中古マンションのスムーズな売却を進めるために、できる対策は?

長年家族で暮らしてきたマンションでも、転勤などのどうしようもない理由から売却しなければならなくなることもあります。そんなとき、絶対に避けたいのはいつまで経ってもマンションが売れない状態です。この記事では、なかなか売却に進まない中古マンションの特徴を紹介し、売りに出す前に打っておける対策について解説していきます。

目標は半年以内の売却

マンションを売却するなら、3ヶ月以内に買い手を見つけるのが理想的とされています。なぜなら、3ヶ月を目安としてマンションの潜在顧客は一巡してしまうからです。

「潜在顧客」とは、マンションが売却に出されたとき、ちょうど購入を検討している人のことです。潜在顧客は物件の情報や価格を調べ、自分の思う条件と一致するかを検討します。そして、興味があれば売り手にコンタクトを取って内覧などに訪れます。逆に、興味がなければ別の物件を探し始めるでしょう。こうして、1つの物件に対する潜在顧客の動きが落ち着くことを「一巡した」と形容します。

潜在顧客が一巡すると、売り手に連絡してくれる人は途切れてしまうことが多いでしょう。3ヶ月を1サイクルだとすれば、売り手は4ヶ月目からは価格を変更するなどして新たに潜在顧客を呼び戻さなければいけません。できれば、2サイクル目となる半年以内にマンションを売却できることが理想です。

仮に2サイクルが終わってもマンション販売が続いている場合、潜在顧客に「売れていない物件」というイメージが定着するため、ますます売れにくくなっていきます。また、不動産会社も「長期在庫」と認識して、営業活動に力を入れてくれなくなってしまうこともあるかもしれません。

売る有利なタイミングは?

マンションを売り出すのに有利なタイミングはあるのでしょうか。マンションを売るなら秋頃がやや有利と考えられます。理由として、多くの人は新年を迎える1月か、新年度を目前に控えた3月に引っ越しを考えます。そうなれば、半年前には新居を決めておかなくてはいけません。それらを逆算していくと、遅くても9月前後にはマンションを購入したいのではないか?というわけです。売却時期にこだわりがないのなら、9~11月に買い手を募ってみましょう。

マンションがなかなか売れない原因とは

いつまでも売れ残っているマンションには、往々にして原因があります。以下、よくある原因を紹介していきます。

1.売り出し価格が高すぎる

マンションが売れないときは、販売価格を見直してみましょう。買い手がつかない中古マンションは、相場よりも高く売り出されていることが多くなっています。売り手からすれば、少しでも購入価格を取り戻したいと考えるでしょう。

しかし、基本的に不動産物件は時間が絶つほど価値が下落するのが一般的です。周辺地域が開発されるなど、特別な条件が重ならない限り販売価格と同等で売れることはまずありません。また、買い手は自分たちでもマンションの適正価格を調べてから購入を考えます。予想をはるかに超えている販売価格がつけられているなら、購入を見送ってしまうでしょう。

適切な販売価格を設定するためには、売り手がしっかり価格相場を調べておく必要があります。不動産の検索サイトを利用すれば、マンションの価格はおおよそ見えてきます。また、周辺地域にある同等の物件がいくらで売り出されているかもチェックしましょう。販売価格を決めるときの参考になります。さらに、マンションがかなり傷んでいたり、見た目が古くなっていたりすれば、その分を価格相場から差し引かなくてはいけません。買い手にとって妥当だと思える価格を設定できれば、興味を持ってくれる人も増えていきます。

2.室内の状態が悪い

小さな汚れや劣化も見られています

内覧に来る人は多いのに、なかなか売却にまでは至らないケースもあります。そんなときは、買い手が内覧でなんらかの欠点を発見していると考えられます。室内の状態が美しく、魅力的になっているかどうかを、売り手は振り返ってみましょう。

内覧前には隅々までチェックすべし

もちろん、ほとんどの売り手は内覧に備えてきちんと掃除や整理整頓を行ったつもりでいます。しかし、買い手は売り手以上に物件を隅々までチェックしているものです。たとえば、壁紙にシミやヤニがついていると「この修繕は誰がするのだろうか」と不安になります。また、売り手は気にならなくなっていた生活臭も、他人からすれば不快だと感じる可能性があります。内覧に向けた掃除は、あくまでも買い手目線になって行うように心がけましょう。

買い手目線の掃除とはどうするのがよいのでしょうか。たとえば、クローゼットの中身なども含め、家の中にあまり物がない状態を意識します。乱雑な印象を与えると、買い手の評価を落とすからです。しつこい油汚れ、カビなども内覧の機会に除去してしまいましょう。自力で片づけられない汚れについては、ハウスクリーニングに依頼するのもひとつの方法です。コストはかかるものの、半年以内の売却を意識するのであれば、キレイに掃除をしておくに越したことはありません。

3.競合している物件がある

競合物件の条件も把握しておきましょう

マンション売却時によくある問題が「競合に巻き込まれてしまうこと」です。多くの物件が並んでいるマンション内では、同じ時期に売却したいと考える人が出てきても不思議ではありません。そして、同じマンションである以上、売却条件も似通ってきます。その結果、買い手は物件を見比べて純粋な価格だけで購入を決めようとする傾向が出てきます。

こうなると、安く売却しようとしている物件にはなかなか勝てません。しばらくは、希望の販売価格で売却することは難しいでしょう。早く売却してしまいたい場合には、価格を引き下げる必要も出てきます。同じマンションでなくても、近隣に条件が似かよったマンションが売りに出ていれば同様の状況になることがあります。

とはいえ、焦って販売価格を極端に安くするのも考えものです。競合相手との激しい価格競争に乗ってしまうと、販売価格は際限なく下がっていき、買い手がついたとしても損をする恐れがあるからです。しかも、マンション取引では価格を下げるのは簡単でも、再び上げるのは望ましくありません。そんなことをすれば、一気に潜在顧客が離れてしまうでしょう。もしも同じマンションや近隣に競合相手がいて、価格では勝てないと思うなら様子を見るのが得策です。ある程度時間が経って競合相手がいなくなってから、希望販売価格で再びマンションを売却に出しましょう。

4.売却物件の囲い込みの可能性も

どうしてもマンションが売れない場合、売却物件が“囲い込み”をされている可能性もあります。

マンション売買において問題視されている「囲い込み」が起こっていないか調べてみましょう。囲い込みとは、不動産会社が売却物件を宣伝せず、買い手をすぐには寄せつけない行為です。なぜ囲い込みが起こるのかというと、不動産会社が両手取引をしたいからです。すでに契約している顧客が買い手になった場合、不動産会社は売り手と買い手の両方から仲介手数料を支払ってもらえます。そのためには、契約していない買い手から、売却物件を遠ざけておく必要があるのです。

不動産会社が囲い込みをしていると、完璧に証明できる方法はありません。しかし、不動産会社が誠実に仕事をしてくれていないと感じるときは、別の会社に切り替えることも賢明です。

早めに手を打つことが大切

マンション売却は、できれば3ヶ月、遅くても半年以内に取引を成立させたいところです。内覧した人から断られたり、不動産会社が積極的に動いてくれなかったりするなど、売れ残りそうな予感がするときは、すぐに対策を講じましょう。また、必要なら売却条件も見直し、早めに買い手から興味を持ってもらうことが大切です。

(最終更新日:2019.10.05)
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