リフォームを行う時期に明確な決まりはありませんが、リフォームの目的や対象箇所により目安となるタイミングが存在します。リフォームのタイミングを誤ると、余分な時間や費用がかかってしまうことも。
そこで、キッチンやリビング、屋根などのリフォーム時期の目安や、効率的にリフォームをするためのポイントを紹介いたします。
リフォームする理由
リフォームは、大きく以下の4つに分類されます。
住宅設備の劣化や破損
リフォームを行う理由としてまず挙げられるのは、住宅設備の劣化や破損です。外壁や屋根の破損、水まわりの故障など、生活に直結する問題は早めの対処が必要となります。
特に、雨漏りや水漏れなどによる建物の破損やシロアリなどによる家屋被害の場合は、速やかにリフォームすべきでしょう。対処せずに放置してしまうと、修復が困難になり工事費用が高くなる可能性があります。
建物の老朽化や経年劣化
建物の老朽化や経年劣化も、リフォームの理由のひとつです。これらを避けることはできませんが、建物に使われている部材をこまめにメンテナンスすることで、家を長持ちさせられます。
ライフスタイルの変化
「子どものために子ども部屋を作る」「年をとったらバリアフリーにする」などライフスタイルの変化に合わせてリフォームする場合もあります。
グレードアップのため
「部屋が寒いので暖かくしたい」「キッチンやお風呂が使いづらいため使い勝手の良いものに替えたい」「整理しやすくするために収納を増やしたい」などといったことも、リフォームを検討するきっかけとなります。
対象箇所ごとのリフォーム時期の目安
では、対象箇所ごとの最適なリフォーム時期とは一体いつなのでしょうか。
キッチン
・キッチン本体のリフォーム時期の目安:10~20年
10年経っていない場合でも、不具合が目立つようでしたらリフォームを検討しましょう。排水口が詰まりやすくなったり、レンジフードが異音を出すようになったりした場合、そのまま使い続けると被害が大きくなることも。
無駄な出費を避けるためにも、異常に気づいたらすぐに対処するのが肝心です。
・ガステーブル/IHクッキングヒーターのリフォーム時期の目安:10~15年
ガステーブル、IHクッキングヒーターとも、大きな不具合等が発生していなくても、耐用年数が経過したタイミングでの交換が理想的です。目には見えなくても劣化が進んでいること、交換部品が製造後10年で生産停止となるケースが多いことが理由に挙げられます。
また、ライフスタイルの変化でキッチンの使い方が変わってくることもあります。「収納を増やしたい」「キッチンをアイランド型に替えたい」などと思った場合は、早めにリフォームを検討することをおすすめします。
【メンテナンスを検討する目安】
・排水口の詰まり
・レンジフードの不具合
・ガステーブルの点火不良
・使い勝手を良くしたいとき
浴室
・浴室のリフォーム時期の目安:10~15年
浴室を長く使うとカビや汚れ、壁のひび割れなどが目立つようになります。排水口が詰まり、水が流れにくくなることも。ガス給湯器が点火不良を起こすこともあるでしょう。
タイル張りの浴室の場合は、タイルがひび割れるとその部分から水を吸い込むため、水漏れやシロアリ発生の原因となり、腐食が進みます。
仮に見た目がさほど変わっていなくても、確実に劣化していますので、10~15年を目安にリフォームを検討しましょう。
このとき、不具合は浴室の一部分であっても、リフォームを他の部分と同時に行うことで、浴室全体が快適な空間に生まれ変わります。
【メンテナンスを検討する目安】
・ガス給湯器の点火不良
・タイルのひび
・排水口の詰まり、悪臭
トイレ
・便器のリフォーム時期の目安:10~20年
陶器製の便器はひび割れなどしない限りは長く使うことができますが、タンク内の部品、パッキンや配管が10~20年程度で耐用年数を迎えます。
水が漏れる、水の流れが悪くなったなどの症状が発生したら、リフォームを検討しましょう。
【メンテナンスを検討する目安】
・水漏れ、水の流れが悪くなる
洗面所
・洗面所のリフォーム時期の目安:10~15年
洗面所のリフォームのタイミングは10~15年程度といわれています。排水管などの耐用年数が10~15年程度であることがその理由です。
排水管が劣化してくると、水漏れが起こります。それがリフォームを検討するタイミングです。
