2019年10月1日に消費税率が10%に引き上げられると同時に、消費の減退を抑えるための施策として、「軽減税率制度」や「キャッシュレス・消費者還元事業」「プレミアム付商品券事業」などが導入される予定です。複数の制度が一斉に開始されますが、消費者はきちんと理解できているのでしょうか。
国内外のマーケティングに関する研究・調査を行う公益財団法人流通経済研究所が実施した「消費増税に対する意識や増税対応に関するアンケート調査」によると、制度について一定の認知度はあるものの、内容の理解が進んでおらず、魅力を感じている人も少ないことが分かりました。
認知度の高い施策でも、詳細まで知っている人は1割前後
公益財団法人流通経済研究所が消費者を対象に実施した調査によると、消費増税に合わせて導入される3施策の中で最も認知度が高いのは「軽減税率制度」でした。「軽減税率制度」について、「詳細に知っていた」「概要を知っていた」と答えた人の合計は、7割近くに上っています。一方で、「キャッシュレス・消費者還元事業」については6割弱、「プレミアム付商品券事業」については4割弱という結果でした。
しかし、いずれの施策も「詳細に知っていた」と答えた人は、1割前後しかいませんでした。ある程度認知はされていても、制度の詳細まで理解している人は少ない様子がうかがえます。
■軽減税率制度
軽減税率制度は、特定の商品の消費税率を8%のまま据え置く制度です。対象となるのは、飲食料品と、週2回以上発行される新聞の定期購読料のみで、日用品などには適用されません。また、飲食料品の中でも、酒税法の対象である酒類、外食やケータリングなどは適用外となります。
■キャッシュレス・消費者還元事業
キャッシュレス・消費者還元とは、キャッシュレスマークのある対象加盟店でキャッシュレス決済をすると、消費者に最大5%のポイントが還元される国の補助金事業です。実施期間は消費税率が10%に引き上げられる2019年10月から2020年6月までの9カ月間に限られます。
■プレミアム付商品券事業
プレミアム付商品券は、25%お得に買い物ができる商品券で、1人につき最大2万5,000円分の商品券を20,000円で購入することができます。しかし、すべての人が買えるわけではなく、2019年度の住民税非課税者および2016年4月2日から2019年9月30日までに生まれた乳幼児のいる世帯(子どもの人数分)に限られます。住民税非課税者は事前に申請が必要ですが、子育て世帯には9月以降に自宅に購入引換券が届きます。
増税施策に魅力を感じている人は4割以下
同調査では、各施策に対する魅力度も調査されていますが、「魅力的」または「やや魅力的」と答えた人の割合は、「キャッシュレス・消費者還元事業」では4割弱、「軽減税率制度」では3割弱、「プレミアム付商品券事業」については2割強という結果になっています。制度の複雑さが魅力度を引き下げていると考えられますが、損をしないためには積極的に情報を集め、制度に対する理解を深めることが大切です。
【調査概要】
■調査方法:インターネット調査
■調査時期:2019年7月末
■回答者数:2,000人超
ニュース参照元:PRTIMES
ニュース情報元:流通経済研究所