毎年11~12月頃に企業から配布される「年末調整」の書類を見て1年の終わりを実感する方も多いのではないでしょうか。しかし、細かな金額や項目を記入しなければならない年末調整は少し面倒なもの。できるだけスムーズに手続きしたいですよね。
今回は、年末調整の提出期限や控除対象について解説。また、年が明けて判明した「出し忘れ」やそもそも提出が遅れてしまった場合の対処法/注意ポイントを詳しくご紹介していきます。
年末調整とは?
年末調整は会社員や公務員が所得税の過不足を調整するための制度のこと。1年間に支払われた所得と源泉徴収税額を照らし合わせながら、過不足が生じていないかを確認していきます。対象となるのは該当年度の12月末まで在籍している社員や職員ですが、2,000万円以上の給与収入がある方や住宅ローン控除を初めて利用する場合などは年末調整ではなく「確定申告」が必要になるので注意しましょう。
【年末調整と確定申告の違い】
確定申告は所得額に応じた税金を計算し、支払うために必要となる手続きです。一般的には自営業者や給与以外の収入がある方が行う手続きですが、2,000万円以上の給与所得のある会社員や退職所得があった方なども対象となります。確定申告の提出期限は原則3月15日までと、年末調整の申告時期よりも数ヶ月遅れたタイミングで実施されています。
年末調整に記入すべき項目や控除の対象をチェック
1.生命保険料
「生命保険料(一般)」「介護医療保険」「個人年金保険」は、年末調整の生命保険料控除にあたります。該当する保険に加入している場合は10~11月頃に保険会社によって発行される証明書が届くので、記載されている金額や保険の種類を確認しながら記入しましょう。
2.社会保険料
配偶者や子どもの社会保険料を支払っている方は、社会保険料控除によって給与から天引きされた保険料の調整が可能です。健康保険料(国民健康保険料)や国民年金保険料をはじめ、厚生年金基金や公務員共済の掛け金なども対象となります。
3.地震保険料
生命保険料や社会保険料と同様に、地震や津波による損害に備えた地震保険に加入している場合も控除の対象です。保険会社が発行する証明書の情報に基づき、金額や保険区分を記入していきましょう。
4.小規模企業共済等の掛金
1年間に支払った「小規模企業共済掛金」と「確定拠出型年金」はすべて控除の対象となります。個人型確定拠出年金に関しては、掛金が給与から天引きされている場合に会社側で控除の手続きを行ってくれているケースも多いので記入前に確認しておくと安心です。
5.配偶者の所得
生計を共にする配偶者が「年間合計所得38万円以下」もしくは「給与収入のみ103万円以下」の場合、一定の条件を満たすと配偶者控除を適用できます。ただし、納税者(申告者)の年間合計所得が1,000万円以上あると控除対象外になってしまうので注意しましょう。
借入可能額や毎月の返済額をチェック!
提出の遅れや出し忘れはどうなる? 困ったときの対処法
忙しい日々を送っていると、うっかり年末調整を出し忘れてしまうこともありますよね。しかし、出し忘れてしまったからといって「もう控除の申請はできない…」と諦める必要はありません。困ったときの対処法を確認して、年末調整のトラブルをしっかりフォローしていきましょう。
対処法1.遅れたときは「確定申告」をしよう!
期限までに年末調整の手続きを行えなかった場合は、翌年3月15日まで申請できる確定申告を行いましょう。各種控除に関する証明書類と会社から発行される「源泉徴収票」があれば、会社員や公務員の方も税務署で簡単に確定申告の申請が可能です。年末調整の提出期限よりも3ヶ月以上期間があるのできちんと備えられますよ。
対処法2.納めすぎた税金には「還付申告」を利用
年末調整だけでなく、確定申告も期限内に行えなかった場合は「還付申告」と呼ばれる手続きを行って、納めすぎた所得税などの税金を還付してもらいましょう。申告は該当年の翌年1月1日から5年間。確定申告や年末調整のように「その年の何月まで」と期限が決められているわけではないので、うっかり年末調整や確定申告を忘れてしまった方でも利用できます。なお、還付金の支払い時期は書類の提出からおおむね1~1ヶ月半を目安に考えておきましょう。
【還付申告の手続きに必要なもの】
税務署で還付申告を申請する場合には、確定申告用書類(申告書A)の提出が求められます。税務署でイチから作成すると時間がかかってしまうので、事前に記入した用紙を持参するか、「e-Tax」と呼ばれるネット申請サービスの利用をおすすめします。
還付申告には前述した申告書のほか、会社から発行された源泉徴収票や関連書類が必要です。また、住宅ローン控除を申請する場合は「自宅の売買契約書」、医療費控除を申請する場合は「通院にかかった医療費明細」といったように各種証明書も用意しましょう。