かつての日本では、平屋建ての住宅が主流でした。現在は2階建てを中心とし、都市部では3階建ての狭小住宅も少なくありませんが、核家族化や高齢化社会が進む現在、平屋建ての家に再び注目が集まっています。そんな平屋住宅の特徴と、実際に平屋で暮らす人々にスポットを当てました。
平屋を建てる、メリットとデメリットとは?
平屋住宅に憧れている人は少なくありませんが、メリットもあれば、デメリットもあります。メリットは、マンションのようにワンフロアで完結していること。階段の昇降がなく、バリアフリーを意識して建てれば老後の住まいとしても最適です。また、階段がないということは、デッドスペースが少ないということ。空間を有効に活用できます。
デメリットは、広い土地が必要になること。土地価格が高い都市部であるほど、土地の購入費用が重くのしかかってくるでしょう。何とか土地を手に入れても、建築費用も2階建てと比べて割高です。新築費用のうち大きな割合を占める基礎や屋根をつくる費用が、2階建てと比べて多くかかってしまうことを覚えておきましょう。
平屋のメリット・デメリットについて、より詳しく知りたい人は過去記事「平屋ライフに憧れる! 良いことづくめの“平屋神話”、その真相に迫る」も参考にして下さい。
前居の近くに平屋建てを新築。子育てがしやすく、先々の老後も安心の家
Hさんご夫婦は、ともに一軒家で暮らしてきた経験から「家を買うなら戸建てが大前提」と考えていたそうです。2人のお子様はともに女の子。「将来は家を出るだろう」という考えがあり、夫婦2人暮らしになった老後にワンフロアでバリアフリーの暮らしができる、平屋建てに照準を絞ることに。お子様たちの校区内で、100坪弱の土地を購入。家事動線や収納力、空調システムなど快適性にこだわった注文住宅を建てました。お子様たちがのびのびと遊べて、ゲストもくつろげる、将来は夫婦2人でも快適に暮らせる、理想の住まいとなりました。
注文住宅をキャンセル! 平屋建てに惹かれて建売住宅を購入
奥様の実家近くで注文住宅を建てることになったHさん。土地の契約を経て地鎮祭も済ませ、家づくりが着々と進行中の段階で、木造住宅を得意とするハウスメーカーが手掛けた平屋に出会い、すっかり魅了されてしまったそうです。幸い、土地の購入手続きが完了していなかったため、200万円程度の違約金を支払い、契約を取り消すことができました。
83坪という広い敷地に建てられた新居は、沖縄の伝統的な家相を守ったつくり。また、台風による強風に見舞われることが多い沖縄の家屋はかつて、平屋が主流でした。伝統的家屋を思わせる平屋に、沖縄の赤瓦に似た瓦屋根という佇まいが、周囲の風景に溶け込んでいます。
1階で生活が完結する間取りで、平屋同様のメリットを享受
転勤から3年、お子様の誕生を前に、マイホームを建てることになったMさん。「平屋に近い状態で暮らせる」ことを条件に、建売住宅を探しました。購入を決めた住まいは平屋ではありませんが、1階で生活を完結できる間取りが特徴。LDKと和室、夫婦の寝室も1階です。2階には15.5畳のフリースペースがありますが、丸々お子さまのフリースペースとして活用するとのこと。平屋同様のメリットを享受できる住まいで、新生活を満喫しているご様子です。
平屋の部屋数と間取りの考え方については過去記事「暮らしやすい平屋とは? リビング中心+ロフトで効果大!」も参考にして下さい。
両親の暮らしを見て平屋建てを希望。先々まで安心して暮らせる家に
2人目のお子様が生まれて手狭になったことから、マイホームの購入を考え始めたWさん。家づくりでどうしても譲れなかった条件が「平屋にすること」だったそうです。戸建てで暮らすご両親が2階へ上がる度に大変そうにしている様子を見て、先々まで安心して暮らせそうな平屋建てに惹かれたとのこと。完成した住まいは、2階に4~5畳の子ども部屋が3つとロフト付きの寝室を設けているため、厳密な平屋ではありませんが、お子様が独立した後の生活は1階で完結する間取りに。終の棲家として活用できそうです。
まとめ
「ワンフロアで完結した暮らしを実現したい」と考えている人にとって、平屋建ての家は魅力的です。しかし、土地の取得や建築コストの問題で実現が難しいケースもあるでしょう。しかし、厳密には2階建てでも、間取りの工夫で将来、平屋同様の生活を送ることはできます。これからマイホームを購入する人は、先々のライフスタイルも踏まえながら検討してみることをおすすめします。
(最終更新日:2019.10.05)