現役の7割が「同じ会社で働きたい」と回答。定年後の収入不安が影響か

政府は今年5月、希望する人が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表しました。65歳まで雇用することを義務付けている現状制度の見直しを行い、働きたい高齢者に対して70歳までの雇用確保を企業に求める具体的な方針を示しています。一般社団法人定年後研究所が40代以上の現役世代を対象に実施した「70歳定年に関する調査」によると、65歳以降の理想の働き方は「現在の会社で働き続けること」が7割に。その理由の70.5%が「今の生活を変えたくない」と保守的なものでした。安定志向にならざるを得ない40代から60代のリアルな思いを探ります。

65歳以降の理想の働き方について、7割が「現在と同じ会社で働くこと」と回答

定年制度のある企業に勤務している40代以上の現役世代で、65歳以降も働くことを希望している男女516人に、65歳以降の理想の働き方を尋ねた結果、70.3%が「現在と同じ会社で働きたい」と回答。兼業や起業、フリーランスやボランティアで働くことを理想と回答したのは14.5%でした。
65歳以降も「現在と同じ会社で働くこと」を理想とした理由は、「今の生活を変えたくないから」(70.5%)、「安定した収入を得たいから」(47.4%)となり、「今の生活に満足しているから」(21.3%)を上回りました。

出典:一般社団法人定年後研究所 第2回「70歳定年」に関する調査

「理想の働き方」はどこまで実現できる?

65歳以上の理想の働き方が実現する可能性については、「実現可能性あり」50.4%、「どちらともいえない」33.5%、「可能性なし」が16.1%。半数以上が「実現可能性あり」と見込んでいる結果となりました。
理想の働き方を想起させたものとして、「65歳時点で老後の蓄えが十分にできていると思えないから」「年金だけでは十分な暮らしができないので年金に加えて安定的な収入が必要だから」といった経済的な理由が挙げられています。
仕事を続けるために、今からしておきたいこと
「仕事を続ける上で不安を感じている」と回答した人(469人)に、不安解消のために必要な準備を尋ねたところ、最も多かったのが「脳の老化を防ぐために鍛えておく」(54.5%)、続いて「食事の改善」(26.1%)、「50代から自分のキャリアを振り返り、将来のキャリアの方向性を模索する」(25.6%)となりました。

まとめ

「今の生活に満足している」わけではないけれど、「今の生活を変えたくない」「安定収入を得たい」といった保守的な考え方が7割を占める背景には、公的年金の繰り下げや、「公的年金の他に2000万円必要」といった見解の影響があると考えられます。「70歳定年時代」へ向けて、健康、体力、収入、仕事上の不安解消など、あらゆる面で現役時代からシミュレーションしておくことが必要となりそうです。

【調査概要】
調査名 :第2回「70歳定年」に関する調査
調査対象:定年制度のある組織に勤務し65歳以降も働き続けたいと考える40~64歳のビジネスパーソン
     男女516人(40代男女各103人、50代男女各103人、60代前半男女各52人)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査期間:2019年8月23日(金)~25日(日)
(注):本レポートでは小数点第2位を四捨五入しています。そのため数字の合計が100%とならない場合があります。

ニュース提供元:一般社団法人定年後研究所

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