妊娠や出産は、病気ではないため、医療保険に加入していても保障はありません。しかし、場合によっては保障を受けることができます。どのようなケースで保障を受けることができるのでしょうか。また、妊娠や出産のときに保障を受けるためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
正常妊娠や正常分娩(ぶんべん)では、公的医療保険制度だけでなく、民間の医療保険の保障もない!
妊娠や出産は病気ではありません。したがって、かかった医療費の自己負担は3割ではなく全額です。ただし、自治体の妊婦検診等費用助成制度によって検診費用の一部は公費負担になり、公的医療保険制度からも子ども1人あたり42万円の出産育児一時金を受け取ることができます。これらによって、妊娠や出産にかかる費用の多くを、カバーすることができます。
民間の医療保険も、正常妊娠・正常分娩の場合は、保障の対象外となっているため、給付金が支払われることはありません。
異常妊娠・異常分娩の場合は、公的医療保険制度の適用になり、民間の医療保険も保障対象になる!
「子宮外妊娠」・「妊娠高血圧症」・「妊娠中毒症」・「鉗子(かんし)分娩」・「吸引分娩」・「帝王切開分娩」・「流産」などの異常妊娠、異常分娩の場合は、公的医療保険制度が適用され、医療費の自己負担割合は3割になります。なお、この場合も、自治体の妊婦健診等費用助成制度や出産育児一時金などの公的給付は受けることができます。
民間の医療保険も保障の対象となるため、入院や手術等に伴って入院給付金や手術給付金を受け取ることができます。
帝王切開分娩は出産の2割!異常分娩の割合は近年上昇している!
異常分娩のひとつである帝王切開分娩の割合は、近年上昇傾向にあります。
厚生労働省の「平成29(2017)年、医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」から算出してみると、2017年の帝王切開分娩の割合は20.4%となっており、子どもを産む人の実に5人に1人は帝王切開で出産していることになります。1990年は10.0%ですので、27年間で倍増しています。
この結果を見ると、異常妊娠や異常分娩の出費をカバーするためにも、民間の医療保険に加入しておいたほうがいいかも、と考える方もいるのではないでしょうか。
妊娠・出産に備えて民間の医療保険に加入するなら、最初の妊娠の前!
妊娠や出産の異常に備えることも考えて民間の医療保険に加入するのであれば、加入のタイミングは、最初の妊娠の前がいいでしょう。
なぜなら、妊娠中はリスクが高まると考えられているためです。商品によっては、妊娠後一定期間を経過したのちは加入できなくなります。加入できる商品でも、一定期間は、妊娠や出産に関わる入院・手術等の保障をしないなどの特別条件がつく場合がほとんどです。
また、たとえば、第一子を帝王切開等の異常分娩で出産した後に医療保険に加入しようとしても、5年以内であれば特別条件がつく可能性があります。そうなると、第二子の出産が異常分娩の場合でも保障されません。なお、第一子を正常分娩で出産したあとに加入する場合は、特別条件がつくことなく問題なく加入することができます。
最初に妊娠する前に医療保険に加入しておけば、通常の病気やケガによる入院や手術等に備えられるだけでなく、妊娠・出産の異常にも備えることができることになります。
まとめ
医療保険は、ライフステージに関わらず備えておいたほうがいい保障だと言われます。単身者も、既婚者も、高齢者も、いつでも病気やケガで入院・手術等をし、出費を余儀なくされる可能性があります。加入して備える適切なタイミングは、男女に関わらず、経済的に自立をした後の健康で若い時期がよいでしょう。
(最終更新日:2019.10.05)