マンションの断水でパニック!5つの原因と対策、復旧時の注意点とは?

私たちの生活に必要不可欠な水道。もし、使えなくなると単に水が飲めないというだけでなく、入浴・トイレ・洗濯などもできなくなり、とても困ってしまいます。しかも、戸建ての家と比べると、マンションは断水が起こりやすい傾向にあります。それは一体、なぜなのでしょうか。その原因や断水への備え、さらには復旧したときの対処方法などについて解説していきます。

3種類あるマンションの給水方式

マンションの場合、各部屋の水道に水が運ばれてくる仕組みには大きく分けて、「直圧直結給水方式」「増圧直結給水方式」「貯水槽水道方式」の3つがあります

直圧直結給水方式

配水管の圧力を利用して各部屋まで水を運びます。これは戸建てと同じ方式なのですが、水圧には限界があるため、あまり高い階層への給水には向いていません。一般的に、安定して給水できるのは3階までであり、地域や条件によっては5階まで可能な場合もあります。水道管が破損すると断水してしまう点はデメリットといえるでしょう。

増圧直結給水方式

直圧直結給水方式をベースとし、そこに増圧ポンプで圧力を加えて給水します。そのことによって、水圧はかなり高くなり、高層階への給水も可能となります。ただ、この方式も水道管が破損すると断水してしまうという点では、直圧直結給水方式と同じです。おまけに、増圧給水設備を使用する場合は定期点検が必要なため、その際に断水することがあるのがデメリットといえます。

貯水槽水道方式

配水管から送られてきた水を一度貯水槽に溜めてから給水を行います。この方式の場合、たとえ水道管が破損しても貯水槽の水が尽きるまでは給水が可能であるというメリットがあります。その代わり、貯水槽が不衛生になると、住民の健康に悪影響を及ぼすおそれがあるのが大きなデメリットです。そうした事態を防ぐためには貯水槽の定期的な清掃やメンテナンスが欠かせませんが、それに伴い、断水になるケースがあります。

マンションの断水原因は主に5つ

断水の原因としてまず挙げられるのが水道管の破損です。たとえば、台風によって川の水があふれ、その影響で水道管が壊れてしまうケースがあります。あるいは、地震で地面に亀裂が入り、水道管が破裂するというのもよくある現象です。この場合、マンションの外の水道管が破損したのなら、マンションだけでなく、地域一帯が断水になるはずです。逆にいえば、マンション内だけで断水が起きているのなら、マンションの配水管が破損した可能性が高いということになります。

自分の部屋だけ断水している場合は、引き込み後の水道管に原因がある可能性を疑いましょう

また、給水設備のトラブルによって断水になる可能性も考えられます。マンションには給水方式によって異なる給水設備を有していますが、それらに故障が起きて水が出なくなるというケースです。
主な原因はポンプの故障や電気系統のトラブルなどが考えられます。特に、長い間同じ給水設備を使い続けていると劣化が進み、故障する可能性もそれだけ高くなります。

そのほかにも、停電の影響で断水になる場合があります。地震や台風などの災害時に電気がストップすると、給水ポンプを動かすことができなくなり、水が出なくなるというわけです。

さらに、破損や故障以外の原因としてよくあるのが、給水設備の清掃やメンテナンスです。マンションでは給水方式に応じて定期的に給水設備の清掃やメンテナンスを行いますが、その際には給水をストップするため、当然、水は出なくなってしまいます。ただ、事前に通知があるので、突然水が出なくなって慌てるということは少ないでしょう。
同じように、事前に告知をしてから行われるのが水不足による給水制限です。これは地域的な水不足に陥った場合、時間帯を区切るなどして一時的に給水を制限する形で実施されます。

日頃から必要な断水に対する備え

マンションにはさまざまな理由で水が出なくなる可能性があり、断水のリスクは戸建てよりも高いといえます。そのため、日頃から断水に対する備えが必要となります。
たとえば、災害時に備えるのと同じように、常に緊急用の飲用水を用意しておくといった具合です。特に、高層階に住んでいる場合は、水の蓄えはより重要になってきます。なぜなら、災害や電気系統のトラブルなどによって水が出なくなった場合は、同時に、エレベーターも使えなくなるおそれがあるからです。そうなると、水を外で調達したとしても部屋まで持ち運ぶのは容易ではありません。

また、日頃から浴槽に水を張っておくのも有力な断水対策です。そうしておけば、たとえ断水になってもそれを使ってトイレの水を流すことができます。さらに、ウェットティッシュを常備しておくと、手軽に手や体を拭いたりすることも可能です。浴槽に溜めた水で体を洗うのは抵抗があるという人もいるので、そういった意味でも、いざという場合に備えてウェットティッシュは多めに用意しておきたいところです。

断水時に気を付けることは?

断水が起きたらまず、水道の蛇口が閉まっているかを確認し、開いている場合は必ず閉めるようにしましょう。蛇口が開いたままだとそこから空気が入って水道管を傷付ける原因となります。
たとえば、中に空気が溜まった状態で水が急に流れ始めると水道から一気に空気が放出されて、爆発音を伴った衝撃が起こる場合があります。その際に、衝撃によってパイプが支柱から外れたり、蛇口が故障したりするケースがあるのです。また、蛇口を開けたままにしておくと、留守中に復旧した場合に水が出続けることになります。そうなると、水道代がムダになるだけでなく、水があふれ、床や階下を水浸しにすることにもなりかねません。

また、断水時、使用後にトイレを流そうとしても、タンク内の水だけでは流れない可能性が高いので、浴槽に溜めた水などを利用して流すようにしましょう。ただし、災害などで排水もストップしている場合は、流したものが途中でつまり、階下が汚水であふれかえる可能性があります。そうならないためにも、使用前に排水管が破損していないかをしっかりチェックしておくのが賢明です。

復旧時にも注意が必要

安心して水道を使うためには、使用前にやっておくべきことがいくつかあります

断水が終わって水が出始めると思わずホッとしがちですが、油断は大敵です。まず、給水管にエア抜きバルブがある場合は、空気を抜いてから水を出すようにしましょう。なぜなら、給水管内に溜まった空気に圧力がかかると器具を破損させてしまう可能性があるからです。次に、復旧後の水は濁っている場合があるので、しばらく流し続け、水がきれいになったのを確認してから使用するようにしましょう。

また、復旧後にいきなりトイレの水を流すのも危険です。たとえば、地震などが原因で断水した場合、たとえ水道は復旧しても下水管などが損傷していると、水を流すことで汚水が噴出するといったことにもなりかねません。そうした事態を避けるためにも、管理組合などに下水道の使用制限がかかっていないかを確認してから流しましょう。

給水方式の確認をして備えておこう

マンションは構造の関係上、戸建てよりも断水が起こりやすいものです。したがって、自分が住んでいるマンションの給水方式を確認し、どのような原因で断水が起こりうるかをよく理解しておくことが大切です。そのうえで、「緊急用の飲用水を用意しておく」「浴槽に水を張っておく」などといった具合に、日頃から断水に対する備えをしておくようにしましょう。そうすれば、いざというときでも慌てずに済むはずです。

(最終更新日:2019.10.05)
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