【メンテナンスを検討する目安】
・鏡の破損
・水漏れ
リビング・居間
リビング・居間のリフォームのタイミングは、壁紙と床に分けて考えましょう。
・壁紙のリフォーム時期の目安:5~10年
時間の経過とともに、目に見えない汚れがしみついていたりしますし、喫煙者がいる場合などは壁紙にヤニや臭いが付着します。
壁紙を交換するときは、一部だけでなく家全体のものを交換することをおすすめします。一部だけを交換してしまうと、新しい壁紙と古い壁紙の違いが目立ってしまうからです。
・床のリフォーム時期の目安:10年(フローリング)、7~8年(畳)
フローリングの場合、耐用年数は10年程度です。傷やへこみが目立つようになったら補修を検討しましょう。
また、床が畳の場合は4~5年で裏返し、7~8年で表替えを行うとよいでしょう。傷みが汚れが目立つ場合は、使用年数が短くても裏返しや表替えを行いましょう。
【メンテナンスを検討する目安】
・壁紙の傷みや汚れ
・フローリングの傷、へこみ
・畳の色が黄色に変色
窓
・窓のリフォーム時期の目安:20~30年
窓ガラスや建て付け部のリフォームのタイミングは20~30年といわれています。
「窓の鍵がかかりにくくなった」「窓の開け閉めがスムーズにできなくなった」「ガラスが曇り始めた」「ガラスが破損した」などといった現象が見られるようになったら、リフォームを検討しましょう。
【メンテナンスを検討する目安】
・窓の鍵の不具合
・窓の開け閉めがスムーズにできなくなった
・ガラスの曇りや破損
玄関
・玄関のリフォーム時期の目安:15~20年(木製)、20~30年(アルミ製)
毎日使う玄関のドアは交換のタイミングが難しい箇所ではありますが、日々劣化は進んでいます。
ドアの開閉がしにくくなった、また表面が劣化してきたときなどに、リフォームを検討するとよいでしょう。
【メンテナンスを検討する目安】
・ドアの開け閉めがしにくい
・色褪せや汚れ、傷が目立つようになってきた
外壁
・外壁のリフォーム時期の目安:15~20年
モルタル、サイディングとも、耐用年数は15年~20年といわれています。不具合があった場合には家全体に影響が出る箇所です。ひび割れ、亀裂などがある場合は速やかに補修しましょう。
外壁の不具合は家全体に影響しますので、定期的に専門業者による点検を受けることをおすすめします。
【メンテナンスを検討する目安】
・ひび割れ
・色褪せ
屋根
・屋根のリフォーム時期の目安:20~30年(瓦屋根)、10~15年(金属屋根)
瓦屋根の場合で20~30年、金属屋根の場合で10~15年がリフォームのタイミングです。
日当たりや屋根の形により、劣化の度合いは異なりますが、外壁同様に不具合が家全体に影響を及ぼす箇所ですので、定期的にメンテナンスすることをおすすめします。
【メンテナンスを検討する目安】
・瓦のずれ
・色褪せ
効率的なリフォームのために
建物の破損や家屋被害などの急を要するものを除けば、住宅設備などが破損、故障するたびにリフォームを行うことは決して得策ではありません。時間も費用も無駄にせずに効率的にリフォームを行うために、以下の2点を心がけましょう。
まずは定期的なメンテナンス。清掃、洗浄などを欠かさずに行うことで、設備が長持ちします。
そして、ライフスタイルに合わせ対象箇所ごとのリフォームの目安を参考に、工事を計画的に行いましょう。壁紙や畳を除けば、リフォームの対象箇所の耐用年数は短くても10年です。
効率的にリフォームを実施するには、10年ごとにリフォームを検討するのがよいのではないでしょうか。
ことに住宅設備の故障や建物の老朽化の場合、そのまま放置すると修復が困難な状態になり、工事費用が高額になってしまいます。
交換や解体作業のための工事も必要になると工事期間も長くなるので、場合によっては住みながらのリフォームもできなくなり、一時的な仮住まいや引っ越しのための費用もかかります。
たとえ浴室やキッチン1ヶ所だけであっても、リフォーム工事が1週間くらいにもなると、住むためのスペースはあっても工事期間中に入浴や料理ができないので不便ですよね。
定期的なメンテナンスをし、異常に気付いたときはすぐに処置することが、無駄な出費を防ぎ、良い住環境を保つためには重要です。
(最終更新日:2021.03.29)