とリンクして動く傾向があります。景気が良ければ、株価も上昇し、金利も上昇します。景気が悪ければ、株価も下落し、金利も下落します。基本的な動きとしては、このことを理解しておきましょう。
もちろん厳密には、株価は先見性があると言われます。つまり、景気が良くなってきてから株価が上がるのではなく、景気がよくなりそうな雰囲気になった時点で株価は上がっていきます。同様に、景気が悪くなってきてから株価が下がるのではなく、景気が悪くなりそうな雰囲気になった時点で株価は下がっていくのが通常です。
半年から1年程度、景気よりも先行して動いていると言われます。なぜなら、株式市場に参加する投資家は、常に先を読みながら、人より先に売買をすることで、より大きな収益を得ようとしているからです。
長期金利の指標である10年満期の国債の利回りも、債券市場における投資家動向によって決まりますので、ある程度は先見性があると言えるでしょう。とはいえ、金利をうかがっているとも言える債券市場は、日本銀行の金融政策の影響を強く受けますので、日本銀行が先行きの金利動向をどのような方向性にしようと考えているのかを知っておく必要があります。
日銀の金融政策はどうなる?
日本銀行は、毎月1回程度の頻度で、政策委員会・金融政策決定会合を開いていて、日銀総裁、副総裁、審議委員の人たち合計9人の多数決で今後の金融政策の方針を決めています。
2020年1月21日に公表された決定事項としては、日銀の当座預金の一定額を超えた部分に適用するマイナス0.1%の金利を継続すること、長期金利(10年利付国債利回り)もゼロ%程度で推移するように、長期国債の買い入れを継続すること、ETFやJ-REITについてもこれまでどおり買い入れを継続することなどでした。
日本銀行は、7年前に決めたインフレターゲット(物価安定の目標)前年比+2.0%が安定的に継続できるような状態になるまで、「長期金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するようです。つまり、今後も日銀はジャブジャブと市場に資金を流し、超低金利状態を維持するということです。
簡単な理解としては、物価上昇率が前年比+2.0%を超えてくるまでは、日銀の金融政策の方針が大きく変わることはないということです。だとすると、国内の金利水準は、当面、下がることはあっても上がることはないと考えられそうです。