マンションを購入した後、毎月の住宅ローンのほかにもさまざまなお金が必要になります。実際にどれぐらいのお金が必要になるかは、購入前にしっかりと考えておきたい問題です。マンションの管理費や修繕積立金に加え、忘れがちなのが年に1度の固定資産税です。賃貸で暮らしていたときには意識しない固定資産税について説明します。
固定資産税はいつ・誰が支払うか
固定資産税とは土地や建物の所有者に対して課せられる税金です。毎年1月1日時点に所有権を登記している人に対して課税され、1年を4回に分けて支払います。支払い時期の目安は、4月、7月、12月、2月という自治体が多いですが、市町村ごとに期日は異なるため、納付時期前に送られてくる納税通知書で確認してください。第1期の支払いは4月から6月ごろと覚えておくとよいでしょう。
コンビニ、銀行での振り込み、クレジットカード支払いなどが選べる自治体もあります。期限に遅れないように納付しましょう。なお中古マンションを購入した場合、購入した年の1月1日時点は前所有者が所有権を登記しているケースがほとんどなので、固定資産税は前所有者に対して課せられますが、購入時期に応じて買い手が残りの固定資産税を負担するケースが多いです。
固定資産税の算出する際には、土地と建物とで別々に算出します。まず土地部分の算出方法についてですが、大勢の人が1つの建物に暮らすマンションの場合は、敷地全体の税額を算出し、敷地に対する持分の割合によって按分した額が土地の固定資産税となります。次に家屋についてですが、こちらは建物全体の評価額を各戸の面積によって按分し、この価格をもとに税額を算出します。納税するのは土地や建物を使用している人ではなく所有している人です。購入したマンションを賃貸用として人に貸している場合も、所有している人が支払うことになるので忘れないようにしましょう。
固定資産税の計算方法
固定資産税の金額は、各市町村が「固定資産税評価額」に応じて決定します。固定資産税評価額とは、土地や建物などをどのように評価するかを定めた「固定資産評価基準」に基づいて決定されるもので、土地の時価の約70%、建物の請負工事金額の約50~60%(新築時)が目安とされています。土地の場合は、その土地がある場所や、土地の形状などそれぞれの状況に応じて評価額は異なるため、同じ面積だからといって評価額が同じわけではありません。また、建物の場合は、建物の構造や築年数などにより判断されます。
固定資産税は、上記のようにして定められた「固定資産評価額」×1.4%で計算されます。固定資産税評価額を事前に知りたい場合は、不動産会社の担当者に問い合わせてみましょう。新築マンションの場合は、建築後にしか正確な評価額はわかりませんが、中古マンションの場合はすでに決定されているため、調べることができます。購入後に知りたい場合は、固定資産税の納税通知書についている課税明細書に記載されています。
固定資産税は都市計画税と合算して納税通知書に記載されており、一緒に支払います。都市計画税も、固定資産税と同様に固定資産税評価額に基づいて計算される税金です。市街化区域内で土地と建物を購入した際に課税されます。
固定資産税は3年ごとに見直しがある
固定資産税は毎年同じ金額を支払うわけではありません。固定資産税の基準となる固定資産税評価額は3年に1度見直されるからです。建物は年を経るごとに減価されると考えられ、固定資産税評価額は減少していきます。一方で、増改築などをすることによって建物の価値が上がれば上昇します。
経過年数に応じた減価の考え方においては、建築から数十年が経った建物の固定資産税評価額はいずれゼロになるように考える人もいるかもしれませんが、実際にゼロになることはありません。最初の固定資産税評価額の20%の価格は残ることになっているため、どれだけ築年数が古いマンションであっても、建物の固定資産税がないということはありえないのです。
土地の場合は、地価が上昇すれば評価額が上がり、下落すれば下がるといったように、地価に連動していると考えられます。しかし、地価が急騰したからといって固定資産税評価額まで急騰することはありません。土地の固定資産税評価額の改定時の増減率は、5%までと定められているからです。納税額が急に増えるということもありませんので、人気の地域に建つマンションを購入する際にも安心してよいでしょう。
納税通知書が来たら軽減措置の適用漏れがないか要チェック
購入したマンションを住宅として使用する場合は、固定資産税の軽減措置を受けられます。土地については、200平方メートル以下の小規模住宅用地では課税標準が6分の1に、200平方メートルを超える部分の一般住宅用地は3分の1になるというもので、所有し、かつ建物が存在する限りずっと続く措置です(ただし特定空き家などにかかる土地は除く。)。マンションの敷地全体の面積を住戸数で割った持ち分の面積が200平方メートル以下であれば、固定資産税額は6分の1になります。
建物については、課税床面積120平米までの部分について、一定期間、固定資産税の1/2が減額されます。条件として、2020年3月31日までに新築された住宅であること、店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上であること、居住部分の床面積が50~280平米であること、が挙げられます。
マンションの場合、面積とは専有部分だけでなく共有部分の持ち分についても指しているので注意しましょう。長期優良住宅の場合は軽減措置が長くなるなど特典もあります。軽減措置の計算は複雑で、適用漏れが発生している可能性があります。市町村から送られてきたものだからすべて正しいと思いこまずに、納税通知書が届いたら軽減措置の適用漏れがないかを必ずチェックしておきましょう。
建物についての軽減措置は有期のものです。最も期間の長い3階建て以上の耐火住宅かつ認定長期優良住宅であっても減税措置は7年間ですので、この期間が終了した後には固定資産税が通常に戻ります。急に固定資産税が増えたと慌てずに済むように、自分の住むマンションがどれぐらいの期間軽減措置を受けられるか、確認しておくと良いでしょう。
マンションと戸建てどちらがお得
マンションと戸建て住宅の大きな違いは、所有する敷地面積に土地が占める割合です。戸建住宅の場合は、敷地すべての土地が固定資産税の対象となる一方で、マンションでは敷地を住戸数で割るため、1人当たりの土地の持ち分が少なくなります。建物の固定資産税減税措置が有期で、措置を受けるためのさまざまな条件が必要なのに比べ、土地の減税措置は無期限(一定の条件あり)で受けることが可能です。
しかし、戸建住宅はメンテナンスをすべて自分で行う必要があり、資産としての価値を維持していくのが大変です。また、駅近など便利な場所にある戸建て物件は価格がマンションに比べて高いのが一般的です。固定資産税の面だけを見て、コストパフォーマンスが良いのは戸建て住宅とマンションのどちらかということの比較はできません。
固定資産税を入れた支払い計画を作ろう
固定資産税はマンションの建っている土地やマンション自体の築年数などによって差があるため、目安を出すことは難しいのですが、少なくとも年間10万円程度は必要だと考えておいたほうがよいでしょう。マンションを購入する際にどれぐらいの固定資産税がかかるかを不動産業者に確認しておくと、より安心です。固定資産税は、所有しているあいだはずっと支払い続ける必要があります。
住宅購入に必要な費用として住宅ローンと同じように支払い計画に入れて考えておくと購入後に慌てずに済むでしょう。3階建て以上の耐火・準耐火構造である新築マンションの場合、建物部分についての固定資産税の軽減措置は5年または7年で終了します。そのあとは固定資産税の負担が増えることになるので、こうした点も注意しておきましょう。
(最終更新日:2019.10.05)