マンションを売却! 売買契約時と引き渡し時のチェックポイントまとめ

子どもの成長に伴って、マンションの住み替えを検討している人もいるのではないでしょうか。不動産は買い手市場といわれることが多い日本において、「買い手が見つかったらひと安心」と思っている人もいるかもしれません。しかし、実際は単に売れればよいというわけではなく、契約書の内容確認、引き渡しまでの準備、決済のための事前準備をしっかりと行う必要があります。この記事では、契約と引き渡し時に押さえておきたいポイントを紹介していきます。

売買契約書の確認

売買契約書は隅々まで確認を

マンションの売買契約は大きな金額を要する取引です。自分の都合だけで契約解除ができないからこそ、契約前の確認が大切となります。そのため、しっかりと売買契約書を確認し、ミスがないよう努めましょう。

売買契約書でチェックしておくべきポイントとして、まずは物件情報が挙げられます。これは所在地や床面積など登記薄に載っている内容を記す部分です。つまり、何を売買するのかがここに明記されます。

売買代金時期の確認も重要な項目です。一般的に、売買代金の支払い日に、所有権が移転して引き渡しとなり、登記手続きを行うこととなります。 契約解除違約金についても、後からいざこざを避けるためによく見ておきたい項目です。この項目の定めがないと、一方的に契約を解除されても、違約金などを請求することができません。

また、瑕疵担保責任の期間は、売買するマンションに何らかの不備(瑕疵)があった場合、どの期間まで売り手が責任を負うのかを明確にするものです。これは、売買契約成立後に買い手が瑕疵を見つけた場合に有効で、買い手側を守るために定められる項目です。

最後に、税金の精算時期計算方法の項目です。税金や光熱費などは、通常引き渡し前までは売り主、引き渡し後は買い主が負担しますが、そのラインを明確に決めるのがこの項目です。無用のトラブルを避けるためにも、こちらもしっかりと決めておく必要があります。

手付金の種類と金額の相場

契約で自由に決められる要素に、買い手が売り手に支払う手付金があります。手付金の種類は証約手付解約手付違約手付の3つで、それぞれ性質が異なるので覚えておきましょう。

証約手付
契約を結んだ証拠として渡すお金のこと。多くは5~10万円程度の金額で設定されます。

解約手付
売り手または買い手が、何らかの理由で購入をキャンセルする場合に、相手方に渡るお金のこと。買い手側がキャンセルした場合は手付金は放棄となり、逆に売り手の都合でキャンセルする場合は、手付金の2倍の違約金(手付倍返し)を支払う必要があります。

一般的に売買代金の5~10%程度が目安とされています。また、この解約手付は契約の履行に着手するまでの期間に有効なため、「契約後、○○日以内」などと決めることが一般的です。

違約手付
買い手が債務不履行を行なった場合に没収できるお金のことです。債務履行の額が小さくても、決めた額の違約金を支払わなければなりません。

なお、通常の契約においては、特に定めがなければ手付は「解約手付」と推定されます。

瑕疵担保責任の内容と期間

瑕疵担保責任も、契約によって自由に金額を決められるものです。これは、売ったマンションに隠れた瑕疵があった場合に、売り主が買い主に対して負う責任のことを指します。瑕疵により買い主に損害が生じた場合に損害賠償請求をすることができます。また、瑕疵により契約目的が達せられない場合は、買い主は契約の解除をすることも可能です。

瑕疵担保責任の期間は、基本的に売り主と買い主との間で双方の同意のもと決められますが、これを設けない場合でも民法570条によって責任期間は発生します。権利行使期間は、買い主が事実を知ったときから1年ですが、引き渡しされたときから10年の経過により消滅時効にかかります。

10年もの間瑕疵担保責任を負うのは、売り手にとっては長すぎると感じるかもしれません。そのため、瑕疵担保責任の期間を互いの合意で決めることで、民法が定められた期間によらず、短くすることが可能となります。また、双方の同意により瑕疵担保責任を負わない特約を付けることもできます。ただし、売り手が瑕疵を知っていたにもかかわらず隠していた場合には、その特約は効力を失います。いずれにせよ、売る側は瑕疵や問題点を隠すことをせず、すべての情報を買い手に開示するモラルが求められます。

マンションを買い替える場合の売買契約時期

マンションを買い替えるような場合は、買い替え物件が新築か中古かによって引き渡し時期に違いが生じます。新築の場合、建物が未完成で入居は1年後ということもあります。その場合は、まず買い替え先の新築マンションで売買契約を結び、現在所有している不動産を売却するという流れがよいでしょう。引っ越しまでに時間があるため、余裕をもって売却することができます。
一方、中古マンションでは、はじめに現在住んでいる住居を売却してから売買契約を結ぶのが無難です。すぐに入居できるケースが多い中古マンションでは、現在の住まいを売る前に新しいマンションの売買契約をしてしまうと、二重ローンに陥るリスクもあります。そのため、中古では売りを先行させたほうが無難といえます。

引っ越しのタイミング

引っ越しのタイミング、スケジュールも要注意

新しい家も決まり、マンションの売買契約も済んだ後は引っ越しが待っています。今のマンションの売却前に引っ越し先のマンションに先に住める場合は、今の住居から荷物を運び出し、決済日までに完全に空室にしておく必要があります。
逆に、今のマンションを売却してから、転居する場合は、入居できるまでの間、一時貸しの住まいを探さなければなりません。無駄な出費と、2度の引っ越しを避けるためには、できるだけ新しいマンションに先に引っ越しできるスケジュールを組むのがポイントとなります。
また、引っ越しで注意しておきたいことは、その時期です。引っ越し業界には繁忙期があり、3~4月の新入学、就職、異動の時期が年間で一番のピークです。この期間は引っ越し料金が通常よりも高くなるばかりか、業者の手が足りず、すぐに引っ越せない場合もあるのです。したがって引っ越しすることが決まったら、なるべく早く無理のないスケジュールを組んでおくことが重要です。

決済日に確実に引き渡しを行うための事前準備

決済日に物件の引き渡しをすることは、マンションの売買において最終段階です。通常は、買い手が住宅ローンを借りる場合は、その金融機関に関係者が一同に会して行なわれます。

決済日のスケジュールは、まずは買い手または金融機関が依頼した司法書士が、所有権の移転登記に必要な書類に漏れなどないか確認をおこないます。問題がなければ、金融機関から買い手に対して融資が実行されます。そしてその資金が、売り主が指定した銀行口座に振込まれたことを確認します。入金確認後、鍵の引き渡しがされ、その日のうちに司法書士が法務局に登記申請を行なうといった流れとなります。必要書類に不備があると、決済日に引き渡しができないため、事前準備がたいへん重要です。また、売買代金の入金確認には時間がかかることもあるので、時間には余裕をもつことが大切です。

わからないことは仲介不動産会社に必ず確認

売買契約をする場合は、特に手付金・違約金の額や瑕疵担保責任の内容、引き渡しの時期などをよく確認しておくことが重要です。通常は、不動産会社を介して売買するケースが大半だと思いますので、まずはわからないことや不明点があった場合は、必ず不動産会社の人に確認しましょう。

また、マンションの買い替えの場合には、売却時期と新しい住まいに住める時期をしっかり確認し、早めに引っ越しのスケジュールなども組んでおくことが重要です。

ライフスタイルに合わせて、住まいを買ったり売ったりする機会は何度かあるかもしれません。現在住んでいるマンションを上手に売却するためにも、売る側の心構えや注意点をぜひ理解しておきましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
~こんな記事も読まれています~