「吹き抜けのある家に住んでみたい」「憧れている」そんな声をよく聞きます。吹き抜けとは、上下階を連続させたスペースのことを指します。吹き抜けを設ければ開放的な空間を演出しやすく、上部に窓を設ければ自然光がたっぷりと降り注ぐ、心地よい空間になるでしょう。マンションではメゾネットタイプでない限り、吹き抜けを設けることが難しいため、戸建てに住む醍醐味とも言えます。
その一方で「吹き抜けは寒い」「冷暖房が効きにくい」なんて意見も。今回は、実際に吹き抜けのある家で暮らす人々にフォーカスしました。
吹き抜けとリビング階段は相性抜群!
リビング階段を設ければ、1階から2階へ移動する度に、リビングで過ごす家族と顔を合わせることになります。自然とコミュニケーションを育めるため、お子様のいる家庭などを中心に、リビング階段が好まれています。
また、階段をリビングに取り込むことで、空間を広く見せる効果も。ここに吹き抜けが加われば、さらにのびやかで開放的な印象を演出できます。吹き抜けとリビング階段の組み合わせは、階段のデザイン性が引き立つコンビでもあります。
吹き抜けの階段を通り子ども部屋へ。家族の会話が増える間取り
300平米以上の広大な土地に平屋を建てたWさんは、吹き抜けに面したLDKを計画。3メートル近い天井高を実現しました。リビングの横には、7段のリビング階段を設置。廊下を通って子ども部屋に入るまでの動線は、スリットとアクリル板で緩やかに仕切ることで、お子様たちの様子を見守ることができます。また、2階の寝室からはLDKを見渡すことができ、家のどこにいても家族とコミュニケーションが取りやすいそうです。
※平屋については、こちらの記事「暮らしやすい平屋とは? リビング中心+ロフトで効果大!」も参考にして下さい。
吹き抜けと稲妻階段を組み合わせてフォトジェニックな空間に
実家の土地の一部にマイホームを建てたAさん。住み心地のよさと子育てのしやすさ、デザイン性も両立した家づくりが課題でした。「明るい家にしたい」という想いから、吹き抜けや大きな窓、LDKと繋がるウッドデッキを設置。自然光を家の中に取り入れつつ、空間をより広く、開放的に感じさせています。吹き抜けの稲妻階段は、まるでオブジェのような洗練されたデザイン。空間のアクセントになると同時に、お子さまが自室へ行く生活動線としても機能し、家族が自然とコミュニケーションを育める住まいです。
吹き抜け×らせん階段で狭小地でも明るく開放的に!
都心で注文住宅を建てたKさんが購入したのは、住宅密集地の小さな土地。プライバシーを守りつつ、採光も確保できる家づくりが課題でした。そこで、踊り場を必要とせず、通常の階段よりもコンパクトならせん階段を採用。自然光を取り込みながら、吹き抜けの開放感も演出しています。らせん階段は壁と同じ白で塗装し、空間に溶け込むように。踏み面や蹴込板を木とすることで、あたたかみのあるデザインに仕上げ、吹き抜けに表情をプラスしています。
吹き抜けがもたらす光や風と、自然素材が調和する空間
圧倒的な開放感を演出できる吹き抜けと、素材のもつあたたかみや手触りが楽しめる自然素材も、相性の良い組み合わせ。吹き抜けの上部に窓を設ければ、自然の光や風をいっぱいに感じることができます。ここに、同じく自然の木や漆喰、珪藻土といった生きた素材が加われば、気持ちのよい空間が生まれることは想像に難くありません。
吹き抜けに面した窓で風をコントロール。自然素材のもつ効果にも期待
「風通しが良く、クーラーを使わなくても快適に暮らせる家づくり」を目指していたKさんは、吹き抜けの上部に窓を設けて、温かい空気を排出できる家に。リビングの床に寝転がった時に、吹き抜けの開放感をいっぱいに感じることができるそうです。壁には調湿作用や消臭効果を期待できる自然素材である漆喰を塗り、LDKの床にはパインの無垢フローリングを敷設。自然素材に囲まれた空間は快適そのものです。
光と風を取り込む吹き抜けと無垢材が調和
自然素材に囲まれた家づくりを実現したNさん。壁は全て塗り壁、柱は檜や杉で施工し、床には桜の無垢フローリングを敷設。棚板や枠に至るまで無垢の木を使用することにこだわったそうです。リビングには大きな窓がない代わりに、ベランダの光を取り込める吹き抜けをデザインしました。天井も無垢の木で仕上げ、柔らかな光と自然素材のぬくもりを感じることができます。
※自然素材については、こちらの記事「自然素材で、住む人にやさしい家づくり。住宅購入前に知っておこう!」も参考にして下さい。
開放感だけじゃない! 意外と機能的な吹き抜け
「吹き抜けがある家」と聞くと、開放感があっておしゃれな空間が目に浮かびますが、実はそれだけではありません。機能面も考慮した上で、吹き抜けを設けるケースもあります。
吹き抜けにシーリングファンを設置し、冷暖房効率をアップ!
明るく開放的なリビングを希望していたSさんは、吹き抜けを設けることで想いを実現。シーリングファンも設置しました。室内の空気を攪拌して温度を均一に保つ機能面とデザイン性を兼ね備えるシーリングファンはSさんのお気に入りだそうですが「どうやって掃除をしようかというのが目下の悩み」とのこと。ボタンを押せば手の届く高さまでファンが下りてくるタイプもありますから、設置の際に検討してみても良さそうです。
吹き抜けのシーリングファンに求める、プラスアルファの効果とは?
デザインにも住み心地にもこだわって注文住宅を建てたHさんは、吹き抜けの上部にシーリングファンを設置。温度管理が難しいと言われる吹き抜けの空間ですが、このように空気を循環させれば冷暖房効率がアップします。Hさんは、天井に張った松の木の香りを拡散する効果も見込んでシーリングファンの設置を決めたとのこと。遊びに来てくれたゲストから「木のいい匂いがするね」と言われることもあるそうで、効果は上々のようです。
日当たりと風通しのよい吹き抜けを利用して、家事効率をアップ!?
3階建ての注文住宅を建てたKさんは、雑誌などで見て昔から憧れていたという、リビング階段がある吹き抜けを叶えました。合わせて、家事動線にもこだわりが。洗濯機を3階に置き、洗ったものをハンガーに掛けて一時置きするスペースや室内物干し、そして広いベランダを設けています。日当たりも風の通りも良い吹き抜けに面した空間は、物干しスペースにぴったりですね。
まとめ
吹き抜けを設けることで開放感が生まれ、窓の位置により自然の光や風を取り入れることもできます。お子様がいる家庭にとっては、家族の気配を感じやすいこともメリットでしょう。そのため、自然素材やリビング階段との相性がよく、おしゃれな空間を演出したり、快適性を高めたりできる可能性も秘めています。ただし、シーリングファンの設置など、冷暖房効率対策は必要です。家全体がじんわりと温まる、床暖房の導入を検討しても良いでしょう。皆さんも、吹き抜けのある暮らしにチャレンジしてみませんか?
(最終更新日:2019.10.05)