家を建てる際には、土地を購入することになるわけですが、そこで気になるのがその土地の相場です。実は土地の相場と一言でいっても、さまざまな指標があります。つまり、同じ土地で異なる価格が存在するわけです。そこで、土地を購入する際に参考になるように、それぞれの指標について解説をしていきます。
家を建てる際には、土地を購入することになるわけですが、そこで気になるのがその土地の相場です。実は土地の相場と一言でいっても、さまざまな指標があります。つまり、同じ土地で異なる価格が存在するわけです。そこで、土地を購入する際に参考になるように、それぞれの指標について解説をしていきます。
一番手軽に調べられる「路線価」
路線価とは土地そのものの評価額ではなく、“道路”に設定された価格です。特定の道路に面している敷地が1平方メートル当たりいくらするかを示しているのです。路線価は国税庁の「財産評価基準書」路線数・評価倍率表によって確認することができます。インターネットで手軽に調べられ、一目で値段がわかるのが路線価のメリットだといえるでしょう。(路線価図ページ:http://www.rosenka.nta.go.jp/)
ただ、路線価は土地の取引相場そのものを示しているわけではないので注意が必要です。相続税評価や固定資産税評価を行う場合に用いられる指標であり、その数値は後程お伝えする公示地価の70~80%が目安だとされています。あくまでも土地の税金を求めるための数値なので土地の売買に関する数値とは性格が異なります。
客観性の高い「公示地価」
土地の取引価格はさまざまな要因によって変化するのが一般的です。たとえば、売り主が「安くてもよいから早く売りたい」と思えば取引価格は安くなります。逆に、買い主が「高くてもよいから、どうしてもその土地が欲しい」と考えれば取引価格は高くなっていくわけです。
したがって、実際の取引額を見ただけではその地域の土地の相場がいくらかを判断することは困難でしょう。そこで、そういった特殊な事情を取り除き、純粋にその土地の価値がどの程度あるのかを判定したものが公示時価です。この数値は客観性が高いため、しばしば他の評価基準の基となる指標として用いられています。
ちなみに、公示地価をどのようにして決めているかというと、地価公示法に基づいて2人以上の不動産鑑定士がそれぞれ現地調査し、取引事例や土地の収益見通しなどを分析して評価を下します。そして、その結果を国土交通省の土地鑑定委員会が審査・調整し、総合的に判断するわけです。
こうして定められた数字は国土交通省によって毎年3月下旬に公表されることになります。ただ、いくら客観性が高い数字だといっても、公示地価には1年間数値が変わらないという弱点があります。土地の相場は数ヶ月たつと大きく変わる可能性があるため、どうしても、公示地価と実勢価格が合わなくなってしまうのです。そのため、土地取引の際には公示地価はあくまでも参考程度にとどめておく方が賢明だといえます。
もっとも参考になる「実勢価格」
不動産取引をする際にもっとも参考になる価格が実勢価格です。実勢価格は実際に不動産取引が行われる価格のことを指しており、原価方式・比較方式・収益方式の3点を総合的に判断して算出されます。
原価方式とは「同じものを新築すればどのくらい費用がかかるのか」という観点、比較方式は「同じような不動産がいくらで市場に出ているのか」という観点、収益方式は「不動産を活用すればどの程度の収益を期待できるのか」という観点。この3点に着目して価格の見当をつけていくのが特徴です。
いずれにしても、実勢価格を求めるには周辺地域で行われた取引の価格を知る必要があります。ただ、それを行うにはプライバシーや守秘義務の問題がありますし、適正価格を判断する機関も多いとはいえません。そのような事情から、日本では取引価格に対する情報公開があまり進んでおらず、正確な実勢価格をなかなか算出できないのが実情です。
固定資産税評価額は自治体が定める価格
各自治体は毎年固定資産税を徴収しますが、その額を求める基準となるのが固定資産税評価額です。固定資産税評価額は公示地価の70%を目途に決定されます。そして、「固定資産税評価額×税率1.4%」の式によって固定資産税が求められるのです。(税率は自治体によって多少異なります)
ただ、公示地価とは異なり、固定資産税評価額は毎年新しい価格が公表されるわけではありません。改定は3年に1度です。したがって、所有している不動産が同じであれば、3年間の固定資産税はずっと同じ額だということになります。
また、固定資産税評価額は都市計画税や不動産取得税、登録免許税などの税金を計算する際の基準にもなっています。たとえば、都市計画税を求める計算式は「固定資産税評価額×上限税率0.3%」です。一方、不動産を購入したり建物を増改築したりしたときに発生する不動産取得税は住宅が固定資産税評価額の3%、住宅以外が4%となっています。
さらに、登録免許税は相続による土地の所有権の移転登記を行う際にかかる税金であり、これも固定資産税評価額に所定の税率を掛けることで求めることができます。
100Cって?「路線価」の読み方
路線価図の道路部分には「100C」「200D」などといった数字とアルファベットの組み合わせで記載されています。数字は1平方メートルあたりの評価額。1,000円単位になっています。つまり、「100C」という表記があれば、1平方メートルあたり10万円になるわけです。仮に、100Cと表記された道路に面した場所に100平方メートルの土地を所有していれば、路線価評価額は1,000万円ということになります。
もし、その土地に借地権が設定されている場合は路線価評価額はさらに数字が変わってきます。なぜなら、借り物であるからです。不動産に対する権利は自己物件の場合の60%や70%といった具合に低くなり、その結果、相続税の額も安くなることになります。
では、本来の不動産価値に対する借地権割合はいくらになるのかというと、数字の後ろに記載しているアルファベットでわかります。
アルファベットが「A」の場合、借地権割合は90%です。その他は「B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%」となります。したがって、「200D」という表記のある道路に面した不動産なら、表向きの路線価評価額は1平方メートル20万円ですが、借地権の評価額はその60%の12万円になるわけです。
1つの不動産でも指標が違えば評価額も違う
路線価は相続税を割り出すための指標であり、家などの売買を行うケースは想定されていません-が、AとBの2つの土地があったとして両者ではどのくらい価格差があるのか比較する参考にはなります。
たとえ、同じ不動産でも指標が違えばまったく異なる評価額が導き出されることになります。したがって、不動産の価値を調べる際には適切な指標を参考にすることが大切です。目的に適した指標を選択し、正しい評価額を導き出しましょう。
(最終更新日:2019.10.05)