両手を上にあげて大きく伸びをする。
そうだ、そこの根本は何も変わってはいないんだ。上京した時のままだ。
何かに悲観的になったり何かを懐かしんでも現実はなにも変わりはしない。
やらなきゃいけない事はいつだって変わらないんだ。
「風呂入ろ。」
部屋に戻り、スマホを見ると佐久間君からメールが届いていた。内容は再現ドラマの当日の詳細。
返信を打つ。
「・・・。」
ついでに舞台の件もメールする。
『あと、舞台の件だけど、やります。事務所的にはあんまりメリットないかもしれないけど内容が面白いのでやりたいと思います。ごめんね。』
送信ボタンを押す。
この選択が正解なのか不正解なのかよく分からない。けれどたかだか一舞台で大きな変化なんかない。
でも、大切なのは自分の心だ。
見失わないように。
初心を忘れないように。
自分のしている事が不正解にならないように。
大丈夫、きっと晴れる。
「地道に、地道に。」
後でもう一度舞台の台本を読み直そう。もちろん再現ドラマも。
スマホをテーブルに置いてお風呂場に向かった。
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